法にもとづく「緊急措置」あるのに、
海上保安庁は指示せず。
被害、5府県に拡大。国の責任で早く対策を。

(1月9日)                  戻る


重油回収にあたる住民たち。先頭に立つ
日本共産党の山田和雄三国町議(中央)

◆海上保安庁長官の指示はなし。・・当事者まかせ、不十分な体制

 ロシア船籍タンカーの大規模な重油流出事故の汚染防止や重油回収などが、法律にもとづく海上保安庁長官の指示による大規模な「緊急措置」ではなく、船主の委託に限定された不十分な体制になっていることが、9日あきらかになりました。
 船主(代理の保険会社)からの委託をうけて防除作業を実施している財団法人「海上災害防止センター」(近藤鎮雄会長)によると、船主と流出重油の防除契約を結んでいるのは、福井県三国町のほか4カ所だけで、「流出重油のすべての防除をおこなう体制になっていない」と説明しています。
 同センターが流出重油の防除指示を船主から依頼されたのは、重油の流出が判明した3日から2日後の5日。契約では、オイルフェンスや油処理剤散布とバキュームカーの出動などで、全面的な回収・防除措置とはなっていません。
 海洋汚染・海上災害防止法は、大量の油流出があり緊急な対策の必要がある場合、海上保安庁長官が同セーンターに防除措置を指示することを定めています。ところが、今回、同長官からの指示はなく、船主の依頼にもとづく「委託契約」での対策しかとられていません。・

◆被害、5府県に拡大。国の責任で早く対策を

 島根県沖で沈没したロシア船籍タンカー「ナホトカ」(13、157トン)の事故で、9日、新たに兵庫県、鳥取県、京都府の日本海沿岸に重油が漂着しているのが発見され、被害が1府4県に広がっています。流出した重油の油塊などは鳥取県から石川県にかけての沖合を漂流しており、第八管区海上保安本部(同府舞鶴市)は「このまま北西の風が強く吹き続けると、重油が越前海岸一帯を襲うこともあり得る」とし、関係府県と連絡を取りながら厳戒を続けています。
 流出重油はこれまでに福井、石川両県に漂着したほか、同日午前7時ごろまでに兵庫県香住、竹野両町や豊岡市、京都府丹後、網野、久美浜の三町の海岸でボール状やゼリー状の重油が打ち上げられているのが確認されたほか、午後には鳥取県の海岸にも漂着。このため自治体では住民、漁民などが中心となって手作業で除去作業が続きました。
 また、八管本部は9日もヘリコプターによる油処理剤の空中散布などを続けました。さらに、運輸省の国内最大の油回収船「清龍丸」が若狭湾に入り、作業を始めました。一方、福井県三国沖に座礁している船首部からは重油流出が続いています。
 重油漂着による日本海沿岸各地の被害は拡大・深刻化する一方です。地方自治体や漁民、住民の努力の限界を超えており、地元からは「国の責任で早急念に対策をとってほしい」という声があがっています。