日本共産党嶺南地区委員,若狭湾沿岸全議会に申し入れ
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各議会 議長殿
一九九七年一月二十九日 日本共産党嶺南地区委員会
ロシア船籍タンカー重油流出事故について
国に重油汚染防止へ必要な力の総動員などを求める申し入れ。
ロシア船籍タンカーによる重油流出事故により、連日日夜にわたり油回収など災害防止対策にご奮闘されておられる地域住民、関係機関のみなさんに心から敬意を表します。
日本共産党は、三国海岸への船首座礁・重油漂着という事態に、ただちに議員・県対策委員会、党国会議員団が現地調査、漁民や住民の要望も聞き、自治体や国への申し入れなどにとりくんできました。また、被害が甚大な三国町には「現地対策事務所」を設置しボランティアをうけいれ、とりくみをすすめてきました。また被害が若狭湾にも広がるなかで、各議員・党員を先頭に調査・申し入れ、重油回収作業に参加し奮闘しています。
さて、漂着した重油で、若狭湾のいそ・沿岸漁業、観光、住民の健康などへの広範な被害はもとより、沿岸の自然環境、水鳥や海洋生物にも重大な影響が出ています。「政府も『技術大国』を自任する日本で、なぜ大規模な重油流出事故に、素手で立ち向かわなければならないのか」「これ以上の汚染拡大はなんとしても防止してほしい」というのが、関係地域の住民、漁業関係者、自治体関係者の切実な声です。
こうした事態をまねいた問題で、指摘しなければならないのは、政府の対応の遅れです。運輸省の油回収船「清竜丸」への出動要請は四日深夜、現場到着は重油が福井県の海岸に漂着した後、作業開始が九日です。流出重油の回収は、海水と反応して固まり量もふえるなどのため四十八時間以内、海上回収が鉄則といわれており、初動の立ち遅れが回収作業をいっそう困難にしたことは明らかです。
政府が運輸大臣を本部長とする「ナホトカ号海難・流出油災害対策本部」をつくったのは事故発生から一週間もたった十日、海上保安庁長官が海洋汚染・海上災害防止法にもとづき同庁の外郭団体である海上災害防止センターに緊急措置を指示したのは、やっと十四日になつてからでした。
政府が九五年十二月に閣議決定した「油汚染災害に対応するための緊急計画」は、事故発生時には「その初期の段階から迅速かつ効果的な措置を取る」ことを明記しています。今回の政府の対応の立ち遅れは、みずからの決定にも背くものです。
これ以上の汚染拡大を防止する上で、何より間題なのは政府がいまだに、日本のもつあらゆる装備・機材を生かした総動員体制をとろうとしていないことです。
日本共産党は、重油汚染の拡大防止や十分な被害補償のため全力をあげるとともに、国民が災害に無防備でさらされている問題を徹底的に究明し、国民の生命と安全、暮らしを守るためさらに力をつくしますが、貴議会としても国の責任で万全の対策をとるよう、国に意見書を提出するなど強く要請していただきたく左記の事を申し入れます。
一、回収船は全国に五十一隻ありますが、いま現地にいっているのは「清竜丸」をふくめてたった四隻だけです。しゆんせつ船やクレーン付き砂利運搬船も、漂着する前の重油をクレーンシヤベルですくいあげ効率的に回収できますが、一隻も出動していません。一般の船に載せて稼働できる回収ポンプや、オイルフェンス展張船、漂着した重油を吸引して除去するビーチクリーナー、回収ネット、油処理剤、油ゲル化剤などの資機材も、相当数があるのに、活用されているのはわずかです。
流出した重油は漂着させず海上で回収する措置をとることが緊急に求められています。これ以上の被害を未然に防ぐために、政府が責任をもって、民間のものもふくめ、こうした装備・機材をはじめ関係機関の力を必要な限り総動員して、洋上での回収、海岸に漂着した重油を一日も早く除去することを国に要請すること。また、日本海の荒天に有効に機能する資機材が国内に不足しているのなら、ОPRC条約の「国際協力」の趣旨を生かして、外国政府の保有する資機材、人的能力が生かせるよう協力を要請すること。
一、漂着しているタンカー船首部の重油抜き取り、撤去を、作業従事者の安全に万全の措置を取りながら急ぐとともに、隠岐島沖の海底に沈んでいる本体部分と積載重油の状況を調査し、流出を防止する対策をとるよう国に要請すること。
一、政府の「緊急時計画」でも、油汚染事故の発生時には「国、地方公共団体をはじめ、石油業界、海運業界、鉱山業界、漁業関係者その他官民の関係者が一体となって取り組むことが重要」と強調しています。重油被害から国土と海洋環境の保全、国民の生命と安全、財産を保護するため、災害対策基本法、激甚災害法を適用し、政府に「重油流出災害対策本部」(仮称)を設置し、国が責任をもって重油の回収、環境の回復、被害補償、地方自治体への財政措置、当面の生活保障などを行うよう国に要求すること。
一、自民党内からさえ「一機何百億円もかかる飛行機や戦車を買うより、ただちに(重油を)処理できる船を買っておくなどの必要がある」という声か上がっています。国の財政支出で、汚染拡大、重油回収にかかる費用を負担することはもちろん、漁業者、民宿などの観光業者などの休業補償などの損害補償、賠償請求について、国の責任で万全の措置をとるよう国に要求すること。
一、今回の事故の最大の責任がロシア側にあることは明日ですが、現に重油が海岸に打ち寄せ被害が拡大しているときに、当事者任せにして、うつべき手もうたないのでは、国民のために働く政府としての責任を果たしているとはいえません。ロシアに対し、事故原因、災害補償、再発防止など責任ある対応をするよう、 国に求めること。
一、海岸での油回収に当たっているボランティアのみなさんの安全対策、健康管理に万全の対策をとるよう国に要請すること。
以上