衆院予算委 日本共産党の穀田議員の質問


○荒天下の処理方法の検討、92年政府文書も認めていた。
過去にも「荒天」「公海上」の事故。教訓生かされなかった政府の責任追求・・。重油回収船の充実求める。
(1月27日)                  戻る

◆穀田議員−−8管の報告書などで政府は危険認識していた。「荒天」そして「公海上」いうのは、理由にならないのでは


◎穀田議員 重油流出事件発生後、約80以上の市町村に被害が及んでおり、各地の海岸での地元住民、漁業関係者や自治体、ボランティア、関係省庁の現場の人々の努力に胸がふさがる思いだ。
 さて、現地で苦闘している方々は本会議や本日の総理の答弁で激励を受けたり、安心をしたでしょうか。政府の対応の結果としての遅れを反省した言葉があっただけで、「荒天」「公海上で発生した場合の対応体制が遅れていた」という答弁のくだりには、現地から「残念だ」という声が寄せられている。被害を受けている各地で共通する最大の声は、「沿岸にくるまでに、なぜ回収できなかったのか。そうすれば被害は少なくてすんだのに」というものだ。総理の答弁は国民を納得させるものではない。
 今回のような事故・災害が初めてだというのだったら、しかたがないかもしれない。しかし、今回の油濁事故・災害と類似のことは過去にもあったし、その教訓に学び、政府自身が必要な対策をとることを言明してきた。7年前の90年1月25日京都の経ケ岬沖で、リベリア船籍のマリタイム・ガーデニア号の座礁によって、今回の重油の流出量より少ないが900キロリットルの大規模流出油事故が起きている。油濁の処理に97日間を要した大変な事故だった。
 事故のあと、91年にまとめられた第8管区海上保安本部の報告書では、「気象の悪条件で有効な措置を取れず、流出油の大半が治岸に漂着」「回収・処理に多大の人力と機材を要した」。さらに拡散した流出油の防除は困難で、初期段階で人員・機材を集中的に投入する必要がある。」こうしたうえで、気象条件の厳しい外洋で使える油処理の機材はいまだ開発されていない」と指摘している。
 総理、こうしたことをご存じのうえで、答弁しているのか。「荒天」そして「公海上」いうのは、理由にならないのではないか。

◆橋本首相−−「荒天」を克服するだけの装備を残念ながら持てていない

◎橋本首相 指摘の事故は覚えている。そのうえで本日、沈んでいる船体確認のために、科学技術庁のディープ・トウ」を潜航させ、船体らしきものを確認した。ナホトカ号の船体であるのか、現在、チェックをしているが、きょうもシケのために、作業も午前中しかできなかった。自然の力のなかで−−議員からおしかりを受けるかもしれないが、われわれが「荒天」というものを克服するだけの装備を残念ながら持てていないことは事実だ。


◆穀田議員−−91年の環境庁の調査「大規模流出油事故に伴う海岸環境被害対策調査報告書」でも指摘。教訓をしっかり学んでいない

◎穀田 「設けていない」。ここが大事だ。91年の環境庁の調査で「大規模流出油事故に伴う海岸環境被害対策調査報告書」というものを出している。それによると、日本の場合、大きな事故が3つあった、そのうち2つが実は日本海側の流出事故で、時期は全部冬だ。
 報告書は、「荒天時の事故想定」として「大規模流出油事故は、荒天による海難事故に基づくことが多い」「荒天では対応が困難であるが、荒天における有効な処理方法を検討する必要がある」といっている。
 また26年前の新潟沖のジュリアナ号事故について「荒天下における有効な処理方法の検討が指摘された」とのべている。「設けてない」のではなくて、このように指摘をしてあった時期からすでにそのことを提起してたではないか。その教訓をしっかり学んでいないではないか。
 ここのところの問題をはっきりさせないと、政治の責任が明確にならない。


◆橋本首相−−おっしゃることは甘受する。

◎首相 問題があったことを私も承知している。その上で、技術的にできていないということは事実だ。残念ながら、4メートル、6メートルといったうねりのなかで作業のできる能力を、現在の水準でわれわれが持っていないのは事実であり、そういう技術開発ができない責任を問われるならば、それは、科学者ではない私の力には余る問題だ。おっしゃることは甘受する。

◆穀田議員−−技術的にできていないことを問題にしているが、荒天の体制と、日本海側にどういう手を打ってきたのかという2つの点を提起している。

◎穀田 技術的にできていないことを問題にしているが、これらの文書は荒天の体制と、日本海の体制を強化しなければならないという2つの場合を指摘している。
 重要な問題がもうひとつある。技術的な問題でいうならば、今度送った船を日本海側に配置していれば、少なくとも、ああいった事態をさらに拡大することはなかったのではなかったかというのが多くの人の意見だ。荒天の体制と、日本海側にたいしてどういう手を打ってきたのかという2つの点を提起している。


◆古賀運輪相−−率直に認め反省しなげればならないと認識 

◎古賀運輪相 2日の事故発生と同時に、まず、人命救助に全力を尽くし、油の流出の回避、そして、なんといっても船首部分をなんとか沖合にえい航したいと、海上保安庁の職員が昼夜分かたず、命がけでやってきたことは事実だ。
 しかし残念ながら、それが着底し、流出油が漂着し、沿岸住民のみなさんの精神的・経済的苦痛に思いをいたすときに、足らざるところ、努力不足を反省すると同時に、さまざまな批判は甘受する。
 確かにわが国の油の防御体制は、いったん事故が発生した場合の影響がたいへん大きいため、タンカーと船舶交通の輻輳(ふくそう)している地域−−東京湾、瀬戸内海等、静穏な海域に油の回収船、回収装置が重点的に置かれていることは、率直に認めざるをえない。
 日本海、とくに冬の荒天の状況のなかで、今後、どういう対応ができるか、また、リベリア船籍の油流出の教訓を生かしていないという指摘だが、確かに平成2年、あの事故を契機に、若狭湾においては、広域的な自治体を中心に即応体制をつくったがこれが今回生かされているかというと、大変、反省点は多い。同時に、日本海の、あの荒天のなかでの新しい、耐えうる資機材の開発について、たいへん遅れているという点は、指摘のとおり、率直に認め反省しなげればならないと認識し
ている。


◆穀田議員−−日本海側の体制強化は再三指摘があった。即応体制、日本海に配備をする、荒天対策をとる、私はこの3つを問題にしている。

◎穀田 油流出事故の規模の大きさは3日の夜20時、すでに3700キロリットルと推定している。大きな事故であった経ケ岬の事故で、900キロリットルだから、これ以上にどでかい量であると認識した。ところがそのあとの手だては1日か2日の空白期間があった。即応体制に非常に不十分な点があったことは認めなければならない。
 もう1つは、大臣も冬の日本海の話をするが、冬の日本海の荒天は別にいまにはじまったわけではなく20年前も5年前もずっと冬の日本海はこうだったわけだから、少なくともその時点からこういう問題に対処すべきだった。検討すべきだったということを、みなさんが気づかなかったわけではないですよ。気づいた上で、こういうことをやってる。
 網野町(京都府)の町議会は、24日に「7年前、経ケ岬で起きたリベリア船籍の事故で重大な被害を被ったにもかかわらず、その教訓が生かされていないことはまことに遺憾だ」と、全員で決議している。この教訓の中心は、即応体制、日本海に配備をする、荒天対策をとる──この3つだ。その点が欠けていたことを、私は問題にしている。


◆運輸相−−今後最大限の検討をおこない。同時に地方自治体、業界一体のさらなる即応体制を今後強力に検討をすする。

◎運輸相 対応の遅れは反省すべきところを反省し、足らざるところを甘んじてご批判を受ける。冬の日本海の荒天は当然わかっている。外洋における日本海の冬の荒天にも、今回のような大規模な油汚染事故に対応可能な防除体制というものが、技術的に可能かどうかということも含めて、今後最大限の検討をおこなっていきたい。同時に地方自治体、業界一体としたさらなる即応体制を今後強力に検討をすすめていきたい。


◆穀田−−日本海側にきっちりしたものを配備すべきいう再三再四にわたる指摘をどう受け止めていたのか

◎穀田 結局なぜ手を尽くしきれなかったかという問題だ。今度は時間は十分あった。日本は「1990年の油による汚染に係わる準備、対応及び協力に関する国際条約」(いわゆるOPRC条約)を締結した。この締結にともなって「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」を95年12月、閣議決定している。当時通産大臣だった総理も決定に参加している。ここでは「わが国周辺海域において」、つまり公海を排他的水域も含めて「万一、油汚染事故が発生したさいには、その初期の段階から迅速かつ効果的な措置を取ること」が大事だといっている。それを受けて海上保安庁にたいして「船艇、排出油防除資機材の整備を推進する」と決定している。
 ありとあらゆる資料は、日本海側の体制を強化しなければならない、といっている。ところが強化されていない。先ほど若狭の問題が出たが、太平洋側の話は全部その時点である。教訓を生かしておれば防げたはずだ、ということをいっている。だから技術論にせずに、日本海側にきっちりとしたものを配備すべきだという再三再四にわたる指摘をどう受け止めていたのか。


◆首相−− 指摘は甘んじてちょうだいする。

◎議員が指摘のように日本海側に船舶、船艇、油回収船をふくめて、余裕の資材を配備しておればこの事故は防げたかもしれないという指摘は甘んじてちょうだいする。


◆穀田−−「海鵬丸」「白山丸」に浚渫機能のほかに、油回収機能を新しくつくり、船舶数も増やしたらどうか

◎穀田 京都の経ケ岬沖の事故の際に、わが党の寺前議員は「外洋対応、日本海対策の強化」を求めている。その際、海上保安庁は、「効果的な資機材の配備のあり方等についても検討する」と約束していた。今度は、明確に教訓にして、油回収船の配備などをすべきだ。
 具体的に聞くが、運輸省の第5湾岸建設局から派遺された「清龍丸」は、油の回収の機能と、浚渫(しゅんせつ)という機能の両方をもっている。建造後10年以上たつ老朽船だけれども、同じような浚渫機能を持つ「海鵬丸」「白山丸」というのがあると聞く。その際、思い切って浚渫機能のほかに、油回収機能を新しくつくり、船舶数も増やしたらどうかと思う。聞くところによると、運輸省のおひざ元の全運輸省港湾建設労働組合は、十年近く前から、具体的な提案も含めて提起している。これぐらいはできると思う。


◆運輸相−−前向きに実現をするための努力をしていきたい

◎運輸相 「清龍丸」は波高2メートル以上になるとほとんど油の回収が不可能だ。そういうこともふまえて日本海の冬の荒天候に備えるということになれば、かなり大規模なもの、また技術的に実際に油の回収船ができるかどうかということも、まず検討していかなければならない。さまざまな観点から総合的に検討させていただき前向きに実現をするための努力をしていきたい。


◆穀田−−油回収船の配備など「備え」の強化、今度こそ

◎穀田 荒天、荒天というが、一定の期間は荒天でない日があった。動ける日があった。1隻だいたい20億円と当時(1965年)いっていたが、いまなら40億円くらいだといわれている。
 「海上防災と海洋環境保全」関連予算は、経ケ岬事故以後も毎年1億6千万円程度だ。この6年間で合計約10億1千万円に過ぎない。しかも海上保安庁の油除去艇は79年、大分に配備された「いそしぎ」、油回収船は同じく76年に堺に配備されて以来、建造計画もない。こういう実態だ。だから増やせといってる。
 かたや、海上自衛隊の装備調達予算は、91年以降毎年2千億円以上で、この6年間で合計1兆3325億円。護衛艦と潜水艦は毎年発注されている。自民党幹事長代理も、ある新聞の報道によれば「いまだにひしゃくですくっている姿をみて、国民はどうなっているんだと思う。防衛関係では、1機何百億円もかかる飛行機を買っている。こうした飛行機や戦車を買うより、ただちに処理できる船を買っておく必要がある」と発言している。私は、これは正論だと思う。20億円分の2つぐらいすぐできる。無理な話をしてるんじゃない。これぐらいのことは約束すべきだ。


◆運輸相−− 技術的にそういう船ができるかどうかという検討も必要であり、総合的に検討させていただきたい。