衆院本会議 不破委員長の代表質問
重油流出事故への対策がなぜおくれたのか。
(1月23日) 戻る
つぎに、この1月におきた新たな災害−−沈没したロシアのタンカーからの重油流出の問題であります。事故発生後、各地の海岸で、漁業関係者やボランティアをふくむ多くの方がたが、ひしゃくやバケツ、あるいは素手で油とたたかっている−−この様子をテレビで見て、胸を痛めなかった方はいないと思います。悪天候下の作業による死者はすでに3人に達しました。政府は、日本は世界に誇るべき高度な技術をもった技術大国だと、いつもいっています。その日本で、巨大な規模の重油流出事故に素手で立ち向かわなければなららない、という事態がなぜおこったのか。被害はすでに7つの府県・60市町村にもおよんで拡大しつつあります。詳細は、今後の論戦に譲り、今日は、もつとも基本をなす問題点にしぼって質問します。
◆流出重油の回収は48時間以内が鉄則、なぜおくれたのか
第1は、事故発生にたいする政府の対応の問題です。事故が発生したのは、1月2日の未明でした。しかし、運輸省の油回収船・清龍丸に出動要請があったのは1月4日の夜、現地到着は9日早朝だと聞いています。流出重油の回収は48時間以内が鉄則だといいますが、この遅れのために、到着したときには油が固まって、作業がいちだんと困難になったといわれています。政府は、95年12月に、国際条約にもとづく、「油汚染災害に対応するための緊急時計画」を決定していますか、この計画には、事故の発生時には「その初期の段階から迅速かつ効果的な措置を取る」ことが明記されています。なぜ対応が、こんなに遅れたのか。政府の対応の時間的な経過とともに、なぜ遅れたかの事情説明をもとめます。
◆なぜ必要な総動員体制をとらないのか
第2に、現在でも、政府が、日本がもっているあらゆる装備を生かした万全の体制をとっているとはとうていみうけられません。弱体だとはいっても、油回収船は民間もあわせて全体で145隻、うち沿岸用が51隻あるとのことですが、いま現地に行っているかその途上にある船は、さきの清龍丸をふくめて4隻だけです。回収ポンプなどの機材も、石油会社のものをふくめ、相当数が存在しているはずです。なぜ必要な総動員体制をとらないのですか。
◆ロシア政府にどのような対応をしているのか
第3は、ロシアにたいする対応です。今回の事故の責任がロシア側にあることは明日ですが、ロシア政府が、この問題でどのような見解をもち、どのように責任をとろうとしているのか、また日本政府が、そのロシア政府にどのような対応をしているのかが、国民には見えてきません。
私は、12日、ロシア大使と会い、船主だけでなく、ロシア政府も責任を負うべきことを指摘し、一連の要望事項を申し入れました。その席で大使は、ロシア政府に道義的な責任があることを、はっきり認めましたが、日本政府として、対ロシア政府との関係でのことの経過と政府の対応についてうかがいたいのであります。
◆どのような体制と方針で、この種の事故に備えてきたのか
第4は、この種の事故に傭えるふだんからの体制の問題です。日本は、世界でも有数の石油輸入国として、日本の港に出入りするタンカーは毎年たいへんな数にのぼるうえ、日本海は、老朽化したタンカーによる油の輸送がとくに多いなど、とりわけ危険な状態にあったことは、当局者にはわかっていたはずです。
ところが、いったん事故がおこってみると、この種の事故にたいする備えがあまりにも貧弱なことに、国民は驚かされました。油回収船にしても、沖合で活動でさる能力をもった大型船は清龍丸ただ1隻、145隻全体の配備をみると清龍丸をふくめ圧倒的に太平洋側で、問題の日本海側は秋田、新潟、富山、福井に、あわせてわずかに4隻という状態でした。
阪神大震災のときにも、政府は自衛隊の軍備の増強や近代化には熱心だが、国民の生命と財産をまもるうえで決定的な地振にたいする備えの弱いことが、大きな批判の的となりました。今回、重油流出事故にたいする備えが決定的に手簿な現状を、〃シーレーン防衛〃の名のもとにもっぱら海上軍事力の増強に熱中してきた政府の態度に見くらべて、その思いはひときわ深刻なものがあります。
いったい、どのような体制と方針で、この種の事故に備えてきたのか。現状で十分と判断してきたのか。そして、今後の備えをどうするつもりか。うかがいたいのであります。