福井・三国町「東尋坊」 観光業者の不安広がる。
   ・・・本格シーズン前に相次ぐキャンセル

(1月19日)                  戻る

◆福井・三国町「東尋坊」。観光業者の不安広がる。予約キャンセルが2500人

 ロシア船籍タンカーの重油流出事故は、福井県三国脚の観光産業にも打盤を与えつつあります。三国脚は福井県でも有数の観光地です。本格的な観光シーズンを前にしてどれだけの影響がでるのか、観光にかかわる業者の不安をかきたてています。19日までに、民宿・旅館などへの予約キャンセルが2500人にのぼっています。民宿と旅館、ホテルをあわせた、三国町の収容力は3000人をこえる程度です。


◆東尋坊(とうじんほう)、世界で3カ所しかない柱状節理。

 三国町の名勝の一つは、東尋坊(とうじんほう)の景観です。世界で三カ所しかない柱状節理(五角形、六角形の柱状の岩石の集まり)の安山岩で、国の天然記念物に指定されています。岩壁に打ちつける冬の荒波は訪れる観光客の目を楽しませてくれます。
 雄島は、1千2百万年前に噴出した輝石安山岩(はん晶に輝石のある安山岩)の岩石島。現地の人は〃神の島〃と呼んでいます。越前松島は、越前加賀海岸国定公園のほぼ中央にあり、仙台の松島を思わせる小島が点在しているところから、その名がついています。
 東尋坊へ向かう道筋には40件のみやげ物屋が並んでいます。売り子の呼び込みの声が寒風の中に響きます。


◆三国町観光協会---「一日も早く油を除去し、きれいな海を取り戻してほしい」

 「いまはシーズンオフなので、それほど影響がでているわけではありません」といいます。しかし、「本格的な観光シーズンになったら心配です」と口をそろえます。
 東尋坊観光協会の石森靖一会長も「いつもより悪いのは間違いないが、もともと二、三年景気が悪かった」。長引く不況に、今回の事故が追い打ちをかけています。
 「一日も早く油を除去し、きれいな海を取り戻してほしい」と三国町観光協会の道場幸信会長は話します。観光地の一番の大敵はイメージダウン。同協会は栗田知事に風評被害対策の徹底を急きょ申し入れました。さらに、ボランティアに駆けつけてきた人たちの助けにと、おふろを無料で開放したり、宿泊料金を値引きしています。

◆観光産業にも、被害補償を

 同町の事故対策本部の広報担当官は「町のイメージを取り戻すため、観光宣伝では要求がでてくれば町の援助の上乗せも検討対象になる」と話しています。
 重油が漂着したために岩のりなどの海産物に打撃をあたえました。東尋坊の近くで民宿を営む経営者は「いつもならこの時期には岩のりをお客さんに出すのですが、今年は一度もありません」。この民宿は、船首が流れ着いたところでとれた岩のりを、海女から直に買って料理につかつていました。「宿泊にくる人の目的は、磯料理を食べにくる人たちです。これがだめになると、客足も減ってくる」と不安を隠しません。事故対策が後手後手にまわっている政府にたいし「観光産業にも、被害補償をするのは当然だ」と話していました。
 今後、観光客が減るのかどうか。関係者の心配は尽きません。被害を最小限におさえるための政府の施策が求められています。