政府は、やれること こんなに
「政府は船も機械もすぐとうにゅうして」(現場の声)
(1月18日) 戻る
◆「政府が責任をもって必要な資機材を総動員し、汚染の拡大防止と油除去にとりくめ」
隠岐島沖の日本海で1万9千キロリットルの重油を積んだロシア船籍タンカーが2日に沈没し、流出重油が5千キロリットル以上にのぼり、被害が日ごとに拡大しています。ところが政府は、国民の安全を守る万全の対策をとっておらず、このため流れついた重油被害に苦しむ関係者から、「政府が責任をもって必要な資機材を総動員し、汚染の拡大防止と油除去にとりくめ」という声があがっています。
◆政府が指導や要請をすれば、出動可能なのに
流出重油の回収は海上保安庁が中心にあたっています。出動している油回収船は18日現在、運輸省第五港湾建設局の「清龍丸」(回収能力1、450キロリットル)と、海上保安庁の要請による民間企業の「あすわ」(同125キロリットル)の2隻。
「第三たかほこ丸」(同300キロリットル)、「男鹿3号」(同百キロリットル域)が出動途上です。通産省や海上災害防止センターによると、沿岸36キロメートルまで航行できる回収船は全国に48隻あります。このなかには、6、400キロリットルの回収能力をもつ「第二ブルーオーシヤン」や、「男鹿3号」級が約20隻あります。
石油連盟油濁対策部によると、各港湾にある、しゆんせつ船、クレーン付き砂利運搬船も、漂着する前の油をクレーン・シャベルですくいあげ効率的に回収できますが、一隻も出動していません。
同対策部は、吸引口に強力なスクリュー型のポンプをもちゴミなども砕いて回収できる油回収装置を船舶に搭載して活用するのも有効といいます。海上災害防止センターによると、全国に計290基あります。石油連盟も国内に54基保有していますが、船主や北陸電力、自治体などの要請で貸し出しているのは16日現在、24基です。
同連盟には、海岸に漂着した重油を吸引して除去するビーチクリーナーも24四基ありますが、貸し出されているのは12基です。
海上災害防止センターや石油連盟は、船主(代理の保険会社)との私的契約にもとついて油除去対策をすすめています。このため、国の指導や要請がなければ、契約以上の出動はできないといいます。
政府が指導や要請をすれば、こうした機材を出動させることができます。
◆より強力な対策本部に。「国は…組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務がある」(災害対策基本法第三条)
政府が95年12月に閣議決定した「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」は、国、自治体、業界が一体となって対応することを決めています。
災害対策基本法は、「国は……組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務がある」(第三条)として、国務大臣を責任者とする非常災害対策本部、とくに緊急の場合には首相を本部長とする緊急災害対策本部を総理府に設置することを定めています。ところが、今回設置された対策本部は、災対法によるものでなく、関係省庁や執行機関への指示がだせません。
こうした対応について、総理府や運輸省、国土庁などは明確な説明ができず「海上保安庁に聞いてほしい」とタライ回し。海上保安庁政務課は「ステップ・バイ・ステップで、油防除に専念できる応急の体制をとったためだ」といいます。しかし、海上保安庁長官が重油回収の緊急措置を指示したのは14日。後手後手の対応になっています。
◆省庁は責任のなすり合い。自治体、ボランティアまかせ。
国民の安全と財産保護を軽視する政府のこうした姿勢は、さまざまな問題を引き起こしています。
山陰海岸国立公園の兵庫県側800メートル以上にわたって重油が漂着しましたが、環境庁は何の対応もせず、ボランティア約330人がドラム缶130分を回収しました。同庁は、公園管理の責任はあるが海岸保全は海岸法にもとづく自治体、建設省、運輸省、農水省などの責任、という態度です。
建設省は、油除去は運輸省と海上保安庁の管轄として、海岸の油除去にのりだしていません。
流出重油による大気汚染や、作業者の健康被害も指摘されていますが、厚生省がおこなっているのは「おもに回収重油の処分方法の現地の情報収集」。
漁業補償についても、関係者の強い要望で農水省は17日に「政府としても対応が必要だ」といいだしましたが、水産庁は当初「当事者間の交渉により保険金が支払われることになる」と冷淡な態度でした。