| ●国→仮定に仮定を重ねており非現実的で、高温ラプチャは起こらない
●高裁判決→国の「安全評価審査指針」にしたがい「単一故障」を仮定すれば、発生はほぼ避けられない
また、「仮定に仮定を重ねており、非現実的」という国の主張に対しては、原子力安全委員会が改訂(平成二年八月三〇日)した「安全評価審査指針」を引用し、「『一つの安全機能の遂行のために形成された系統、機器の組合せに対して、解析の結果が最も厳しくなる単一故障を仮定する』との点からすると、本件の『蒸気発生器伝熱管破損事故』においては『単一故障』として急速ブロー系機器の故障を仮定することが合理的であり、かつ、解析の結果が最も厳しくなるものと解される。」と指摘。「本件申請者(核燃)が本件の『蒸気発生器伝熱管破損事故』(設計基準事故)の解析で仮定しなかった『単一故障』として、急速ブロー系機器の故障を仮定し、蒸気発生器伝熱管破損事故時において水・蒸気の急速ブローに失敗したことを想定すれば、高温ラプチャの発生は、ほぼ避けられないということができる。」と断じています。
したがって、「蒸気発生器伝熱管破損事故」に関する本件安全審査には、過誤、欠落があることは明らかです。
●国→中間熱交換器が破損しなければ、炉心崩壊の危険性は工学的に考えられない
●高裁判決→国際原子力機関の蒸気発生器破損伝播に関する専門家会議で、破損の可能性を指摘。出力の異常上昇と制御不能を招き、炉心崩壊を起こす恐れがある
次に、「一次系と二次系をつなぐ中間熱交換器が壊れなければ、炉心に影響がでることはありません。中間熱交換器が壊れる、ポンプが止まらない、制御系が2系統とも働かない、という仮定がすべて起こる前提で炉心崩壊の危険性があるとしていますが、工学的には考えられない」と国は主張します。
しかし原判決は、「中間熱交換器の破損は、決して非現実的な出来事ということはできない。証拠(甲イ184)によれば、一九九〇年九月のIAEA(国際原子力機関)の蒸気発生器破損伝播に関する専門家会議において、イギリスのPFR事故につき、同事故の2次系ループ及び中間熱交換器への負荷は、過熱器による放出率が低かったので、安全解析における予想よりも小さかったが、もしも、同様の損傷が蒸発器で起こっていたら、負荷の大きさは安全解析を上回っていただろう、との報告がされていることが認められる。この報告の趣旨は、過熱器の蒸気は乾燥しているが、蒸発器の水・蒸気は、水そのもの又は水分を多く含んだ蒸気なので、ナトリウム\水反応はより激しくなり、圧力上昇の負荷はもっと大きくなっていたと推測されることを述べたものと解されるが、このように、中間熱交換器破損の可能性は専門家も指摘しているところである。」と指摘しています。
さらに原判決は、「蒸気発生器伝熱管破損により水素ガス(気体)の混入した2次冷却材ナトリウムが、その圧力上昇により中間熱交換器の伝熱管壁を破って1次主冷却系に流入して炉心に至れば、‥本件原子炉(高速増殖炉)の炉心中心領域ではナトリウムボイド反応度が正(注4)であるから、出力の異常な上昇と制御不能を招き、炉心崩壊を起こす恐れがある(甲イ444)。気体(気泡)が炉心を通過した場合の『事故』は、本件許可申請書添付書類十において『気泡通過事故』として想定されている‥この事故が発生した場合、『部分的に正のボイド反応度を有する炉心においては、気泡の通過が原子炉出力を上昇させるとともに、燃料から冷却材への伝熱を阻害し、燃料、被ふく管の温度を上昇させ、燃料の損傷を引き起こす可能性がある。』と説明されている(乙16)。」と指摘しています。
これに対し国は、この「気泡通過事故」は、気泡の最大量を20リットルと想定し、しかも、これが一斉に炉心を通過することを仮定したもので、解析結果は、「炉心の冷却能力が失われることはない。原子炉冷却材バウンダリの健全性が損なわれることはない。」とし、本件安全審査でも、この解析が妥当と判断されていると主張します。
しかし「蒸気発生器伝熱管破損事故による中間熱交換器破損を原因とする水素ガスの炉心通過の場合は、その気泡の量が20リットル以下にとどまる保障も、それが一度に全部通過する保障もないのであって、本件申請者(核燃)が解析した『気泡通過事故』の結果をもって、蒸気発生器伝熱管破損事故で想定される水素ガスの炉心通過による影響を説明することはできない。」(原判決)と指摘しています。
したがって、「『蒸気発生器伝熱管破損事故』の評価に関する本件安全審査の調査審議及び判断の過程には看過し難い過誤、欠落があると認められ、その結果、本件安全審査(安全確認)に瑕疵(不備、誤認)が生じたことによって、本件原子炉施設においては、原子炉格納容器内の放射性物質の外部環境への放出の具体的危険性を否定することができず、本件許可処分は無効というべきである。」と断じています。
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