動燃爆発事故
プルトニウム利用路線の無謀さを改めて示す
「安全」宣伝に根拠なし。科学工場に特有の危険性も
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の再処理工場の爆発事故は、高速増殖炉「もんじゆ」の事故につづいて、プルトニウム利用を中心とした政府の原子力政策の無謀さをあらためて示しました。
再処理工場は、原発で使用した後の燃料(使用済み核燃料)から、燃え残りのウランとプルトニウムを取り出す工場です。その方法は、核兵器用のプルトニウムを分離する技術を応用したものです。しかし、原発の使用済み燃料はプルトニウムを多量に含み、放射能が非常に強いなど、核兵器用のプルトニウムを取り出すよりむずかしいとされています。
◆きわめて強い放射能をもつ 先頭に戻る
使用済み燃料を小さく砕き、強い酸(硝酸)に溶かし、その溶液に有機溶媒をまぜあわせ、ウランとプルトニウムを分離します。分離した後に残るのが放射性廃液で、きわめて強い放射能をもっています。
このように、再処理工場は強い放射能を扱う放射能工場であると同時に、化学工場としての危険性もあわせもっています。薬品を入れるスピードが速すぎたり、よくかき回さなかつたり、温度が少し高かったりするだけで化学反応が激しくなり、化学工場特有の火災や爆発事故に発展する危険性があります。
専門家からはこれまで、まだ安全な再処理技術は確立していないと指摘されてきました。しかし、政府は「確立している」と宣伝し、動燃の再処理工場を建設。現在、青森県六ケ所村で世界でも最大規模の再処理工場建設計画を進めています。
◆燃料コストもメリットなし 先頭に戻る
1993年4月、ロシアのトムスク7という核兵器を製造するための閉鎖都市で再処理工場が爆発、大量の放射性物質を飛散させる事故が起きています。このとき、日本の科学技術庁は、十分な調査もしないうちから、「このような事故は日本では起こらない」と説明してきました。
今回の爆発事故は、政府のこれまでの宣伝に根拠がなかったことをはっきり示しました。
高速増殖炉の開発がゆきづまり、プルトニウムの使い道に困った政府は、現在稼働中の軽水炉型原発でプルトニウムを燃やすプルサーマル計画を推進しようとしています。
この計画は、原発の危険を増大させるばかりでなく燃料のコストを高くし、、経済的にもメリットがないものです。
政府のプルトニウム利用推進路線は破たんしています。
再処理技術の未熟さと危険性があらためて明らかになったいま、「核燃料リサイクル」と称する原発推進政策は根本から見直すべきです。
◆動燃・東海再処理工場とは 先頭に戻る
動燃の東海再処理工場は、国内の原発の使用済み核燃料を処理する目的で、1977年、運転を開始しました。これまでに、原発を動かしている電力会社のうち北海道電力と北陸電力を除く各社の使用済み核燃料の処理をおこなっています。
設計では、年間270トンの使用済み核燃料を再処理することになっているといいます。しかし、事故やトラブル が相次ぎ、実際に処理された のは936トン(12日現在)。年間あたりでは、約50トンにとどまっています。国は、青森県六ケ所村に年間800トンの処理をおこなう日本原燃(株)の再処理工場の建設を推進しています。
◆動燃の災害防止策はどうなっているのか 先頭に戻る
市川富士夫・明治大学講師(元日本原子力研究所研究員の話)
再処理工場では、放射性廃棄物を、放射性物質の濃度の高いものと低いものにわけて別々に処理しますが、放射性物質の種類が変わるわけではありません。原子炉のなかでできる放射能、いわゆる〃死の灰〃にあたるものを含んでいます。ウランやプルトニウムがまじることもあります。
液体では扱いにくいので、濃度の高いものはカラスで、濃度の低いものはアスファルトで固めています。ただ、濃度が低いといっても、アスフアルトで固めるときには、処理の途中で出てくる沈殿物などもいつしよに固めているので、放射性物質の量も、かなりのものを含んでいると考えた方がいいでしょう。
爆発が低レベル放射性廃液で起こったとすれば、(1)廃液にアスファルトをませるとき温度が上がりすぎて水蒸気が発生した(2)なんらかの原因で水が分解して水素が発生した(3)廃液に含まれる硝酸塩が乾くときになんらかの理由で爆発した(4)有機溶媒がまじったりあるいはまちがって入ってきて硝酸と反応して爆発した・・の4つの可能性が考えられます。有機溶媒には、レッド・オイルという爆発性の物質が含まれている可能性もあります。93年にロシアの秘密都市「トムスク7」の軍事用再処理工場で爆発が起こったときも、このレッド・オイルが間題になりました。
火災が起こってだいぶ時間がたってから爆発が起こったわけですが、同じところで爆発が起こったのなら、動燃の二次災費防止策はどうなっているのかが間われます。
◆「もんじゅ」事故での教訓は生かされず 先頭に戻る
野口邦和・日本大学助手の話
動燃は、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ・火災事故のとき、あれほど事故隠しが間題になり、国民から強い批判を受けたにもかかわらず、今回も相変わらず「放射能漏れはなかった」など事実と異なる発表をしています。動燃が、「もんじゅ」事故の経験や教訓をどう受けとめているのかおおいに疑問を感じます。
◆事故現場のビデオ公開 先頭に戻る
50センチの鉄扉外れる。警報けたたましく
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所の再処理工場で起きた爆発事故。同事業所が12日朝公開した事故現場のビデオは、厚さ50センチで中に鉛も入つた頑丈な鉄の扉が外れるなど、爆発のすさまじさを物語る光景を映し出しています。
爆発のあったとみられる一階では、放射線管理区域であるアスファルト充てん作業室と安全区域とを仕切る分厚い鉄製の扉が外れています。扉の開放を警告するアラームが、「ビービービー」とげたたましく鳴り続けたまま。
二階の更衣室では、ロッカーが倒れて中の衣類などが飛散し、さながら地震の直後のよう。クリーム色の防護服を着た作業員が歩き回ります。
また、排気系ダクトや空調用冷却水の配管が破損、漏れた水がコンクリートの床に落ちる音が冷たく響いていました。
◆作業員避難など県への報告3時間後に 先頭に戻る
動力炉・核燃料開発事業団(動燃)東海事業所(茨城県東海村)の再処理工場内で11日午前発生した火災に伴い、施設内に放射性物質が拡散した間題で、同事業所は、放射能測定値の異常き示す警報器が作動し、作業員を避難させていたことを3時間経過後に初めて茨城県へ報。していたことが同日夜、明らかになりました。同県の石川享原子力安全対策課長は同事業所の山村修所長を県庁に呼び、事故の再発防止と報告の遅れについて口頭で注意しました。
同課によると、同事業所は、火災発生の約20分後の午前10時34分に、施設内の放射能測定値の上昇を示す「エリアモニター」が作動して警報が鳴ったため、同11時すぎまでに作業員を屋外に避難させていました。ところが、県が同11時45分ごろに放射能による周辺環境への影響について電話で問い合わせた際、同事業所は「現在のところなし」と回答しました。
同事業所は警報作動から3時間経過した午後1時半ごろ、作業員から放射性物質を検出したことを報告しましたが、本来これより先に報告すべきで警報機作動と作業員避難についての報告はさらに30分遅い午後2時ごろになったといいます。
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