公開質問状の全文

日本原子力発電株式会社                    2002年4月25日

社長 鷲見禎彦殿 

原発の安全性を求める嶺南連絡会

代表委員 上野寿雄 朝倉説子
     遊津喜由 河内 猛
     高城 護 坪田嘉奈弥
     小川多嘉士

事務局 敦賀市鉄輪町2丁目2−25
電話23−2562

 敦賀3・4号機増設に関する公開質問状

 去る2月22日に開かれた「日本原子力発電株式会社敦賀発電所3号機・及び4号機の設置に関わる公開ヒヤリング(以下「公開ヒヤリング」と略記)」においては、多岐にわたる問題提起が為され、貴社より回答と説明がありましたが、時間的制約もあり、テーマによっては十分な説明と理解が得られないものもありました。

 一旦作られれば、私たち住民は、好むと好まないに関わらず、長期間その原発と共存することになります。それだけに住民の関心と不安は大きく、いろいろな意見や疑問をもっていますが、直接尋ねるまでにはいたらないのが実状です。

 私たちの会は、敦賀を中心とした嶺南一円の団体、個人で組織していますが、3,4号機増設に関し、より多くの住民の生の声を聴こうと、組織内だけでなく多くの方々に「公開ヒヤリング」の状況と回答内容を口頭と文書で説明し、これに対する意見や疑問点を尋ねてきました。

 下記の質問はそれを集約したものです。

 5月15日までに、文書回答を御願いするとともに、説明会を開催し、口頭での説明をされるよう要請します。なお説明会の持ち方については協議させていただきます。


質問 目次

1,安全性について

A.大型化とツインの問題について

B. 事故対応について

C.定期検査の短縮、労働者の被ばくについて

D.テロ対策について

E.耐震について

2,必要性について               

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3,建設費削減について

4,使用済み燃料の保管と廃棄物処理について  

5,住民理解、情報公開について

6,地域振興について 

1,雇用について 

2,地域振興策について

7,環境、温排水の影響について


1,安全性について

A、大型化とツインの問題について

質問1.改良型PWRの特徴は一定の説明がありましたが、「なぜ153万KWなのか」 については公開ヒヤリングの説明(以下「説明」と略記)が十分でなく納得ができません。また、そんなに一気に巨大化して大丈夫なのか。尋ねます。

質問2.改良型、大型化の経緯と特徴、安全性、経費等を、既設の原発と比較してまとめた資料として掲示されたい。

質問3.ツインで共有部は何々か。その目的、長短及び安全性との関係を尋ねます。

質問4.「非常用炉心冷却系(ECCS)について改良を行い、安全性を一層向上させるため、高圧注入系を従来の2系列から4系列にする」といいます。しかし、炉心冷却系の強化は、炉心に熱衝撃の後遺症を増大させます。その場合の炉心に対する影響について、具体的に尋ねます。

質問5.「ECCSの蓄圧タンクを改良し、従来の低圧注入系の機能に統一し信頼性を高める」といいます。しかし、冷却剤(水)損失など、炉心異常時の運転に低圧注入系の役割は大きく、コストダウンの観点から安全を犠牲にしたものといわざるを得ません。見解を尋ねます。

質問6.「美浜2号機の細管破断事故を教訓から〈蒸気発生器の信頼性向上〉のため、細管の耐腐食性改良(インコネルTT690合金)や新振れ止め金具の採用を行うといいます。しかし、定検時にECT(渦電流探傷装置)ではピンホールやクラックは発見できず、細管のギロチン破断が事前に防げないなど、対策は非常に不十分です。見解を尋ねます。

質問7.「高度なディジタル技術を駆使した計測制御システムを採用」するといいます。  

しかしデジタル計測器が設置される建屋のうち、耐震基準がCクラスの建屋は地震の被害が大きく、必ず故障が起きるといわれています。柏崎・刈羽6号機では、マイコンのビット化けで誤信号が出るトラブルが発生しています。これにどう対応されるのか尋ねます。

質問8.「プレストレストコンクリート製格納容器を採用する」といいます。しかし従来の格納容器は、厚さ38ミリの鋼板製でしたが、コンクリートと厚さ6ミリの鋼板に変更するもので、従来のものと比べると強度が落ちます。安く造ろうとするもので大変危険だと考えますが、見解を尋ねます。

質問9.「ウランの有効利用」といって、燃料の周辺に中性子反射体を配置するなどして、燃料に低濃縮ウランを採用する。またプルサーマル計画(MOX燃料を1/3〜1/4炉心)も計画されているといます。これは、燃料の融点の低下などの問題があり、また、炉心の制御が困難になるなど、大変危険です。見解を尋ねます。

質問10.「大型化した分の熱を除去するための冷却水の水量を増やし、一次冷却材ポンプを大型化する」といいます。これは最重要な機器であり実物と同じ構成で、実証試験が行わなけれる必要があると考えます。どのような試験を行い、どんなデーターが得られたのか尋ねます。


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B.事故対応について

質問1.「事故発生時はただちに国や自治体へ通報する。」となっています。「ただちに」とは「何分以内を考えているのか」を尋ねます。

質問2.今までの原発事故ではすべて自治体への通報の遅れが多く、その度に「今後改善する」と弁明されてきたのですが、これは体制に問題があると考えられます。3.4号機では、どんな通報体制を確立しているのかを尋ねます。

C.定期検査の短縮、労働者の被ばくについて

質問1.長サイクル運転、定期検査の短縮について尋ねます。

聞くところによると、新しい原発は18〜24ヶ月の長サイクルを計画しているとのことですが、3.4号機での計画は。また、定期検査は何日を予定しているのかを尋ねます。

質問2.1.2号機における労働者の被ばくの実体を尋ねます。

質問3.下請け企業の労働者の被ばくが深刻と言われています。特に定期検査の短縮による影響が大きいようですが、最近の定期検査の日数、下請け労働者の被ばくの実状、健康管理の状況を尋ねます。

質問4.被ばくをした場合の処置について尋ねます。


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D.テロ対策について

公開ヒヤリングで「原子炉格納容器は厚さ1メートル以上のコンクリートで、飛行機などが高速で衝突しても主要機器が大きな損傷をうけることはない。」と説明していますが、炉の格納容器だけが安全であっても安全の保障にはならず、格納容器の外にある配管が一本破断されても大事故になるのではないのでしょうか。どの部分を破壊されても安全ではあり得ないのが原発で「原発はテロに弱い」から、警備体制をとっているのではないでしょうか。

質問.格納容器の厚さだけで安全を主張するのでなく、広範囲にわたる被害を想定して可能な対策を研究すべきであると考えますが、見解を尋ねます。

具体的には、航空機やテポドン等で格納容器以外の施設が大きく破壊されたり、運転室に爆薬などが投げ込まれた場合、致命的な事故になるのではないでしょうか。

E.耐震について

説明によれば、「地震対策として1,活断層の上に作らない。2,岩盤状に建設する。3,最大の地震を考慮した耐震設計とする。また、活断層については綿密な調査を行い、建設予定地点では活断層がないことを確認しているが合わせて最新の知見と技術で広い範囲にわたって調査した。」とのことであるが、

質問1.「広範囲にわたって調査した」といわれる、活断層についての調査データを公開されたい。

質問2.「想定できる最大の地震規模を考慮して設計する」とのことであるが、想定した最大の地震の規模はいくらか。また、これはどのような手法で、どのように考慮されたのか、尋ねます。

質問3.浦底断層についての調査事項及び建設予定地との離隔距離を尋ねます。また、敦賀半島沖の海底断層の調査結果とその評価を尋ねます。

質問4.原子炉建屋、タービン建屋等各部の耐震基準はいくらに設定するのかを尋ねます。

質問5.3.4号機の基本設計の耐震設計は、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(現行指針)のみでなく、建築基準法施行令の定めによる「時刻暦応答解析動的設計」(「動的設計」)に基づいて行うのか、尋ねます。

質問6 応答スペクトル図について

1,日本原電は説明で、3・4号機の応答スペクトル図から「一部長周期において下回るところもあるが、原子炉施設の安全上重要な設備については、剛構造であり固有周期が短周期に集中していることから、(現行指針の)妥当性を損なうものではないと考えている」といいます。

 しかし、関西電力の大飯3号機の設計及び工事認可申請書では、原子炉建屋の一次固有周期が南北方向で0.664秒、東西方向では0.587秒と長くなっています。

 「短周期に集中」というなら、すべての建屋、機器、配管などの固有の振動周波数と固有周期を尋ねます。

2,説明で、「重要な設備については、実際のまたは詳細に模擬した設備を多度津の振動台で実証試験している」といいますが、せいぜい2g(1g=980ガル)であり、実証試験の名に値しません。すべての建屋、部屋の応答スペクトル図を明らかにしていただきたい。さらにそこでの機器、配管の固有周期と受ける加速度の大きさを尋ねます。


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2.必要性について

「電力需要が低迷する中で300万KWもの原発が必要か」の問に説明では「産業界は低迷しているが、家庭用、業務用はのびている。2010年までに国全体では2900万KW増加する見込みで、中電、関電、北電を合わせた需要電力の伸びは約1000万KWの予定」で「3.4号機の発電電力は関西電力、中部電力、北陸電力に買電の約束ができている」と述べています。しかし、関西電力では13.14年度で500万KWの火力を停止しており、北陸電力は志賀原発が完成すれば電力が余剰を生じるといわれています。

質問1.3.4号機の発電電力は関西電力、中部電力、北陸電力に5:4:1の比で売電される約束と聞いていますが、事実ですか。契約内容を尋ねます。

質問2.電力の需要予測について説明では「新しい産業構造の変化の中で、電力の需要も着実に伸びていくことを前提にしている」とのことであるが、この前提こそ虚構の予測です。計画の破綻は必定と考えますが見解を尋ねます。

3.建設費削減について

建設費8300億円が7600億円に削減するとのこと。「なぜ700億円削減なのか。安全性が犠牲になるのでは。」の問に対して説明では「7600億円は目標であって設計、工法を合理化し、安全性を確保しながら、経費削減に努める。」と言っています。

質問1.8300億円はどの段階での見積価格なのか。700億円という数字はどのようにして出てきたのか。700億円の算出の根拠と、削減による発電単価への影響を尋ねます。

質問2.発電単価が5.9円/KWHとするためには建設費はいくらになれば良いのか、尋ねます。

質問3.建設費低減の方法としてあげている「設計・建設方法の合理化」とは具体的にどのようにするのか尋ねます。

4.使用済み燃料の保管と廃棄物処理について

説明によれば、「使用済み燃料は発電所内の貯蔵プールで冷却・貯蔵した後、再処理工場、中間貯蔵施設に搬出する。貯蔵プールの容量は先行プラント並み」と言っています。

質問1.聞くところでは、貯蔵プールの容量は運転寿命期間の40年分とのことですが事実ですか。また、「先行のプラント並みの容量」とは何年分の貯蔵容量をさすのか尋ねます。

質問2.貯蔵プールでの冷却・貯蔵期間は何年間を考えているのか、尋ねます。

.住民理解、情報公開について

説明では「情報は原則的にすべて公開する。正しく、早く、わかりやすくを基本とする。地域への理解については住民対話に力を入れ積極的な情報公開、見学会、訪問対話を行う」とあります。 この観点から次の要請をします。

要請1.昨年9月、福井県は貴社の資料を検討して「敦賀3.4号機の安全性の確認について」の冊子を作成しました。この冊子作成にあたり貴社が福井県に提出した資料を 一部請求します。

要請2.大型化、改良型についての構造物の各種解析や試験のデータをすべて公表されたい。

要請3.各種データ、資料を公開した後、市民、批判的な学者・専門家を交えた公開討論会の開催を要請します。(討論会の持ち方については協議することとする)


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6.地域振興について

1,雇用について

説明によれば、増設による雇用の見通しとして1,2号機合計で約1350人(社員350人、協力会社1000人)が1〜4号機の合計約2000人(社員500人、協力会社1500人)に増員する、とされています。

質問1.今論議されているように1号機が廃炉になった場合には、この雇用数はどのように変わるか、を尋ねます。

質問2.1.2号機の雇用数について集計された協力会社について、協力会社の定義、会社の数、社名を尋ねます。

質問3.雇用は地元に配慮するとのことであるが、配慮の内容と、具体的な対策を尋ねます。

2,地域振興策について

質問1.説明では「地域振興を一過性に終わらせないために、地元企業への技術移転を進めている」とのことであるが、具体的に説明されたい。

質問2.説明にあった「3.4号機増設に伴う福井県内における経済的波及効果は経済的波及効果、約1200億円、雇用数の増加 約6000人」の計算根拠を尋ねます。

質問3.原発が立地されているために観光客の足は遠のき、製造業は振るわず、産業誘致も進まず、産業がひずんだ形となっています。原発企業としてこの問題をどのように見ておられるのか、を尋ねます。

7、環境、温排水の影響について

質問1.説明では「温排水拡散予測範囲(包絡)が1℃の上昇範囲が沿岸から東西13km南北6km、2℃上昇範囲が径約6kmとなっている」にも関わらず、「海生生物への影響は放水口近傍では多少あるが広い沿岸部では影響がない」と極めて楽観的な見通しであるが、河野村の陳述者も述べているように、沿岸から数キロの範囲は漁業にとって極めて大切な場所であることを認識し、生態系に与える影響を綿密に調査する必要があると考えますが、見解を尋ねます。

質問2.復水器への貝類付着防止のため、次亜塩素酸ソーダを注入するといいます。説明では、「3,4号機の放水口においては検出限界値(0.01mg/l)未満となるように管理することから、放水後の海生生物への影響はない」といっています。しかし、覆水器内ではかなり高い濃度であると考えられますが、その濃度を尋ねます。

質問3.冷却水として吸い込まれた大量の海水中には、卵や幼生など微小な海生生物が多く存在します。それへの影響と、生態系にあたえる影響を尋ねます。

質問4.公有水域を沖合4〜5百メートル埋め立てることは、海生生物や生態系に与える影響は甚大であり、「海食洞」が砂などで埋まり消滅する可能性も指摘されています。日本原電は、これらについて模擬実験を行い、影響についてきちんを調査すべきと考えますが、見解を尋ねます。

質問5.建設予定地に棲息が確認されている絶滅危惧種の「ヒナコウモリ」、危急種の「ハヤブサ」などに対する影響を尋ねます。 

以上

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