“敦賀原発ヒヤリング”

  電力需要が伸びない中、なぜ巨大原発が必要か。

  安全性の確認も、住民合意もできていない

「原発の安全性を求める嶺南連絡会」ニュースより


 日本原電の敦賀原発3・4号機増設計画をめぐり、経済産業省は2月22日、敦賀市の市民文化センターで第一次公開ヒアリングを開催しました。

 原発関係者や行政担当者、市民など約800人が傍聴するなか、敦賀市をはじめ近隣の美浜町、河野村、滋賀県余呉町などから事前に選ばれた二十人が意見陳述しました。

 嶺南連絡会・代表委員の坪田嘉奈弥さんは、「電気需要減少のなか巨大原発を二基も増設する必要はない。8300億円の建設費を7600億円に減らすというが、安全性より経済性を最優先するものだ。具体的にどこを削減するのか」などと質問。

敦賀原発3・4号機増設についての「一次公開ヒヤリング」(2002年2月22日/敦賀市市民文化センターにて)
 原電側は、「足下の電気需要は下がっているが産業構造転換のなかで需要はのびていくので計画は虚構ではない」などと回答。

 12番目に陳述した嶺南連絡会・代表委員の河内猛敦賀市議(共産)は、「原発の技術と開発は未確立だ。使用済み核燃料の処理も見通しはなく、再生可能エネルギーへの転換をはかるべきだ」と主張。17番目と18番目に陳述した連絡会加盟の山本貴美子、上原修一の各市議(共産)は、「建設予定地には活断層があり地震に耐えられるのか」「ヒナコウモリなど絶滅危慎(きぐ)種が生息する国定公園内で環境破壊につながる原発増設は許されない」「21万人分の反対署名が知事に提出されている。住民投票による建設是非の判断を」などと意見をのべました。

 原電側は、「多重防護による安全設計など総合的な安全対策を講じている」「機器と配管のモデルに振動を与える耐震検証試験をおこなった」などと抽象的な解説を繰り返すだけでした。


増設に同意するな ‥嶺南連絡会、県連絡会が知事に申し入れ

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 敦賀原発3・4号機増設計画をめぐり、私たち連絡会は県連絡会と合同で3月7日、栗田幸雄県知事にたいし計画に同意しないよう申し入れました。
 申し入れでは、「新型原発というが安全性の確認も、住民合意もできていない」「開発試験データなど情報公開が十分でない」「知事の判断を国に伝える前に、県民の意見を聞く場をもつべきだ」と訴えました。 

 応対した市橋一義・県民生活部長らは、「知事の立場は慎重に判断するということだ」「計画に疑問があれば直接事業者へ問い合わせてほしい」などと回答。申し入れ参加者は、知事には県民の安全を守る責任があり、県が説明の場をもつべきだと批判しました。

 なお、この申し入れには奥山裕二、佐藤正雄両県議(共産)に同席をしていただきました。

県に申し入れる連絡会のメンバー(7日県庁にて)

坪田嘉奈弥(嶺南連絡会代表委員)の陳述意見要旨

 2月22日敦賀市(市民文化センター)で行われた、経済産業省主催の「日本原電敦賀3・4号機公開ヒヤリング」での坪田嘉奈弥氏の陳述要旨に見出しを付け加えました。

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1,電力需要が減る中なぜ、300万KWも原発を増設するのか。

2,「コスト削減を最優先する」という発言の撤回と、方針の転換を。

3,机上の計算だけで改良型を建設するのは、敦賀を実験場にするもの。

4,地震の危険地帯に、これ以上原発を造るべきではない。

1,電力需要が減る中なぜ、300万KWも原発を増設するのか。

 必要性と安全性について質問します。まず必要性について、関西電力のホームページを見ると、「経営目標達成のための効率化のとりくみ」として、「平成12年度から15万キロワット以下の火力発電所を計画的に停止し、コストダウンをはかってきたが、平成13年度には小容量火力十五基、197万キロワットを廃止。加えて、中、大容量の火力発電所十基、413万キロワットを停止措置とした」と書かれています。

 つまり、平成13年度で約200万キロワット分を廃棄して、400万キロワット分の運転をストップしたということです。

 また、今年1月9日の発表では、14年度でさらに二基、100万キロワットを停止する計画で、停止の合計は実に500万キロワットです。

 さらに電力各社は、発電所の建設計画を延期したり、中止したりしています。その原因は、需要が減り電気がいらないからです。北陸電力も建設している志賀原発が完成すると、電気が余るので、関電や中電に売る予定だと聞いています。

 ところが、このように運転中の発電設備さえ停止する環境の中で、なぜ153万キロワットの原発を二基も新設しなければならないのか、私には理解できません。需要が増えても、停止中の発電機を動かせば、十分まかなえるではありませんか、新たに造るのは資源の無駄です。「完成するのは10年後のこと」といいます。

それなら10年後の電力の需要と供給のバランスシートを正確にきちんと示してほしいと思います。これは、資源エネルギー庁にお願いします。

 このことを裏付けるように、昨年2月4日の日経新聞に鷲見社長は「巨額の投資をして造っても、造った電気が売れないおそれがある」とのべていますが、私は当然の心配だと思います。しかし、今の説明では買電契約の合意はされているといいます。よって、中電、関電、北電との契約、合意の内容を具体的におたずねします。

 長期に電力の需要が落ち込んでいます。しかも、景気が回復しても産業構造が変化して需要がそれほど増えないといわれています。ですから、各電力会社は需要予測を下方修正し、経費の削減を行っています。

 国の計画は2010年までに、大型原発13基も造るといっていますが、現実を無視した計画であり、もっと現実に即した方向に見直されるべきです。こうした観点で、日本原電3・4号機の建設計画も見直されるべきだと思います。

 そして、設備に余裕がある今こそ、遠い将来を見越して、原発でなく環境にやさしい、永続性と再生可能なエネルギーの開発に政策を切りかえるべきと思います。


2,「コスト削減を最優先する」という発言の撤回と、方針の転換を。

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 安全性について、経済性、巨大原発、地震と集中化など3つの問題について質問します。

 電気をつくる発電所は、電気を使う消費地に造る方がよいわけです。発電所と消費地が遠くなればなるほど、送電線に金がかかる。エネルギーのロスが増える、トラブルが増える、そうするとお金がかかるわけです。しかし、原発は運転をはじめて40年経った今も、消費地から遠く離れた過疎地にしか造れません。その理由は、安全性に不安があるからです。放射能汚染の大事故が否定できないからです。このことは、1996年(6月24日)に原子力円卓会議で、原子力委員会の当時の委員長代理・伊原義徳氏が明言していることです。

 だから私たち立地地区の住民は、何よりも安全を最優先にすることを願っています。しかし、今の動きは住民の願う安全性を優先する方向ではなく、経済性を最優先しようとしています。

 今年の1月16日、敦賀を訪れた日本原電の鷲見社長は記者会見で、「これからはプライス、価格の時代であり、コスト削減が大きな目標となっている」として、「当初予定の8300億円は高いので、7600億円にしたい」(朝日新聞より)といっています。差し引き700億円で一割の削減。当初の8300億円は、それほどいいかげんな数字だとも思えません。一割も削減するというのは大変なことです。犠牲者を出した東海JCOの事故は経済性追求の結果のできごとでした。多くの事故が経済性優先で起きており、それは安全性の低下につながることは必至だと私は思います。

 そこでお伺いします。一割を削減するために、設計、施工の変更により安全性の低下は避けられないと考えますが、何処をどのように減らすのですか。先ほど「安全性、信頼性を優先し、建設費を低減する」と説明されましたが、理解できるよう具体的にお答え下さい。

 地元敦賀の業者のみなさんが、地元受注に期待をもっておられますが、発注費はどのようになりますか、一キロワット/時の発電単価をいくらにされる予定ですか。5年間の平均でなく、あなた方が造ろうとしている3・4号機についていくらになるかお伺いします。

 私は、この記事(朝日新聞)を読んで憤りを感じました。公開ヒヤリングを前に現地に挨拶にきた社長が、まず言うべきは、「安全第一に造るので、住民のご理解を得たい」というのが普通です。ところが、「コスト最優先、一割削減をめざす」と宣言するのは無神経にもほどがある。新聞記事ですから、発言のすべてでないにしても、他紙も同様な内容を報じていることから、まちがったものではないと思います。これはおそらく社長の本音だと思います。社長の本音は会社の方針です。この方針で敦賀に原発を建設することはやめてほしい。市議会が建設促進陳情を採択したので、地域を甘く見たのだと思いますが、これはまったく住民無視の発言です。「コスト削減を最優先する」という発言の撤回と、方針の転換を求めます。

3,机上の計算だけで改良型を建設するのは、敦賀を実験場にするもの。

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 巨大化の問題です。私たちが、最初にこの計画を聞いたのは、130万キロワットでした。それが、153.8万キロワットと世界最大規模と変わりました。運転中の加圧水型は118万キロが最大ですから、35万キロワット増やすということで、これは敦賀一号機一基分です。発電容量を増やすことで、コスト削減をはかる。ここにも経済性最優先が貫かれています。そんなに一挙に巨大化して大丈夫なのか。

 パンフレットによれば、特徴としてECCSを4系統にするとか、新しい中性子反射体の採用とか、蒸気発生器の伝熱管の支持点を増やすとか、また、事故防止策も一般論がのべられたにすぎません。それほど巨大化して大丈夫なのかということは、私たちにはわかりません。ここで望むことは大型化の詳しい経緯と、長所・欠点、従来型の炉との構造の違い、安全性の比較など、具体的な説明資料をきちんと出して、住民に判断の材料を提供した後に質問や意見を聞いてほしい。さらに、この巨大原発の安全性を確認するために、どのような実証試験がなされたのか。実証的な裏付けもなく、机上の計算だけで改良型を建設するのは、敦賀を実験場にするものでやめてほしい。


4,地震の危険地帯に、これ以上原発を造るべきではない。

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 次に集中化と、地震の問題です。敦賀は、敦賀湾から伊勢湾につづく活断層の連続である敦賀湾・伊勢湾構造線、それと、敦賀から琵琶湖の西をとおる花折・金剛断層の交点にあって、大地震発生の危険性がきわめて高いといわれています。だから、東京大学名誉教授(元地震研究所所長)で、我が国の第一人者といわれている力武常次先生が、その著書の中で「敦賀が、我が国で大地震発生の確率が最も高い。2010年までに加速度三百ガル(震度6位)を超える地震の確率は三六%」と書いています。この説にあわてた敦賀市が日大の萩原教授を招いて行った講演でも、「敦賀の危険度はAクラスだから注意しなさい」といわれて驚きました。 

 私は、このような地震の危険地帯に原発を造るべきでないと考えます。いわんやこれ以上の集中立地は絶対に避けるべきです。パンフレットによると「原発は活断層上に造らない」、「堅い岩盤上に造る」「最大地震を想定して設計する」といいます。

 しかし、鳥取県西部地震(二〇〇〇年一〇月六日)では活断層が無いのにM七・三の地震が起きました。堅い岩盤の上では揺れが少なくなるのでなく、別の固有の震動が起きる。加速度は軟らかい地盤よりもっと大きくなるといわれています。だからパンフの説明では、安全の保証になりません。原発は一本のネジの緩み、配管の亀裂が致命傷になる。美浜二号機の細管破断事故は、一本の触れ止め金具が付いていなかったことで起きています。

 阪神大震災で、ビルの外形にはヒビ一つ入っていないのに、内部の配管や配線設備がずたずたになったという例もあるわけです。

 そこで質問と要求ですが、発電所真下だけでなく、敦賀半島及び周辺の断層の状況を細かくきちんと調べてほしい。パンフにある、「最大地震を想定した耐震設計」という抽象的な文言でなく、耐震設計に関するすべてのデータの公開をきちんと行ってほしい。

 またいま、原子力安全委員会が、耐震設計審査指針の改定を行っていますが、そのこととの関係をお聞きします。

 最後に、3・4号機の使用済み燃料の貯蔵プールは、運転予想年の四〇年分を造ると聞いていますが、使用済み燃料処理の具体的見通しはどうか、運転が止まるまで、そこに置いておくのかお聞きします。

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◆連絡会加盟者の意見陳述を、発言順に掲載します。次回は、坪田氏の意見に対する回答と、河内猛代表委員の陳述要旨を掲載予定です。