原発の発電量1・5倍に・・・政府が温暖化対策口実に方針
(98/6/20赤旗)

戻る


◆原発の発電量1・5倍に・・・政府が温暖化対策口実に方針
  

先頭に戻る

 政府の地球温暖化対策推進本部(本部長・橋本竜太郎首相)は6月19日、「地球温暖化対策推進大綱」を決定しました。

 日本政府は、97年12月に開かれた地球温暖化防止京都会議で、温室効果ガスを2008年から2012年までの期間中に90年より6%削減することを約束しました。大綱は、この約束を果たすための方針として、@二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素を2・5%削減A代替フロンガスの排出量を2%程度の増加にとどめるB国際交渉で森林の吸収量が認められるよう努力するなどとしています。

 二酸化炭素などの削減の対策の主要な柱としてあげているのが、原子力発電所の増設。2010年度までに97年度の5割以上の発電電力量の増加をめざした増設が必要だとしています。

 太陽光や風力による発電などの新エネルギーについては2010年度までに現在の3倍をめざすとしています。

 また、「ライフスタイルの見直し」として、夏の間、実際よりも生活全体の時間を早めるサマータイム(夏時間)の導入などを議論する「地球環境と夏時間を考える国民会議」(仮称)を開催し、98年度中に結論を出すとしています。

●1年半ぶりの原子力白書政策見直しにはふれず

 谷垣科学技術庁長官(原子力委員会委員長)は6月19日、98年版の原子力白書を閣議に提出しました。動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が相次いで起こした「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故や東海再処理施設アスファルト固化処理施設の火災爆発事故で97年版がつくれなかったため、96年12月の96年版以来、一年半ぶりの刊行となりました。

 98年版白書は、第一章を「国民の信頼回復に向けて」と題し、動燃の一連の事故とその後の対応などについて記述。「原子力行政にたいする国民の信頼感が損なわれ、今我が国の原子力政策の在り方が問われている」と認めています。しかし、原子力政策の見直しにはふれず、国民の原子力への不安や不信に対応するために、情報公開や国民との対話を進めるとしています。

 一方、97年の地球温暖化防止東都会議で決められた日本の温室効果ガス削減目標を達成するためにも原子力は重要な役割を果たすと強調。動燃については、「核燃料サイクル開発機構」への改組に向けた作業がおこなわれているとして、改革が進んでいるとの認識を示しています。

 そのうえで、「原子力発電を今後とも安定的に進めていく上で、核燃料サイクルの重要性はいささかも変わるものではない」とあらためて表明。「もんじゅ」の事故などで見通しがたたなくなっているプルトニウム利用を進めるため、プルトニウムを現在稼働中の原発で燃やすプルサーマル計画を具体化するなど核燃料サイクルの推進をうたっています。

●解説・・国民の大きな不安も国際的批判も無視

 97年12月に開かれた東都会議では、日本政府は議長国でありながら、温暖化防止のための積極的な態度を示さず、国際的な批判をあびました。結局、先進国全体で、温暖化ガスの排出量を5・2%削減するという、不十分な目標を決定。これにもさまざまな抜け道を用意しました。

 日本は温暖化ガスの削減目標を」6%としながら、大綱が具体的に掲げている削減目標は2・5%にすぎません。しかも、この削減のための主要な対策としているのが原子力発電の1・5倍化です。

 国民のあいだには原発にたいする不安は大きく、新増設にたいしてはどこでも大きな反対運動が起きています。政府が進めてきたプルトニウム利用を中心とする原発推進政策はゆきづまり、放射性廃棄物の処理・処分は見通しがたっていません。

 原発の増設を温暖化対策とすることには、国際的にも批判があがっています。国民の意思を無視して原発増設を掲げ、それを温暖化対策だとすることは、国民にたいしても世界にたいしても無責任なやり方です。

戻る