日本原子力発電の敦賀原発1号機(福井県敦賀市、35万7千キロワット)で昨年10月、東京電力の福島第二原発1号機(福島県葉町、110万キロワット)で昨年12月、原子炉の出力を調整する制御棒が動かなくなる事故が相次いで発生した問題で、両社は1月20日、この制御棒をつくったスウェーデンのメーカーの製造上程に問題があったとする原因推定結果を発表。同メーカーの同じ現象が起こるおそれのある制御棒を使っているほかの9基を含む11基(いずれも沸騰水型)で、別のメーカーの新しい制御棒と順次交換することを明らかにしました。
発表によると、問題となった制御棒はスウェーデンのABBアトム社製。製造時の曲げ加工や溶接、曲がりの矯正などで制御棒の4枚ある羽の一部にひすみが生じ、運転時の中性子照射でこの部分に亀裂が発生。そこから侵入した水と羽の内部の中性子吸収材が化学反応を起こした結果、羽の内部に気体が発生して羽が膨張しました。このため制御棒と燃料集合体が接触し、動かなくなったとしています。
通産省・資源エネルギー庁は、敦賀1号機と福島第二1号機で、この事故が発覚した後、ABBアトム社製の制御棒の検査を指示しましたが、交換などについては指導していないといいます。
制御棒を交換することになった原子炉 電力会社原子炉交換本数
日本原電 敦賀1号 9
東海第二 25
東京電力 福島第一2号 13
福島第一3号 13
福島第一6号 13
福島第二1号 13
福島第二2号 12
福島第二3号 13
福島第二4号 25
白崎刈羽2号 4
白崎刈羽3号 4
計 144
◆敦賀1号機の制御捧事故で日本共産党が日本原電に申入れ
福井県敦賀市にある日本原電敦賀原発1号機(沸騰水型軽水炉、出力35・7万キロワット)などで原子炉の出力を調整する制御棒が膨張して動かなくなった事故で、日本共産党の国会議員団福井連絡事務所、県委員会、嶺南地区と敦賀市議団は1月22日、日本原電側から事故説明をうけたのち、原発内を視察し、安全総点検を申し入れました。
申し入れ内容は、諸設備をより厳しい基準で総点検してその結果を公表する、老朽化原発の延命策を中止して運転の永久停止を検討することなど。これには、木島日出夫衆院議員の織野孝司秘書、うの邦弘参院選挙区候補ら七人が参加しました。
問題の制御棒を94年から導人した理由について、日本原電敦賀発電所の河島進所長代理らは「廃棄物の量を抑え、寿命も(従来のより)3〜4倍になるから」と説明。また機能試験だけですましていて今回の事故が発生したことについては「かなり実績があったから」とのべました。
今後の対策では、従来からの週一回の機能試験にくわえて「新たに(制御棒を)入れなおしたときには検証する必要がある」と説明。党側は、事故の生データを公表するなど、安全をねがう国民の声にこたえる対応を重ねてもとめました。
・・・・日本共産党が関西電力へ中止など申し入れ。
関西電力は1月20日、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを軽水炉で燃やすプルサーマル計画で使われる混合酸化物燃料(MOX燃料)の加工を、英国原子燃料公社に発注したと発表しました。
関電は、同計画を1999年春から福井県高浜町の高浜原発4号機で導入する予定で、加工や輸送に約1年3カ月かかることから、MOX燃料8体の加工を発注したとしています。プルサーマル計画の導人には福井県など地元白治体の事前了解が必要ですが、まだ関電は了解願を提出していません。
これに対して、日本共産党の国会議員団福井連絡事務所、県委員会、嶺南地区と敦賀市議団は1月22日、関西電力に対して、プルサーマル計画の中止などを申し入れました。
◆日本原電敦賀原発一号機の制御棒事故にともなう安全総点検の申し入れ 先頭に戻る
一九九八年一月二十二日 日本共産党国会議員団 福井県連絡事務所
日本共産党福井県委員会 政策委員長 宇野邦弘
日本共産党嶺南地区委員会 委員長 川畑哲夫
日本共産党敦賀市議会議員団
河内 猛
奥山 裕二
上原 修一
日本原子力発電株式会社社長
阿比留 雄 殿
貴社は、敦賀原発一号機でおきた制御棒の膨張事故について、製造段階での落ち度が引き金であったこと、同じ製造会社の旧制品の使用実績に問題がなかったということで定期点検のさいに外観点検を省略していたと報道されています。
これまで、貴社をふくめ電力各社は、いざというときには制御棒が働くから安全と説明をされてこられました。まさに制御棒は「安全神話」の象徴といえるものです。その制御棒が膨張し亀裂が入っていたとなると、一歩間違えば大事故につながっていた重大なものといわねばなりません。
貴社の説明によりますと、制御棒の加工時の作業不良が原因で、制御棒の内部にひずみが発生し、応力腐食割れ、ひび割れからの冷水の混入、想定外の化学反応による水素ガスなどの発生となどの積み重なりで膨張、変形したとの説明であります。これまで、もんじゅの事故のときもそうでしたが、指摘されていたような事故がおきるたびに「想定外のこと」がおきたという説明をされています。一口に「想定外」といわれますが、想定外の事故が大事故につながりかねません。日本共産党は、安全性が確認されないまま原発の建設と運転が強行されたことに一番の原因があると考えますが、これだけ原発における事故がつづきますと、貴社の発表をそのまま信頼するわけにはいきません。制御棒以外にもさまざまな問題があるのではないかと心配になります。しかも外観点検も省略して定期点検を終了していたとなりますと、何のための定期点検なのかと疑問を感じます。そのうえ、一号機では炉心隔壁を交換すると発表されています。これも、なんの安全性の裏付けもない老朽化した原発の延命策といえるものです。
日本共産党、これまでの経過にたって貴社にたいし、次のことを申し入れます。
一、今回の事故の教訓から、最も古い一号機について制御棒の交換だけで運転を再開するのでなく、この際、原子炉をふくむ諸設備のすべての安全性をより厳しい基準で総点検を実施すること。
一、総点検した結果をデータをふくめ全て県民に公開し説明すること。
一、炉心隔壁の交換による安全性の確保は何ら保証がありません。また、交換するには放射線の非常に強いところで作業することになり、作業者の被ばくが増大します。したがって労働者被ばくが増大するとともに大事故につながりかねないような老朽化した原発の延命策は中止し、永久運転停止を検討すること。
以 上
一九九八年一月二十二日 日本共産党国会議員団 福井県連絡事務所
日本共産党福井県委員会 政策委員長 宇野邦弘
日本共産党嶺南地区委員会 委員長 川畑哲夫
日本共産党敦賀市議会議員団
河内 猛
奥山 裕二
上原 修一
高浜町議会議員 渡辺 孝
関西電力社長 秋山 喜久 殿
貴社の桑原茂原子燃料部長らは二十日、福井県庁で記者会見をおこない、プルサーマル計画に必要なMOX燃料の加工を始めるよう英国の燃料会社に依頼したことを発表されました。
このプルサーマル計画については、プルトニウムとウランの混合燃料を既存の軽水炉での使用することによる原子炉制御の困難性、プルトニウムをとりだすための使用済み核燃料の処理技術の未完成という問題点や使用済みのMOX燃料の再処理技術の未確立、MOX燃料の経済性など、多くの問題点が指摘をされています。
資源エネルギー庁などが福井市でおこなったプルサーマル計画のシンポジウムでも、貴社の桑原茂原子燃料部長が「MOX燃料の制御能力はウラン燃料より低下するが基準をクリアーしているから安全」「事故制御は、制御棒やほう酸水の効果で安全に停止できる」などの説明をされていますが、いずれも、今の原発より安全性が低くなる危険があります。現在、日本全国で原子力発電所の事故がつづいており、とても「安全」とは程遠いのが今日の原子力発電所の現状です。関西電力がくりかえし主張されていることは、多くの国民から信頼を失っている「安全神話」を信じてくれというものでしかありません。
しかも、プルサーマル計画に必要な事前了解願いも県や地元自治体に提出もされておりません。最初にMOX燃料の使用が予定されている高浜町では地元の住民にたいする説明さえされておりません。これまで「地元合意」の尊重ということを建前としては口にされてきましたが、これでは、問答無用で計画通りすすめるという態度に等しいものです。貴社は「ぎりぎり待った」と説明をされていますが、これは企業の論理であり、住民の側からすれば、安全性や再処理技術の未確立のまま急いで実施する必要性を感じておりません。急ぐ必要があるのは、事故つづき原子力発電所の総点検です。貴社のいう「ぎりぎり」という企業の論理に同意することは到底できません。
よって日本共産党は次の点をつよくもとめるものです。
一、MOX燃料を既設の原子炉で燃焼させた場合の安全性を国民が納得するまで確認をすすめること。
@今月二十九日に貴社などは、住民を対象に説明会を開くと発表しています。しかし、住民からの文書質問に答えるのみで自由な討論はできないと聞いています。住民が自由に参加し意見がいえるよう改善すること。また、政府のスケジュールにあわせるのではなく、国民合意が得られるよう討論会の機会を積極的にもうけること。
A高浜町でも住民を対象とした自由な討論ができる説明会を開催すること。
B併せて、美浜一号などで六体のMOX燃料が照射実験されましたが、現在でもなお一部学会発表を除いて、関連するデータ・資料はまったく明らかにされていません。安全だというなら貴社はこれらのデータ・資料などの情報を全て住民に公開すること。
一、MOX燃料の使用済み核燃料の処理技術が未解決であり、このまますすめば「トイレなきマンション」を増やすだけとなります。したがって、処理技術の確立なしにMOX燃料の使用をしないこと。
一、国民合意のないプルサーマル計画は中止するとともに、英国の燃料会社に依頼したMOX燃料の加工を中止すること。
以 上