11月20日午前1時15分ごろ、茨城県東海村の日本原子力研究所東海研究所のウラン濃縮研究棟で発煙があり、火災報知機が作動しました。原研職員が現場確認をしたところ、同棟の原子蒸気実験室人口付近の廃棄物置場にあったカートンボックス(紙製バケツ)約20個から炎が上がっており、砂や水などで約1時間半後に火は消し止められました。
カートンポックスには、作業で使った布きれやビニール手袋などが保管されています。原研はカートンボックスのそばに置いてあったステンレス缶内の粉末金属ウランが自然発火した可能性が高いとみて詳しい原因を調べています。実験室では、天然ウランを蒸気にしてレーザーを当てる濃縮実験をし、その過程で出た粉末ウランを取り出す作業を11日から19日まで4日間おこなっていました。粉末ウランは一次酸化処理され、二重構造のステンレス缶に保管されていました。
現場に人った原研職員によると、11缶あったうちの1缶の外ぶたが1メートル先に飛ばされ、中ぶたは変形し、缶内に落ち込んでいたといいます。粉末ウランには酸化しやすい金属ウランが混人していたとみられています。原研によれば、このステンレス缶は通常、実験室隣の核燃料保管室に保管しなければならないといいます。
原研によれば、消防への連絡は、1時41分ごろ。外部への放射性物質の放出を監視する排気モニターの値は、一時上昇しましたが、警報が出る値には達しなかったといいます。
原研東海研究所では1989年5月にも、金属ウランが発火してポリ容器が燃える事故が起きています。科学技術庁は、ウランの管理に問題がなかったかどうか詳しく調べるとしています。
●県への通報2時間遅れ 先頭に戻る
日本原子力研究所(原研)東海研究所(茨城県東海村)のウラン濃縮研究棟での火災で、原研の県や科学技術庁にたいする通報が大幅に遅れていたことが、20日午後わかりました。茨城県は「動燃再処理工場の火災爆発事故の教訓がまったく生かされていない」などと、同研究所長にたいし情報伝達体制の改善を要請しました。
今回の火災では、同研究所は発生から約2時間後の20日午前3時16分、原研が県原子力安全対策課にファクスで情報を入れました。ところが通常この時間には同課の職員はおらず、ファクスを読む者はいませんでした。同課識員が火災を確認できたのは同日午前3時25分。東海村の消防署が県消防防災課に連絡。同課から自宅への電話を受けた原子力安全対策認識員が、同研究所に確認しました。同研究所から科技庁への通報も、事故後約一時間の午前2時17分でした。