動燃(動力炉・核燃料開発事業団)の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ・火災事故について原子力安全委員会が設置した作業部会(ワーキンググループ)は8月7日、第二次の調査報告書をまとめました。このなかで、動燃がナトリウム漏れが起こったら鉄とナトリウム、酸素が関係する危険な反応が起こって床の鉄板が腐食することを示す論文があることを設置許可申請の段階で知りながら安全審査に反映されなかったことが明らかになりました。
同作業部会は、もんじゅ事故の際に漏れたナトリウムで床の鉄板に予想を上回る変形や減肉が生じたこと、昨年6月におこなった再現実験で鉄板に穴が開いたことなどについて検討。その原因は、鉄とナトリウム、酸素が関係する界面反応による腐食が起こったためであると結論づけました。
同作業部会は、このような反応が設置許可を出すための安全審査の段階で知られていたかどうか調査。動燃は、設置許可申請の段階で、このような反応についてまとめた論文に接していたものの、問題意識がなかったため重視せず、審査資料として提出しませんでした。
このため、同作業部会は調査報告書で、安全審査関係者は、開発に必要な技術情報を幅広く収集する必要があると提言。さらに、設置許可を出すための安全審査をおこなつた後も常に新たな研究成果にもとづく知識を収集して安全確保対策に取り入れる努力を払うことも求めました。
報告書は8月7日から公開し、9月16日まで一般からの意見を郵送、ファクスなどで受け付けます。問い合わせは科学技術庁安全調査室エ03(3595)1831まで。
高温の液体ナトリウムが漏れて床の鉄板に穴があいた場合、ナトリウムとコンクリートが接触して大量の水素が発生し爆発的な燃焼(水素爆発)が起こる危険性があります。動燃が昨年」6月におこなったもんじゅ事故の再現実験では、〃水素爆発〃が起こつたことがわかっています。動燃が実験の様子を撮影したビデオでも、〃水素爆発〃の場面をはっきりとらえています。
日本共産党の吉井衆院議員は、昨年6月の衆院科学技術委員会で、もんじゅ事故が水素爆発の危険のある重大なものだったと指摘。安全審査で水素爆発を想定していなかった問題を追及していました。
しかし、科学技術庁と原子力安全委員会は、再現実験で〃水素爆発〃が起こった事実を認めようとはしていません。今回の調査報告書でも、再現実験については、床鉄板に五カ所穴が開いたことにふれていますが、〃水素爆発〃が起こったことについてはまったくふれていません。
もんじゅ事故の教訓を生かすには、都合の悪い事実から目をそむけるのでなく、すべてを冷静に検討する姿勢が求められます。