福井県敦賀市で一昨年(95年12月)に起きた「もんじゅ」事故の虚偽報告で動燃が住民から告発されていた事件は7月18日、法人としての動燃とともに動燃の二職員だけを略式起訴するにとどまりました。事故隠しの真相も幹部の責任も明らかにされず、「依然見えぬ動燃の『うそ』」「運転再開へ科技庁圧力?」(中日新聞19日付)などと報じられるなか、地元からは「私らの願いからはかけ離れた内容」と批判の声があがっています。
「国民の怒りをまえに形だけつけたした免罪だ。責任者の処分がぬけ落ち事故の反省も感じられない。たび重なる動燃の事故にたいし『自分た
ちで安全と健康を守らないと』と感じ始めている住民からすれば今回の処分には、かえって不信、不安、不満が広がると思う」。原発の危険から住民の安全を守る活動を続けている上野寿雄さん(原発の安全性を求める嶺南連絡会代表委員)は語ります。
告発人代理人らも18日、記者会見のなかで「『もんじゅ』事故以降も動燃は東海事業所、『ふげん』事故と同じことを繰り返してきた。告発はこの体質にメスをいれないと安全が確保できないと起こしたものだが、動燃には自浄能力がないことがわかった。『もんじゅ』の運転再開はまかせられない」と批判しました。
東海での事故直後、敦賀市で、上野さんらが「もんじゅ」運転永久停止を求める署名行動をしていたところ、動燃の下請け労働者が「下のせいにしたり、下請けに責任をなすりつける動燃は無責任。あんなことをしたら事故はいつか起きると考えていた。現場で働いていても不安がつきまとう」と語っています。
批判は、告発代理人が「うその報告を許し動燃をかばっている」と指摘するように、科学技術庁の責任にもむいています。上野さんも「動燃に責任をおしつけ一部改革をして、とにかく早く前へ進めたいという姿勢がみられる」と指摘。そのうえで「破たんが明白になったプルトニウムの循環計画は白紙に戻し、原子力開発政策を根本的に見直すべきだ」と語ります。
高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ・火災事故の際、現場への入室時刻を偽って報告した問題で、動燃は7月18日、現地に派遣されていた科学技術庁の運転管理専門官にたいして、直後に正しい時刻を伝えていたとする調査報告書を発表しました。
動燃の調査報告書によると、事故発生翌日の95年12月9日午前3時ごろ、科技庁の専門官の対応にあたっていた技術課員が、技術担当副所長から、午前2時に入域調査がおこなわれたことを説明するように指示されました。技術課員は専門官にたいし、「『配管室に人域し調査した。ナトリウム漏えいを確認した、もやっとしていてよくわからない』旨の自ら知っている範囲で入域結果を報告した」としています。
同月18日に動燃が提出した、法令にもとづく報告書には入室時刻を「10時」と記載、科技庁はそのまま受理しました。その後、午前2時ごろに入室して撮影したビデオの存在が明らかになり、住民から原子炉等規制法違反だとして告発されました。