1995年12月に起きた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)のナトリウム漏れ・火災事故で、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が事故現場へ職員が最初に入った時間などを偽って国へ報告したとして、住民らが動燃の元幹部4人を告発した事件で、福井地検は7月18日、原子炉等規制法違反の罪で事故当時の報告担当者だった「もんじゅ」建設所技術課の西田優顕課長(46)と佐藤正明課長代理 (45)2人と法人としての動燃を略式起訴しました。
原子炉設置者が同法違反で刑事処分されたのは初めて。今年3月に起きた茨城県東海村の再処理工場爆発事故でも、動燃は科学技術庁から告発されています。
告発された大石博前理事長(現相談役)、大森康民前もんじゅ建設所長(現動力炉開発推進本部相談役)ら元幹部4人には、虚偽報告との認識があったとは判断できないなどとして立件を見送りました。
動燃は95年12月9日午前2時15分ごろ、職員が事故現場の配管室に入ったのにもかかわらず、同日午前10時を最初の入室時間と偽って科技庁に報告、さらに現場の様子を撮影したビデオを短く編集して提出しました。
告発人代理人の佐藤辰也弁護士らは記者会見のなかで、法人としての処分は評価できるとする一方、所長、副所長らが不起訴となったことには「(彼らは)事故直後に現場にいたのに、今回の処分では事件の事実解明、責任の所在が明らかにならず、国民が知りたいことに、なんらこたえるものとなっていない。動燃には運転再開の能力はない」と批判。今後も問題点を明らかにしていく意向を示しました。
●原発問題住民運動福井県連絡会の渡辺三郎代表委員の話
事故の経過からみて、一貫した事故隠し体質のもとで組織ぐるみで生み出された虚偽報告には、より上部の動燃幹部がかかわっていろはずで、今回の範囲での略式起訴というのは納得ができない。事態の重大性からみて正式裁判がなされるべきではないか。
動燃は6月18日、「もんじゅ」事故に関連し、事故直後の午前2時に事故現場への入室を決断したのは、「もんじゅ」所長と副所長の決断だったとする報告書を発表しました。
福井地検は所長らを起訴処分からはずしましたが、告発した側からの批判を裏付けるものとなっています。
「もんじゅ事故に係るビデオ関連経緯について」と題する報告書によると、事故直後の95年12月9日午前1時ころ、午前2時からの入室について、「現場からの配管室に行けそうだとの報告を受け、所長と副所長が協議して決断した」となっています。
また、退室後の午前2時半から3時にかけて、緊急対策室で作業員5人が報告し、入室時のビデオを再生。「当時、大森所長、佐藤副所長以下の在室者が2時ビデオを見た」としています。