衆院科学技術委員会は6月5日、今後の原子力政策について6人の参考人から意見を聞きました。日本科学者会議原子力問題鹿研究委員会委員長の館野淳中央大学教授の意見の要旨を紹介します。
●原子力開発全般に国民が不信を表明
私は、一年半ほど前まで日本原子力研究所におりました。そうした体験も踏まえて話したいと思います。
「もんじゅ」の事故、東海再処理工場の火災・爆発事故は、技術的にみても重大、かつ深刻でした。これを契機に動燃の体質とか、あるいは安全審査などを含む原子力開発体制全般にわたって批判が集中してきたことは、今日の原子力開発の進め方にたいする国民の不信の表れだと思います。 しかし、政府や産業界は、動燃告発や解体などで、動燃だけに間題を限定し、批判が原子力開発体制全般や政策全般に広がることを食い止めようとしています。
10年ほど前、日本科学者会議は、原子力開発について提言を出しました。自主・民主・公開の原子力平和利用3原則を遵守すること、原子力安全委員会発足で役割を終了した原子力委員会を廃止すること、研究者の公選制による原子力研究会議を設置すること、日本原子力研究所を特殊法人から国立研究所へ改組すること、動燃を廃止すること、軽水型原発の新設を中止すること、使用済み核燃料の即時再処理を延期し原発敷地内への長期保管体制を研究すること、高レベル廃棄物の処理・処分について国際学術連合の勧告を全面尊重すること、ウラン・プルトニウムサイクルを再検討すること、将来の核燃料再処理に備えた基礎研究を強化することなどです。これは、動燃事故以後の事態の展開をみても正しかったと思います。
●技術的に未完成の核燃料再処理技術
動燃事故について、日本科学者会議の原子力問題研究委員会は声明を出し、根本的原因として3点あげました。
第1点は技術の問題です。核燃料再処理技術は、高レベルの放射能、強い酸、有機物が混在する物質系を扱う化学システムで、技術的に非常にむずかしく、未完成です。プルトニウム・リサイクル政策を抜本的にあらためる必要があると思います。
2点目は動燃体制の問題です。動燃発足は、単に一つの特殊法人が発足したということだけでなく、それまでの開発方式の全面的な変更でした。まがりなりにも存在していた基礎研究を切り捨て、スケジュール優先の開発を進めました。
3点目は民主主義の問題です。虚偽報告も、外部への思惑などで事実が簡単にまげられてしまうことから起きています。かつては、動燃労組もアンケートをとって八十カ所の問題点を指摘し、改善要求などをおこないましたが、こういう要求は無視されて、当局の意向に逆らわない労働組合に変質させられてしまいました。
原研でもさまざまな抑圧が
加えられましたが、原研独自でなくて、科学技術庁から、こういうふうに変えろという文書が出されていました。原研では、
基礎研究ばかりやっていて、また労働組合がうるさいからと、原研から開発をとりあげ動燃に移しました。そういう科学技術庁の優等生がこういう事故を起こした。非常に皮肉だと思います。
●数々の問題があるプルサーマル計画
動燃事故によって、いま国が進めようとしているプルトニウム・リサイクル政策が技術的見地からもたいへん無理な政策であるということが非常に明確になったと思います。新型転換炉、高速増殖炉がだいたいだめになったということで、もっぱら軽水炉でプルトニウムを燃やすプルサーマルの計画を推し進めようとしています。
プルサーマルは、経済的にも技術的にもデメリット(不利な間題)があります。軽水炉で燃やした場合、プルトニウムの高次化という現象が起こって、非常に防護しにくいガンマ線などを出すダーティ(きたない)プルトニウムというものがたくさんでき、労働者の被ばくが増えます。使用済み核燃料のなかに数万年とか数十万年の超長寿命の放射性物質が大量に含まれるようになります。
プルトニウム・リサイクル政策を中止し、青森県六ケ所村の再処理工場の建設はやめるべきです。