関西電力へ
安全性、経済性などに重大な問題点があるプルサーマル計画を実施しないよう要請する申し入れ。
    ・・・日本共産党嶺南地区委員会・同議員団

●第一に、その危険性です。
●第二に、環境汚染や労働者の被曝も増大します。
●第三に、その不経済性です。
●第四に使用済み燃料の再処理の問題です。
●第五に「余剰プルトニウムを持たない」などという国際的問題です
●第六に、安全性の裏づがないままに強行されるという重大な問題
●最後に、昨年1月の三県知事提言にてらしても問題があります。

(97年3月6日)                  戻る

 1997年 3月 6日
関西電力社長 秋山 喜久殿
                       日本共産党嶺南地区委員会
                        
 
 新型転換炉「ふげん」の実証炉はコストが軽水路などの1.5倍かかるという経済的理由で断念。それが失敗したのに続いて「もんじゅ」の事故は、国の「核燃料リサイクル」路線を根底からゆるがしています。この二つの失敗で事実上行きづまっている中で、政府はプルトニウムをMOX燃料(ウランとプルト二ウムを混ぜた混合燃料)として軽水炉で使用するプルサーマル計画を閣議決定し、本県にも協力を要請してきています。
 こうした政府の決定に積極的に応えるため貴社は、県や高浜町にプルサーマル計画実施の要請をすると報道されています。
 しかし、政府の原子力政策と動燃などに対する不信から、地元の合意がなかなか得られない状況になっているのに加え、プルサーマル計画には安全性、経済性などに重大な問題点があります。
 よってわが党は、次の事柄からプルサーマル計画を実施しないよう申し入れます。

◆第一に、その危険性です。 先頭に戻る

 現在運転されている軽水炉はすべて、ウラン燃料を使用するよう設計されています。原子炉を安全に制御、運転するには、中性子物理的挙動(核分裂反応)が安定していることが欠かせませんが、MOX燃料が使用されれば、ウランとプルトニウムでは核特性が大きく異なるため、原子炉停止の反応度の余裕が小さくなるなど、安全上マイナスとなります。(もともと設計に含まれている安全上の余裕が減少させられる)
 MOX燃料を使用することは設計上考慮されている小さな反応度事故などが、大きな事故へと発展する危険性が大きく、原子炉の制御がむずかしくなり、大事故の可能性も高くなります。いったん事故が起きれば、放射性の猛毒であるプルトニウムの影響は甚大なものとなります。

◆第二に、環境汚染や労働者の被曝も増大します。 先頭に戻る

 プルトニウムの1グラム当たりの放射能の強さはウランと比べて1万〜1億倍以上も大きく、いったん放出されれば、環境を長期にわたって汚染し、人体への影響では内部被曝が問題となります。いったん体内に取り込まれると、”がん”などを発生させ、許容線量以上であっても外部からプルトニウムを検出することはできないと言われています。
 また、MOX燃料に使用される、使用済みウラン核燃料から再処理して得られるプルトニウムの組成は、プルトニウム−239についでプルトニウム−241の割合が多くなります。これは、軽水炉で核分裂性(等価フィサイル)の高いのはプルトニウム−239(1・0)を基準とした場合、ウラン−235(+0・8)とプルトニウム−241(+1・3)だからです。
 MOX燃料にプルトニウム−241の割合が多くなるということは、それが崩壊して生成するアメリシウム−241が増加するということです。アメリシウム−241は、崩壊の時に放出するガンマ線により、燃料製造時などの作業員の被爆が増大し、取扱いを困難にします。

◆第三に、その不経済性です。 先頭に戻る

 使用済みMOX燃料は処分するにしても再処理するにしても多大の費用がかかります。使用済みウラン核燃料からプルトニウムをとりだす再処理も、国内ではコスト的に引き合いません。結局、これらの費用は国民の負担となります。また、資源の有効利用といっていますが、プルサーマル利用を繰り返しても(MOX燃料を再処理してプルトニウムを取り出して、またプルサーマル利用する)、ウラン資源の利用率はわずか0・75%であり、ウランのワンス・スルー利用の1・5倍にすぎないとする指摘があります。


◆第四に使用済み燃料の再処理の問題です。 先頭に戻る

プルトニウムを利用するためには、使用済みウラン燃料の再処理をしなければなりません。しかし、再処理をすると、放射能の極めて高い廃棄物が発生します。現在の再処理では、超ウラン元素や長い半減期の核分裂生成物などもすべて高レベル廃棄物となっています。そのため処分の際に安全性を考慮すべき期間は数万年とも十万年とも言われています。この問題を解決するために再処理において、これら元素を分離するとともに、原子炉や加速器を用いた核変換や燃焼の研究開発など「消滅処理」が始められています。こうした技術が実現すれば、高レベル廃棄物の管理期間を千年程度に短縮できる可能性があると言われています。こうした技術開発をまつことなく、プルサーマル計画のために再処理を行い。また、ガラス固化し、地層処分を実施することは問題です。
 次に、MOX燃料の再処理をするとすれば次の問題が指摘されます。日本原子力学会によれば、アメリシウムとキュリウムなど超ウラン元素の生成量は、軽水炉のウラン燃料に比べてMOX燃料では格段に多くなります。また、214万年の半減期を持つネプツニウム−237の生成量もMOX燃料の方が多く、そのため高レベル廃棄物の処分の安全性から大問題になると言われています。また、プルサーマル利用された使用済みMOX燃料は、対応できる再処理工場がないため、長期計画では、2010年に方針を決定するとし、「民間第2再処理」で対応する予定です。よって使用済み燃料のまま長期に保管されることになると、結局これも「今後の課題」として先送りされることになります。

◆第五に「余剰プルトニウムを持たない」などという国際的問題です
先頭に戻る

日本が「もんじゅ」を基本とする「核燃料サイクル」を推進するならば、その技術的めどを立てることが先決ですが、それが行きづまったいま、長期計画では、「商業規模の再処理工場の建設、運転経験を蓄積することにより生じるプルトニウムを、『余剰プルトニウムを持たない』という政策のためにプルサーマル利用する」としています。これは、日本がアメリカの核政策と核拡散防止条約に従属することによって「プルトニウム利用計画」が認められているため、「余剰プルトニウムを持たない」というアメリカへの公約を実現する問題があるからです。また、再処理の英仏への委託についても、アメリカと欧州原子力共同体との原子力協力協定交渉が暗礁にのりあげているため、欧州でMOX燃料に加工する計画も先行き不透明になっているのに加え、フランスからプルトニウムを輸送した、「あかつき丸」の騒動がしめすようにプルトニウムの海上輸送が簡単にできる情勢でもありません。よって、軽水炉でMOX燃料を燃やすのは、ただプルトニウムを蓄積させないためだけが目的であるならコスト的にはウラン燃料の方が安く、かつ安全性の問題もすくないことから、あえて使用済み核燃料を再処理しなければならない理由はないと考えます。国にプルサーマル計画の中止を要請すること。

◆第六に、安全性の裏づがないままに強行されるという重大な問題です。 先頭に戻る

 政府、電力会社はMOX燃料の利用を打ち出しながら、MOX燃料自体の健全性とMOX燃料を装荷した原発の安全性を裏づけるデータ・資料についてはまったく口を閉ざしていることです。
国民への説明は、「サイクル利用は、ドイツやフランスを中心にヨーロッパにおいて既に相当の実績がある」とか、「現在の少数体の実証計画の成果がある」とかという程度で、外国でも日本でも相当な実績があるからとにかく大丈夫だと言うことだけです。これでMOX燃料の利用が安全だと納得する国民はいないでしょう。
 では「ヨーロッパにおいて既に相当の実績」という内容について、政府・業界関係は現在、フランスで90万キロワット級軽水炉9基、ドイツで軽水炉9基でMOX燃料が使われていることなどは公表するものの、安全性にかかわるデータ・資料に基づく説明はまったくありません。
 次に「現在の少数体の実証計画の成果がある」というのは敦賀1号、美浜1号など6体の照射実験でMOX燃料の健全性を実験したもので、現在でもなお一部学会発表を除いて、関連するデータ・資料はまったく明らかにされていません。しかも重要なことに、「実証計画」といっていますがこれは営業炉による実験であり、さらに今回の「プルサーマル計画」は営業炉にMOX燃料を装荷し、運転特性など評価する前例のない実験です。よって、安全だというなら貴社はこれらのデータ・資料を全て公開すること。


◆最後に、昨年1月の三県知事提言にてらしても問題があります。
先頭に戻る

 提言は、「プルサーマル計画やバックエンド対策に係る諸問題も含め、改めて国民各界各層の幅広い議論、対話を行い、その合意の形成を図ること。検討の段階から十分な情報公開を行うとともに、安全性の・問題も含め、様々な意見を交わすことのできる各種シンポジウム・フォーラム・公聴会などを各地で積極的に企画、開催すること」としています。現段階では、すくなくとも福井県民の間では「各界各層の幅広い議論、対話」「様々な意見を交わすことのできる各種シンポジウム・フォーラム・公聴会等」はなされておりません。このような状況のもとで、貴社はプルサーマル計画実施を自治体に協力要請すべきではありません。
 また、以上述べた問題の根本解決のために、プルトニウム路線そのものの見直しを政府にもとめるべきです。
以上
 

先頭に戻る