除染どう進める(4)・・行き場を失った汚泥

3号機、毎時1500マイクロシーベルト・・福島第1原発を公開
原子力安全委で耐性試験議論始まる・・班目氏、1次評価では安全性不十分

都立公園で高放射線量・・共産党都議団調査、2万3300ベクレル検出

放射線量測定システム稼働・・福島の小中高などで
(「しんぶん赤旗」2012/02/22)


除染どう進める(3)・・国の「安全」への不信

行き場のない汚泥を入れた袋をつめて上からコンクリートでふたをした状態のエアレーションタンク。手前のブルーシートの上の機器は外気にもれる汚泥の臭いを消すもの=福島市下水道管理センター


 福島市下水道管理センター・(堀河町終末処理場)のエアレーションタンクに下水道処理で出る汚泥が入った1トン袋が並べられていきます。本来、エアレーションタンクは下水に微生物を含んだ活性汚泥を加え浄化を図る施設ですが、放射能に汚染され、行き場を失った汚泥の置き場所にもなっています。

 その量は、昨年6月10日からの累計で1万4477トン。深さ6メートル、縦9メートル、横5・9メートルの槽8つが汚泥で理まり、厚さ15センチのコンクリートでふたがされています。9槽目にクレーン車で積み込みが進みます。

 昨年5月2日に管理センターの汚泥から1キログラム当たり33万ベクレル、同4日には44万6000ベクレルのセシウムが検出されました。同センターの滝田善章所長は「最初は計測器の間違いだと思った」と話します。

高濃度を記録

 下水が処分場に入り、浄化され川に放流されるまでの工程は50日。5月2、4日に高濃度を記録した汚泥は、東京電力福島第1原発事故で放出されたセシウムが雨で地上に降り注いだ3月15日前後に流入した下水のものになります。

 汚泥は通常、セメント製品や肥料の材料への再利用と、最終処分場での埋却という二つの流れになりますが、5月2日以降はどちらもストップしました。

 管理センターの汚泥は、会津地方の柳津町にある最終処分場で処理されてきました。

 政府は6月、1キロたり8000ベクレル以下は埋め立て可能、セメント製品も100ベクレル以下なら問題なしとする基準を示しました。

 しかし、最終処分場は8000ベクレル以下のものも含め汚泥の受け入れをストップしたままです。リサイクル化も一切されていません。

 滝田所長は「柳津町への汚泥受け入れは、放射性物質の基準がない状態で町と住民の理解を得て合意した。今回、8000ベクレルという基準が出たが、住民の合意が得られない」と説明します。

 除染は、セシウムを濃縮して取り出して保管し、その他の部分は自然に戻していくという発想です。しかし、セシウムを濃縮して8000ベクレル以下の汚泥にしても行き先がないのです。たまり続ける汚泥対策として、管理センターでは焼却によって体積を減らす検討を始めています。

最終処分こそ

 下水のセシウムのほとんどが汚泥に行くとされているため、浄化した水の川への放出は続けられています。浄化した水を流す基準を定めた下水道法、水質汚濁法に放射性物質の基準はありません。昨年7月の放射能測定で管理センターの放出する水1キロあたりのセシウムは16ベクレルでした。担当課の国土交通省下水道企画課は「今のところ放射性物質の基準を設けるつもりはない」としています。

 管理センターでは5ヵ所で空間放射線量のモニタリングをし、公表していますが、近隣住民から線量が上がることへの不安の声も寄せられています。

 滝田所長は「国に場所や方法も含めて最終処分の問題をはっきりさせることを求めたい。中間貯蔵はあくまで中間のもの。現場の人間から言えば廃棄物の考え方はあくまで最終処分あっての話だ」と強調します。

(つづく)

3号機、毎時1500マイクロシーベルト・・福島第1原発を公開

報道陣に公開された東京電力福島第1原発4号機。建屋上部で作業する人の姿が見えます=2月20日午後、福島県大熊町(代表撮影)


 東京電力は20日、昨年12月の収束宣言後初めて、福島第1原発を報道陣に公開しました。敷地内では、配管などの凍結対策や建屋上部のがれき撤去作業が進められていました。公開は昨年11月に続き2回目。

 東電は1〜3号機原子炉に注水しているポンプを初めて公開。海抜約35メートルの高台に設置された3台のポンプは、1月末に凍結で弁が破損したため、防止策としてビニール製のカバーで覆われていました。配管類も黒い樹脂製の保温材が巻かれていました。

 水素爆発を起こした3、4号機の原子炉建屋上部ではがれきの撤去が進み、4号機では剥がれ落ちそうになっていた壁面がほぼ撤去されました。

 3号機建屋の周辺は依然放射線量が高く、最高で毎時1500マイクロシーベルトを記録。汚染水貯蔵タンクの増設などが進む一方、津波被害を受けたフェンスなどが1年近くたってもそのままにされていました。

 一方、経済産業省原子力安全・保安院も同原発で実施中の保安検査を公開しました。免震重要棟では保安検査官が汚染水処理や貯留設備について調査。水位や放射線量の管理方法などの詳しい説明を担当者に求めていました。

 保安院は、注水や汚染水処理など七つの主要設備が規定通りに運用・管理されているかを調べる保安検査を、今月6日から24日までの日程で実施しています。

公開された福島第1原発の原子炉に注水するポンプ=2月20日午後、福島県大熊町(代表撮影)


原子力安全委で耐性試験議論始まる・・班目氏、1次評価では安全性不十分

 内閣府原子力安全委員会(班目春樹委員長)は21日、関西電力大飯3、4号機(福井県おおい町)のストレステスト(耐性試験)1次評価結果について経済産業省原子力安全・保安院が「妥当」とする審査書を議論する検討会の初会合を開きました。

 検討会は5人の安全委員のほか原子力などの外部の専門家6人が参加。

 初会合では、保安院が審査書を説明。安全委員会からは、ストレステスト1次評価の確認にあたって、地震や津波による機器の損傷について単純化していることの妥当性などの視点を提示しました。

 専門家から「一つの原発で多数基が設置されている場所で、号機ごとに安全性を評価するのでなく、発電所全体として評価する方がわかりやすいのではないか」「炉心溶融した場合のことを考える必要があり、今回の1次評価の枠組みで評価することに違和感がある」「緊急時に3キロ圏、10キロ圏の社宅や寮から要員を招集するというが、その範囲も被災して要員の確保が困難になるのでは」といった疑問が出されました。

  一方、保安院は20日開いたストレステストの意見聴取会で、審査書を批判する専門家の意見があることなど議論の様子を安全委員会での説明で伝えるとしていましたが、この日の説明ではありませんでした。このため傍聴者から「約束違反だ」の声が上がり、会議は予定時間を30分近く残して閉会しました。

1次評価では安全性不十分・・耐性試験に班目氏

 原発再稼働の前提とされるストレステスト(耐性試験)の1次評価について、国の原子力安全委員会の班目春樹委員長は20日、「1次評価だけでは安全性評価としては不十分」と述べました。同日の定例会議後の記者会見で質問に答えました。

 ストレステストをめぐっては、経済産業省原子力安全・保安院が、関西電力大飯原発3、4号機に関する評価審査書をまとめており、安全委は21日から妥当性について議論を始めます。3月末までに結論を出す予定ですが、地元自治体は再稼働に慎重な姿勢で、班目委員長の発言は再稼働問題に影響を与える可能性があります。

 会見で班目委員長は、1次評価と2次評価はセットだ。より詳細な2次評価までしっかりやってほしい」と述べました。


都立公園で高放射線量・・共産党都議団調査、2万3300ベクレル検出

 東京都立水元公園(葛飾区)の土壌から最高1キログラムあたり2万3300ベクレル(セシウム134、137の合計値)と、国の焼却灰などの管理型最終処分基準(8000ベクレル)を大きく上回る放射性物質が検出されたことが21日、日本共産党都議団の調査で判明しました。党都議団は同日、全都有施設のきめ細かな核種分析を含む放射線量測定と速やかな除染を都に要請しました。

 この調査は15日、水元公園内の空間線量が地上1メートルで毎時0・23マイクロシーベルトを超える4地点から採取した土壌(表層約1センチメートル)や落ち葉を、党都議団が都民の寄付で購入した測定器で複数回測定したものです。

 第1駐車場南側植え込み内の落ち葉からは1キログラムあたり最高8290ベクレル、野鳥観察舎入り口の土壌(落ち葉混入)は2万1700〜2万3300ベクレル、ドッグラン南東側の土壌から1万3300〜1万4000ベクレルを検出しました。

 かち佳代子都議は同日の会見で、測定結果と都への申し入れについて説明し、記者の質問に「都立学校、都立公園、都営住宅(の測定・除染)は、都が対応すべき」だと強調しました。

 申し入れに対し、環境局は「地上1メートルで毎時1マイクロシーベルトを超えるところはない」と都の見解を繰り返すだけで、土壌などの放射性物質への調査や対応をどうするのかについて答えませんでした。大山とも子幹事長は都の対応を「空間放射線量だけに固執することは異常な事態」と厳しく批判しました。

 会見に同席した日本科学者会議・災害問題研究委員会の坂巻幸雄氏は「国が対応の基準としている8000ベクレルを大きく超えていて、早急な措置が望まれています」とコメントしています。

コメント全文・・日本科学者会議・災害問題研究委員会の坂巻幸雄氏

 日本共産党東京都議会議員団が新たに入手したシンチレーション・スペクトロメーターによって、これまでの空間線量率(単位:μSv/h)のデータと あわせて、おもな放射性核種の濃度(Bq/kg)もわかるようになりました。都民の安全・安心を守る上で、また有力な装備か増えたことになります。
 テスト地として選ばれた葛飾区の水元公園では、1μSv/h 前後の汚染スポットの落葉、土壌から、1万~2 万 Bq/kg 級の汚染があることが、今回たしかめられました。国が対応の基準としている 8000Bq/kg を大きく超えていて、 早急な措置が望まれています。

 原水爆実験の影響を除けば、東京は世界ではじめて人工放射線の被曝をこうむった首都だといえます。東部 3 区はもちろんのこと、東京都庁の周辺でも、事故前の空間線量率が事故後には約 2~3 倍に高まっているのです。避難に走らなければならないレベルではないにせよ、多くの人が行き交う都心部とあっては、無視して良い数字ではありません。放射線の、好ましくない影響を極力くいとめるために、行政当局を含めた諸機関の、一層の努力が求められてしかるへきだと考えます。

放射線量測定システム稼働・・福島の小中高などで

 東京電力福島第1原発事故を受け、文部科学省が福島県内の小学校などに設置した放射線量の測定システムが21日午後、稼働を始めました。予定の2700ヵ所のうち、これまでに2669ヵ所の設置が完了。10分ごとに空間線量率の平均値を表示し、同省のホームページ(HP)でも24時間公開します。

 測定システムは小中高校や公園、図書館などに置かれ、午前7時から午後7時まで、放射線量を電光表示します。