シリーズ「原発の深層」第1部 原発マネー(8)・・3法で交付金漬けに

福島第1原発 海洋汚染1.5京ベクレル・・大気降下分含め原子力機構試算、東電推定の3倍に

プルサーマル計画で住民アンケート‥説明「聞いてない」「不十分」8割 北電泊原発、知事了承の09年
全廃を突きつけよう、「さようなら原発」‥19日の集会成功へ、東京で大江健三郎氏ら講演

やらせ「知事発言が発端」/九電玄海原発「メール」問題/05年も「仕込み質問」/佐賀
(「しんぶん赤旗」2011/9/9)


シリーズ「原発の深層」第1部 原発マネー(8)・・3法で交付金漬けに

 政府と財界・産業界は、“札束”で自治体を原子力発電所の推進に組み込む仕組みをつくり出しました。電源3法(電源開発促進税法、特別会計に関する法律、発電用施設周辺地域整備法)に基づく交付金です。

 東京都港区にある、高さ115メートルの高層ビル9階に原子力産業協会(原産協会)があります。1956年に発足した原産協会は、財界代表が参加し、原発推進を図ってきました。

 原産協会の活動実績について、担当者は淡々と語りました。「(提言して実現されたものは)昔でいえば、電源3法がそうでした」

福井は3245億円

 74年につくられた電源3法の交付金は、原発や関連施設が立地している地域に交付されます。東日本大震災で深刻な事故を起こした福島原発(原子炉10基)を抱える福島県では、2009年度までの累積額が2717億円に及びます。原発が集中し、15基の原子炉を有する福井県は、09年度までに総額3245億円が交付されました。原発と使用済み核燃料の再処理工場がある青森県は、10年度までの交付額が累積で2143億円に達しています。

 なぜ、電源3法が制定されたのでしょうか。

 「原子力発電の安全性に対する不安や不信が存在した」「先鋭化・組織化された反対運動が展開されるようになった」。東京電力の社史『関東の電気事業と東京電力 電気事業の創始から東京電力50年への軌跡』は、当時、住民の間に原発への不安が広がっていた事情を指摘しています。この不安を抑えるため、電力会社や産業界は、自治体を交付金漬けにする手法を編み出したのです。

 電源3法成立の前年の73年、日本原子力産業会議(現・原産協会)が「『原子力開発地域整備促進法』(仮称)制定についての要望」を発表しました。「原子力開発に関与する地方自治体財政を恒久的に安定せしめるよう、合理的な税制措置を早急に確立し実施されたい」と政府に求めたのです。

立地にハズミ

 電力会社で構成される電気事業連合会(電事連)は74年1月、当時の通商産業大臣の中曽根康弘氏に、立地促進の要望書を提出し、原発立地促進の法的整備を要請しました。そして、同年6月に電源3法が成立、電事連が編さんした『電気事業連合会35年のあゆみ』は、こう絶賛します。「『受け入れやすい措置』が講じられたことで、立地にハズミがつく」(つづく)


福島第1原発 海洋汚染1.5京ベクレル・・大気降下分含め原子力機構試算、東電推定の3倍に

 東京電力福島第1原発事故で、日本原子力研究開発機構は8日までに、汚染水の流出に加え、大気中からの降下分などを合わせた海洋への放射能放出総量が1・5京(1京は1兆の1万倍)ベクレルを超えるとの試算をまとめました。東電は4〜5月に海に流出した汚染水の放射能量を約4720兆ベクレルと推定していますが、試算はこの3倍以上に達します。

 原子力機構の小林卓也研究副主幹(海岸工学)らは、漏えいした汚染水の影響に加え、東電が公表したモニタリング数値などを用いて、大気中に出されたヨウ素131とセシウム137が海に降り注いだ状況をシミュレーション。同原発放水口付近の海水から放射性物質が初めて検出された3月21日から4月30日までの放出総量を試算しました。

 その結果、海に放出されたヨウ素131は1・14京ベクレル、セシウム137が0・36京ベクレルで、計1・5京ベクレルとなりました。セシウム134はシミュレーションでは考慮していないことから、放出総量はこれを超えるといいます。

 原子力機構は5月、試算結果を文部科学省に報告。しかし、政府が6月に国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書には、海洋に放出された放射性物質の総量として、東電の推定値が記載され、原子力機構の試算結果は反映されませんでした。

 同機構による解析の詳細は、19日から北九州市で開かれる日本原子力学会で発表されます。
 
ベクレル・・ 放射能(放射性物質が放射線を出す能力)の量を示す単位。1秒間に一つの原子核が崩壊して放射線を出す能力を1ベクレルとしています。


プルサーマル計画で住民アンケート‥説明「聞いてない」「不十分」8割 北電泊原発、知事了承の09年

 北海道電力泊原発3号機へのプルサーマル導入について、2009年3月に地元の住民団体が行ったアンケートで回答者の8割が「(計画の説明を)聞いていない」「不十分」と答えていることがわかりました。北電による「やらせ」が発覚した08年の国や道主催シンポジウムのアンケートでは、肯定的な意見が5割から6割となっており、「やらせ」による世論のゆがみがあらためて浮き彫りになりました。

「やらせ」説明会と大違い

 アンケートは、泊原発に近い岩内町の「プルサーマル計画のアンケートを進める会」が行ったもの。町内の約6千戸に配られ、516枚の回答(グラフ)がありました。

 いずれも国や北電の説明に納得していないとする回答が8割から9割に及んでいます。

 このアンケートにかかわった日本共産党の大田勤岩内町議は「地域で話を聞くと『計画自体を知らなかった』という人がたくさんいたし、各地域で説明会を開いたと北電はいいますが、『仕事でいけるわけがない』という人も多かった」と振り返ります。

 このアンケートが行われた09年3月に高橋はるみ知事は「議論を重ねた」としてプルサーマル導入を了承。しかし道や岩内町では、アンケートをとるなどの世論調査を行いませんでした。

 元党町議の竹田豊一さんは「町内では原発のことを表立っていう人は少なく、アンケートには住民の本音が出ていたと思う。福島の原発事故を受けて、原発への見方も変化してきており、行政は住民の意見に耳を傾けるべきでは」と話します。

プルサーマル・・ 原発から出た使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムにウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を、再び通常の原発で使用すること。MOX燃料はウラン燃料に比べ低い温度で溶けやすいため、原子炉が冷却機能を失った際に、炉心溶融(メルトダウン)の危険性が高く、核分裂反応を制御する制御棒の利きが悪いことも指摘されています。名前はプルトニウムとサーマルリアクター(熱中性子炉)の合成語。


全廃を突きつけよう 「さようなら原発」19日の集会成功へ、東京で大江健三郎氏ら講演

(写真)講演する大江氏=8日、東京・新宿区の日本青年館


 「講演会さようなら原発」が8日、東京都新宿区の日本青年館で開かれ満場の聴衆が聞き入りました。

 今月19日に東京・明治公園で予定されている「さようなら原発5万人集会」の成功へ、呼びかけ人の大江健三郎、鎌田慧、落合恵子、内橋克人の各氏が講演。ピアニストの崔善愛さんがショパンの「革命のエチュード」などを演奏し、呼びかけ人の澤地久枝さんのメッセージが紹介されました。

 大江氏は、福島第1原発事故について「敗戦後に、新しい国、新しい国人となるという決意をすっかりムダにしたことではないかと、この半年間、とりつかれた」と述べ、「(原発)全廃を政府に突きつけようじゃありませんか」と呼びかけました。

 落合恵子氏は「『ほうしゃのうこないで』と七夕の短冊に子どもが幼い字で書く現実です。ふるさと、職業を奪われ、家族が離散する現実がある。安全神話を私はもう信じない。誰かだけが頑張って、ヒーローになるんじゃだめ。子どもたちを守るため一人ひとりが声をあげつづけましょう」と語りました。

 賛同人の山田洋次氏(映画監督)は「立場や思想を超えて集まり原発についてはっきり意見を表さなければならない。あらゆる人たち、寅さんに至るまで声をかけていけるんじゃないでしょうか。みなさん一緒にやっていきましょう」と話しました。