シリーズ「原発の深層」第1部 原発マネー(2)・・16億円のカラ工事疑惑も

原発に生活壊された・・3キロ圏一時帰、宅住民「原発なくして」

福島第1・3号機・・炉心スプレー系注水冷却を開始
「土壌セシウムの除去方法を開発」・・産総研が発表

福島原発避難 勧奨地周辺も減免可・・政府の現地本部長が高橋議員に回答

震災・原発事故の影響は・・町工場3割が仕事減→直接支援事業の継続に期待
(「しんぶん赤旗」2011/9/2)


シリーズ「原発の深層」第1部 原発マネー(2)・・16億円のカラ工事疑惑も

 8月17日。ある訴訟に対する判決が福井地方裁判所でありました。訴訟は、県の事業に不正工事が含まれていたとして、福井県の西川一誠知事を相手どり、本人、元知事、工事関係者らに損害賠償を支払わせるよう求めたものです。

 「本件訴えをいずれも却下する」。わずか20秒間の判決の言い渡しでした。原告の松本浩氏(72)=元教員、小浜市=は、静かに受け止めていました。

 訴えの対象は、同県高浜町内の脇坂公園を造成するため県が行った「ふれあいの浜辺事業」。脇坂公園から北に2キロの地点には関西電力の高浜原子力発電所があります。同原発は1974年から稼働しています。

 「ふれあいの浜辺事業」の総事業費は45億円です。財源は県の一般会計でまかなわれましたが、国から原発立地自治体へ給付される電源3法交付金が含まれています。

訴え門前払い
 同事業の残土は、高浜町の安土地区で公有水面の埋め立てに使われました。埋め立て工事は、同町の事業で、費用は約36億円。借入金の返済には、電源3法交付金と、県から交付される核燃料税をあてにしています。

 福井地裁の却下理由は、松本民らの訴えが、監査に必要な期間を過ぎて行われたものであるというものでした。訴えの内容には踏み込まない、いわゆる「門前払い」の判決です。

 「国から県に支出される60億円の核燃料サイクル交付金をあてにしたものではないのか。45億円の『ふれあいの浜辺事業』のうち、私が調べたところ実態のないカラ工事が18カ所にわたり、その金額は推計16億円にものぼる。そのうちの十数億円が県の裏金になったのではないか」。松本氏らは、控訴することを決めました。

 高浜町での不透明なカネの流れは、今に始まったことではありません。

覚書公開せず
 78年のことです。高浜原発3、4号機の増設を計画していた関電は、町や漁業協同組合に建設協力金を出しました。金額は9億円。当時、町当局は町内の漁協へ3億円を超える金額を支出したと説明しました。しかし、町側は関電と交わした覚書の提示などの書類を公開しませんでした。

 ところが、問題になったのは9億円だけではありませんでした。
 「当時、助役をしていた森山栄治氏が落とした手帳には、関電から受け取った金額は9億円ではなく24億円と書いてあった」
 町議会関係者は原発マネーをめぐる闇の存在を語りました。(つづく)


原発に生活壊された・・3キロ圏一時帰、宅住民「原発なくして」

震災後初めて、原発3キロ圏内にある自宅へ戻る大熊町の住民=1日、福島県双葉郡広野町


 東電福島第1原発から3キロ圏内の住民が1日、一時帰宅しました。強い雨の上がった蒸し暑さのなか、中継地点の広野町中央体育館(福島県)に集まり、防護服を着用してバスで警戒区域内へ。各自1袋分ずつ必要な物を持ち帰って、放射線量検査や除染などを受けました。

 3キロ圏内の一時帰宅者は、双葉町の17世帯29人と大熊町の140世帯238人。3キロ圏外の双葉町4世帯8人と、富岡町の4世帯6人も一時帰宅しました。原子力災害現地対策本部の木野正登広報班長は、3キロ圏内での一時帰宅実施の理由を、「(原発事故収束へ向けた工程表の)ステップ1が終了したから。水素爆発の危険がほとんどなくなり、放射線量も低い値で安定してきた」と説明しました。

 双葉町に戻った大橋純子さん(31)は、半年ぶりの自宅を見て受けたショックを語ります。庭の草は1メートル以上に伸び、家の床には小さい虫がウヨウヨ。生ごみのような臭いが漂うなか、「荷物を詰めながら、何でこんなことしなくちゃいけないんだろうって」。納得いかない思いで、胸がいっぱいになったといいます。

 「東電は、土地などの補償をどうするか早く知らせてほしい。家も田んぼもなくなり、これからどうしたらいいのか先が見えない」と話すのは、双葉町で農家を営んでいた男性(48)。危険な核物質を扱う原発の安全性が軽視されてきたことへの憤りを訴えます。「40年くらい原発のそばで暮らして、何ともないんだと思っていました。それが、突然私たちの生活を踏みにじっていった。住民の安全に何の保証もないことが証明された以上、原発はなくすしかない」


福島第1・3号機・・炉心スプレー系注水冷却を開始

 東京電力は1日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)3号機原子炉の核燃料の冷却法として、新しい経路を通じての注水を始めたと発表しました。

 これまで、福島第1原発では、3月に事故で炉心溶融を起こした1〜3号機の原子炉内で、熱を出し続けている核燃料を、圧力容器下部からの注水によって冷却してきました。しかし、3号機は冷却の効率が低く、1、2号機に比べて冷却に約2倍の水を必要とし、汚染水増加の原因となっています。

 このため、東電は、圧力容器内の核燃料の上部から水をシャワーのようにかけて冷やす炉心スプレー系による注水冷却を追加する準備をしてきました。

 東電によると、炉心スプレー系による注水は毎時1立方メートルから始め、圧力容器の温度を監視しながら量を順次増やしていく予定だといいます。当面、これまでの方法での注水も続けるといいます。


「土壌セシウムの除去方法を開発」・・産総研が発表

 産業技術総合研究所は31日、福島第1原発事故で放出され、土壌を汚染している放射性セシウムをほぼ全量除去する方法を開発したと発表しました。薬品を使ってセシウムのみを取り出すため、表土をはぎ取る方法よりも廃棄物を大幅に減少できるとしています。

 産総研によると、汚染された土を、低濃度の希硫酸などの水溶液に混ぜて加熱すると、土壌粒子と結び付いていたセシウムが95度で約88%、高圧状態にした200度ではほぼ100%抽出できました。抽出後の水溶液に、セシウムを吸着する性質を持つプルシアンブルーという顔料を入れることで、セシウムをほぼ全量回収することができました。

 低濃度の酸のため、土壌への負荷は小さい上、水溶液は繰り返し利用が可能。この処理方法で生じる廃棄物量は表土をはぎ取る方法に比べて100分の1以下で済むといいます。

 産総研は今後、実証実験を進めるとしています。


福島原発避難 勧奨地周辺も減免可・・政府の現地本部長が高橋議員に回答

 東京電力福島原発事故による放射能汚染で「特定避難勧奨地点」に指定された周辺でも、市長や村長が税の減免などを判断した場合、国が支援することが1日、明らかになりました。政府の東日本大震災福島現地対策本部(本部長・吉田泉衆院議員)が、日本共産党の高橋ちづ子衆院議員らに答えたものです。

 同福島県委員会の宮本しづえ副委員長、阿部裕美子伊達市伊達郡災害対策本部長などが同席しました。

 特定避難勧奨地点は、計画的避難区域の外側で、放射線の年間積算線量が20ミリシーベルトを超えたところが指定されます。高橋議員らは「地域全体の指定」が住民の強い要求であり、少なくとも指定にあたって詳細調査をおこなった地域全体について、指定された住民と同様の税(固定資産税や住民税など)負担の免除・減額、避難希望者への支援をおこなうよう求めました。

 吉田本部長らは「地点以外の税金の免除・減額でも市町村長が判断したものは、国としてバックアップする。75〜95%を交付金で補てんする」と回答しました。

 吉田氏らは、除染、がれき処理によって発生する放射性廃棄物処理について国が責任を持つこと、原発事故による損害について「全額賠償を進めるのが大方針」とのべました。