高浜町議会‥原発「再稼働」求める意見書採択・・
町民の命・安全を最優先に考え、国の対応を見きわめ、チェック機能を果たすのが議会の役割!

岩手県葛巻町の「新エネルギーマップ」、高浜町でも実現すれば、町の電気店、工務店、鉄工所など中小業者の仕事と雇用が増え、町が発展する。
(山本雅彦2011/9/28)


高浜町議会‥原発「再稼働」求める意見書採択

9月高浜町定例議会で、「原発推進」・「再稼働」を求める意見書案について、採択に賛成する立場から起立する各議員。(左端が反対し着席する渡辺議員)2011/9/26


 高浜町の9月定例議会は最終日の26日、福島第1原発事故の被災地の早期復旧と、原発推進を国に求める意見書を賛成多数(民主1、公明1を含む12名)で採択。反対したのは日本共産党の渡辺孝議員のみでした。

 提案者は粟野明雄、山本富夫、横田則孝、広瀬とし子の各議員で、意見書の内容は、@福島原発事故の被災地の早い復旧、A基幹電源として今後も原子力発電比率を確保する、B核燃料サイクルの堅持C高経年化原発の建て替え(リプレース)、D定期検査後の原発の再稼働、E避難道路の早期整備の6項目で、提案者の粟野議員は、福島事故後、「前内閣では『脱原発』が注目され、原子力政策の将来に大きな不安を与えた」と述べた上で、原発は「供給安定性、環境適合性、経済効率性を併せもつ基幹電源である」と強調し、原発の再稼働や「核燃料サイクル」政策の推進などを求めました。

福島事故の原因究明もない中で、なぜ急いで「再稼働」を求めるのか?

 渡辺孝議員は、国民の80%以上が原発から再生可能エネルギーへの段階的転換を求め、またドイツなど欧州で脱原発が指向されると指摘。福島原発事故が収束のめども立たず、原因究明もなされていない中で、なぜ高浜町議会が急いで原発の「再稼働」を求める意見書を出さなければならいか、と質問しました。
 提案者の粟野議員は、「今なんです。『脱原発』の嵐の中、原発政策が(脱原発の方向へ)見直されようとしている今だからこそ、この提案をした」。また、「エネルギーの少ない、島国日本として原発は必要だ」と述べました。

放射能汚染をもたらし、「核のゴミ」の処分法もなく、大量の被ばく労働者を生む原発が、環境・経済性に適合しているか?

「福島事故の原因究明もない中で、なぜ急いで『再稼働』を求めるのか」と質問する渡辺孝議員。


 渡辺議員は、環境適合性、経済効率性を併せもつ基幹電源と言われるが、福島原発事故を見れば、大量の放射能汚染をもたらし、運転後の「核のゴミ」の処分方法がない原発が、環境に適合しているとは思われないがどうか、と質問。また、「経済効率性では、大量の被ばく労働者を生み出している」と指摘。「若狭では、被ばく労働者が正社員で2300人、下請けで18604人(09年度)おり、全国では、40数万人におよび、晩発性のガンなど放射性傷害の危険があり、原発を動かせばその危険は更に増大され、経済性を追求する中で労働者が犠牲になっている」と強調、「これで、経済効率性が成り立つのか」と質問しました。
 粟野議員は、「原子力発電は二酸化炭素を出さない電源として有効な発電方法である」と強弁。被ばく労働の問題については、「被ばく手帳は労働者の健康管理のためにある」などと答えるのみで、答弁不能になりました。
 渡辺議員は、核燃料サイクル政策について、この政策の2つの中核施設である青森県の再処理工場と高速増殖炉「もんじゅ」が停止していて、再開のめどもなく計画は破綻していると指摘。
 粟野議員は、「ウラン燃料の有効利用、自前のエネルギーをつくることから(核燃料サイクル政策は)重要である」と述べました。

 

関電と利害関係のある議員が「再稼働」を提案していいのか?

「国のエネルギー政策が見直されている今こそ、声を上げるべき時」と述べる、提案者の粟野明雄議員。


 渡辺議員は、提案者と賛成者の粟野、山本、横田の各議員は、高浜原発と商売を通じて利益を得ていると指摘、利害関係がある議員が原発推進を提案することは、保身と町民は理解するのではないか。今すべきことは、事態の推移を見きわめることであり、命を軽々しく扱っているのではないか、と質問しました。

 粟野議員は、「原発との関係は、切っても切り離せない」。「(再稼働には)ストレステストなど、国の安全確認が前提だ」と述べるだけで、「保身」との指摘に対しては否定せず、「国の利益になる」とすり替え答弁しました。

再生可能エネルギーへ段階的転換で、町の中小企業の生産活動が活発になり、雇用も安定し、税収増で町の発展に
 
 渡辺議員は反対討論などで、「地震の活動期に入ったといわれる中で、原発の安全性や耐震安全性に対する認識が非常にあまい。周辺住民や原発労働者の命をまったく考えていないといわざるを得ない」と批判しました。また、「原発は、放射能汚染など他の災害には見られない『異質の危険』をもつ」と強調した上で、「原発から撤退し、原発の発電能力の40倍といわれる再生可能エネルギーへ段階的に転換することで高浜町の中小企業の生産活動が活発になり、地域雇用も安定し、税収も増え町の発展につながる」と指摘。「高浜町は、そうした立場の意見書こそあげるべき」と述べました。

町民の命・安全を最優先で国の対応を見きわめ、チェック機能を果たすのが議会の役割

 報道によれば、意見書採択について野瀬豊町長は、「原子力エネルギー政策に通じた立地町の議会だからこそ、現実的な意見を述べる立場にあると判断されたと思う」話したといいます。これについて、山本雅彦・原発問題住民運動全国センター代表委員は、「提案者は、ストレステストなどで安全が確認されれば『原発再稼働』をと言うが、国民はテストを実施する電力会社や国、保安院、原子力委員会に不審をもっている。新しく改組される「原子力安全庁」も国の傘下にある。したがって、町民の命・安全性を最優先に考え、チェック機能を果たすのが高浜町議会の役割。同議会が原発の推進機関と切り離した、中立・公平な「独立した規制機関」を求めないのは本末転倒であり、議会の自殺行為であると話しました。

渡辺孝町議の話し‥
 「再稼働」の意見書可決の背景について、町財政が原発交付金などに依存しています。現在、約82億円の歳入がありますが、町は原発が順次廃炉になると、地方交付税などを見込んでも約50億円程度まで減ると試算しており、財政破綻の懸念があるのではないか。原発に町財政も産業、雇用などを依存したままでは町の発展は阻害され、健全な発展は実現されないと思います。

 また、「脱原発」をめざす国民世論が多数となり、危機感をもった関西電力など原発事業者が、町議会を後押ししたのではないかと思います。賛成討論では各議員が、「高浜町は国エネルギー政策に貢献・協力してきた立場を堅持すべきで、当立地町がその意見をあげるべき」(横田、勝本両議員)。「野田総理が、『世界最高水準の原発をめざす』と演説された、『脱原発』の方向ではなく、『安全な原発』を追求すべき(山本議員)。「停止中の原発は再稼働しかあり得ない」(磯部議員)などの意見は、それを裏付けています。

 さらに、新聞報道によれば、火力発電所稼働で燃料コスト高から「銀行に資金融資を要請」したと言われていますが、原発事業者は利益確保から、早く原発を動かしたいという事情があるのでしょう。


※下記の図は、岩手県葛巻町の「新エネルギーマップ」です。高浜町でも実現すれば、町の電気店、工務店、鉄工所など中小業者の仕事と雇用が増え、町が発展します。