セシウム汚染餌牛さらに84頭‥福島の5農家東京など5都県に出荷
牛肉セシウム汚染・・「安全」と「安心」へ対策強化を
対策後も能力大幅に下回る・・汚染水処理装置
「原発ゼロ」へ今こそ、自然エネで30万人雇用創出‥ 笠井議員が紹介
首相の原発無責任発言/政治家の資質問われる/志位氏批判
(「しんぶん赤旗」2011/7/17)
セシウム汚染餌牛さらに84頭‥福島の5農家東京など5都県に出荷
福島県は16日、郡山市と喜多方市、相馬市の農家計5戸が食品衛生法の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムに汚染された稲わらを餌として肉牛に与えていたと発表しました。さらに、これらの農家から3月末以降、84頭が東京都と山形県、福島県、埼玉県川口市、仙台市に出荷されたことが判明。県は同日、関係自治体に流通先などの調査を要請しました。
また、県内約4000戸の農家に牛の出荷と移動の自粛を要請しました。厚生労働省も牛が出荷された自治体に対し、肉の流通や放射性物質による汚染の状況を確認するための調査をするよう依頼しました。セシウムに汚染された稲わらを与えて出荷された福島県内の肉牛は、3市と南相馬市、浅川町で計143頭に上りました。
84頭は、3月28日から7月13日にかけて県内に19頭出荷されたほか、東京都へ53頭、山形県へ2頭、仙台市へ2頭、川口市へ8頭が出荷されたといいます。喜多方市の農家が県内と東京都に出荷した肉の一部は返品されており、県の検査で1キロ当たり84ベクレルのセシウムが検出されました。
県によると、15日に実施した肉牛農家に対する立ち入り調査で、郡山市の農家が東京電力福島第1原発事故以降に自宅の水田から収穫した稲わらからは1キロ当たり50万ベクレルという高濃度のセシウムが検出されました。
また、相馬市の農家では4月末と6月末に宮城県の業者から購入した稲わらから同1万7600ベクレルのセシウムを検出しました。このため、福島県は宮城県に対し、稲わらの出荷自粛を業者に指導するよう求めました。
東電・行政の責任重大
・・佐々木健三さん(70)=福島市=、酪農家、農民運動全国連合会前会長の話し
牛肉の放射能汚染の広がりは、原発事故を起こした東電に第一義的に責任があります。
私たち農民連では、わらが放射能に汚染されていることを計測し、牛に与えることは危険だといち早く警告してきました。農家に責任があるかのような報道もありますが、危険性を十分に徹底しなかった行政機関の責任こそ重大です。
国や県の責任で、エサを通じた汚染経路で間違いないかどうかを確定すべきです。
出荷停止と風評被害で県内農家の被害は深刻です。原因者である東電が全面賠償するのは当然です。
生産者は仲間と意見交換や情報共有し、励まし合いながらこの難局を乗り越える必要があると思います。
牛肉セシウム汚染・・「安全」と「安心」へ対策強化を
福島県内で生産された肉牛から、放射性物質のセシウムで汚染された肉が相次いで見つかっています。3月の東京電力福島原発の事故で飛散した、放射性物質を浴びた稲わらを与えられたことが原因とみられます。稲わら、牧草などのセシウム汚染は、各地に広がっています。
牛肉から検出されたセシウムは長期間食べ続けなければ人体に影響はない程度とされますが、肉牛の内部被ばくによるとみられる汚染が、相次いで見つかったことはきわめて重大です。食品と畜産業の「安全」「安心」のために、徹底した対策が不可欠です。
稲わらから内部被ばく
セシウムで汚染された牛肉は、最初は今月初めに福島県南相馬市から東京都の芝浦と場に出荷された肉牛から見つかりました。今週になって、福島原発から60キロ離れた福島県浅川町から出荷された肉牛でも汚染が明らかになりました。処理された牛肉は東北や関東、西日本など広い範囲に流通し、一部は食用として消費されてしまったことも明らかになりました。
原因はいずれも、粗飼料や敷きわらとして与えられた稲わらの放射性物質による汚染です。稲わらを食べた牛が体内で被ばくし、その肉が流通しました。原発に近い警戒区域から牛は出荷されず、計画的避難区域などから出荷される牛は放射線量を計測していますが、原発から遠い浅川町などは対象外です。予測を超えた汚染の広がりは深刻です。食品の安全を守るために、外部被ばくはもちろん内部被ばくについても、より徹底した調査が不可欠です。
東電福島原発の事故後、稲わらや牧草などが粗飼料として不可欠な牛には、事故前に刈り取り、屋内に保管したものとするよう指導されていました。しかし、代替の飼料の確保は生産者まかせで、農家への説明も十分とはいえませんでした。
緊急時避難準備区域にある南相馬市から出荷された肉牛は、屋内で保管されていた稲わらだけでは足りず、屋外にあった稲わらも与えられていました。白河市などから稲わらを仕入れた浅川町の農家は、稲わらに屋内で保管するなどの規制があったこと自体知らなかったといいます。
東電福島原発の事故によって放射性物質がどの範囲まで飛散するかの見通しさえ知らせず、必要な粗飼料の手配や稲わらの管理などの対策を徹底しなかった政府の責任は明らかです。
出荷した農家の責任を問題にしてすむ問題では絶対にありません。食の安全とともに農家の経営を守るのは政府の責任です。検査体制の確立や飼料の保障、東電に出荷できない農家を含めた全面的な賠償をおこなわせるなど、政府はその責任を果たすべきです。
原発からの撤退を急いで
東電福島原発事故にともなう食品汚染が、当初の野菜や水、茶葉などのヨウ素による汚染から、より半減期の長いセシウムによる汚染、肉牛の内部被ばくへと表れ方が広がっています。汚染対象の拡大や、小さな魚を食べる大型魚への集積などが懸念されます。
大量の死の灰をまき散らす原発事故の深刻さはいよいよ明らかです。事故の収束に全力をあげるとともに、原発からの速やかな撤退を求める世論と運動が急務です。
対策後も能力大幅に下回る・・汚染水処理装置
東京電力はl6日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)のタービン建屋地下などにたまっている高濃度放射能汚染水を処理するシステムの能力が低いことから対策を実施したものの、依然予定より大幅に下回ったままであることを明らかにしました。
汚染水処理システムは、油分分離装置とセシウム吸着装置、除染装置、淡水化装置からなります。処理した水は原子炉へ戻して核燃料の冷却に使用します。17日が最終日となる「事故の収束に向けた道筋」(工程表)の第1段階(ステップ1)の柱に位置づけられています。
汚染水処理システムは1時間当たり汚染水を50トン処理できることになっていますが、運転を始めた当初から42トン程度の処理能力しかなく、しかも徐々に低下し、14日の段階では37トンしか処理できなくなっていました。
東電は15日、各装置をつなぐ配管内に空気がたまったり、蛇腹状の配管や配管内の特定の部品に不純物が付着して、汚染水や処理水が流れにくくなっているとみて、空気を取り除くための措置や、配管を取り換えるなどの対策を実施しました。しかし、その後も処理能力は39トンにとどまっているといいます。
東電は、今後も能力が低い原因を調べ、対策を進めるとしています。
また、2号機と3号機では、原子炉格納容器に窒素の注入が行われていますが、圧力が大気圧(1気圧)よりも低い状態が続いていました。東電は16日、これまでとは別の計器で測定したところ、3号機では大気圧とほぼ同じであることが確認されたと発表しました。
「原発ゼロ」へ今こそ、自然エネで30万人雇用創出‥ 笠井議員が紹介
日本共産党群馬県委員会は16日、原発事故問題・エネルギー政策学習会を前橋市内で開き、笠井亮党原発・エネルギー問題対策委員会責任者(衆院議員)が講演しました。多くの参加者で会場はいっぱいになりました。
笠井氏は「党のチームプレーで九州電力の『やらせ』メール問題を告発できた」と強調し、玄海原発の再稼働阻止の経緯を報告。運転再開を要請した政府の姿勢を批判して「国民の命をないがしろにする『安全神話』は政府や電力業界によってつくられてきた」と指摘し、「徹底した調査と追及を国会で行いたい」と述べました。
自然エネルギー導入で30万人の雇用を創出したドイツ・バイエルン州を視察した経験から「太陽光や風力発電などの自然エネルギーによる発電は、ルールある経済社会の実現にもつながる」とのべ、「国民的議論を行い、原発ゼロの日本をめざす合意をつくろう」と呼びかけました。
参加者からは「笠井さんのツイッターを見て参加した。共産党とは縁がなかったが頑張ってほしい」「製糸産業が盛んだった県内には水路が多く残っている。発電に使えないか」などの感想や質問が出されました。
前橋市の女性(61)は「原発には未来がないとわかった。太陽光や木材チップを利用した発電に関心がある。子や孫のためのも原発はやめるべきだ」と話しました。