敷地外でプルトニウム‥福島第1原発事故で放出

第1原発立ち入り‥厚労省
福島原発焼却工作建屋で、水張り中に作業員けが

原発作業員‥被ばく測定 遅れ重大参院委 田村議員「国は責任を」

ドイツ 原発撤退へ「日本の事故は世界の転換点」早い政治決断、国民が後押し

保安院独立など検討‥原発事故で政府がIAEAへ報告書

原発ゼロへ緊急行動/来月2日 東京・明治公園/著名9氏よびかけ
原子力教育、子どもたちに事実を‥参院環境委 市田氏が迫る
(「しんぶん赤旗」2011/6/8)


敷地外でプルトニウム‥福島第1原発事故で放出

 東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)から約1・7キロメートル離れたところで採取した土壌からプルトニウムが検出されました。金沢大学低レベル放射能実験施設の山本政儀教授の分析でわかりました。プルトニウムの組成から、同原発事故で放出されたものである可能性が高いといいます。

 土壌は、同原発から20キロメートル圏内が警戒区域に設定された4月22日
より前の21日に大熊町の道路わきで木村伸三北海道大学非常勤講師が採取したものです。山本教授が2週聞かけて慎重に分析を行った結果、プルトニウム238、プルトニウム239、プルトニウム240の3種類が検出されました。

 プルトニウム239とプルトニウム240の量を合わせると、土壌1キログラム当たり0・078ベクレルとごく微量で、プルトニウム238はさらに少ない量でした。

 土壌には、過去の大気中核実験で放出されたものが含まれています。しかし、今回検出されたプルトニウム238の量と、プルトニウム239とプルトニウム240の合計量を比較すると大気中核実験で放出されたものとは違っていました。

 敷地外の土壌に含まれるプルトニウムについては、文部科学省が調査を行っていますが、これまでのところ事故由来とみられるものは検出されていません。
 山本教授は、「検出されたプルトニウムの量は健康に影響を与えるものではないが、福島第1原発から融点・沸点の高い放射性物質がどのように放出されたかを考えるうえで役にたつ。建屋内のたまり水に含まれるプルトニウムなどの組成を明らかにしてほしい」と話しています。


第1原発立ち入り‥厚労省

 福島第1原発で作業していた東京電力社員2人が緊急時の線量限度250ミリシーベルトを超える被ばくをしたとみられる問題で、厚生労働省は7日午後、同原発の立ち入り検査を実施しました。
 検査は同省の労働基準監督官4入で実施。社員2入が作業していた中央制御室などに入り、天井や窓ガラス、空調設備に破損がなかったかなどを調べます。


福島原発焼却工作建屋で、水張り中に作業員けが  

 東京電力は7日、福島第1原発の事故処理にあたっていた作業員が6日夜、負傷して病院で手術を受けたと発表しました。
 東電によると、6日午後7時すぎ、集中廃棄物処理施設の焼却工作建屋で、汚染水の処理装置の水張り作業中に、関連会社の40代男性作業員が足をすべら
せて肋骨を負傷しました。同原発の医務室で手当てを受けた後、福島県いわき市内の病院に運ばれ、手術を受け入院したといいます。

 負傷した作業員は、米国メーカー側と日本人作業員との間で通訳をしていました。
 東電は7日も、汚染水処理システムの各装置の通水試験や動作試験を進めました。タービン建屋地下などにたまった高濃度の放射能汚染水はこのままいくと20日ごろに満杯になり、海への流出が心配されています。東電は20日までには汚染水処理システムを稼働させたいとしています。

 一方、4号機の使用済み核燃料貯蔵プールの耐震補強工事では、7日から支柱に使う鋼材の搬入・組み立て作業を開始します。

原発作業員‥被ばく測定 遅れ重大参院委 田村議員「国は責任を」

 日本共産党の田村智子議員は7日の参院厚生労働委員会で、原発労働者に対する内部被ばく量の測定も確定も遅れているとして、健康管理に国が責任を果たすよう求めました。

 経済産業省は、緊急時の被ばく線量上限値の250ミリシーベルトを超えていた2人の労働者について、内部被ばくの計測は水素爆発の1カ月以上後で、暫定値判明までさらに1カ月半かかったことを報告。最初の検査で内部被ばく20ミリシーベルトを超える可能性のある労働者が52人いることも明らかにしました。田村氏は、「被ばく量の確定が先延ばしされ、当然行われるべき健康管理がなされなかった」と批判しました。

 また経産省は、労働者7800人中、被ばく量が確定しているのが40人にとどまっていると答弁。

 前回(5月20日・参院予算委)の質問から全く変わっていないために田村氏は、「許されないことだ。被ばく量の評価や判断を東電まかせにせず、外部からの監査、政府の監督ができるようにするべきだ」と主張しました。

 小宮山洋子厚労副大臣は、「日本原子力研究開発機構などに依頼して精密測定と評価を実施している。しっかりと評価するよう指導したい」と答えました。

 また田村氏は、5月10日の同委員会で原子力安全・保安院が、東電の報告をもとに、事故対応の作業員で内部被ばくを測定したのは528人であるにもかかわらず、1043人と水増し答弁していたことを批判。経産省は、「説明が不適切だった」と誤りを認めました。


ドイツ 原発撤退へ「日本の事故は世界の転換点」早い政治決断、国民が後押し

 ドイツのメルケル政権は6日、国内に17基ある原発を2022年までに閉鎖し、風力や太陽光などの再生可能エネルギーに転換する政策を決定しました。原発に代わるエネルギー源として、再生可能エネルギーが発電に占める割合を現在の17%から20年には35%に引き上げ、エネルギー効率のよい送電網を整備して節電も進める計画です。東京電力福島第1原子力発電所の事故後、3カ月という短期間に脱原発政策が決まった背景には、政府の素早い対応と、脱原発を求める国民の意思があります。(片岡正明)


人間の保護を第一に置く

 「原発への安全性の要求が高く、高い安全技術を持っていた日本のような国でさえ、地震と津波による原発事故は防げなかった」「日本で起きたことは世界にとっての転換点だ」

 東日本大震災により福島で事故が発生した翌日の3月12日、メルケル首相は、事態の深刻さへの認識をこう語りました。

 「ドイツが大地震や津波に脅かされているわけではない」が、「原発の安全性と(放射能汚染からの)人間の保護を第一に置く。妥協は許されない」と表明したのです。

 その後、14日には全原発の稼働期間を延長する計画の3カ月凍結を発表。15日には、国内にある17基の原発のうち、1980年以前に稼働を開始し、老朽化した7基について、運転を3カ月間停止し、安全性を点検すると発表しました。

 レトゲン環境相は、稼働期間延長を容認するそれまでの姿勢を一変させ、次のように説きました(政治週刊誌『シュピーゲル』4月26日号への寄稿)。

 「原発の事故は(人間のミスばかりでなく)自然の偉大な力によっても起こる。われわれは自然の力を過小評価してきた」

 同氏はまた、「原子力は短期的には安いエネルギー源として現れたが、重大事故が起こったときには、損失は大きすぎる」と指摘。重大事故を起こした旧ソ連のチェルノブイリの周囲30キロ圏が今も高い濃度の放射性物質に汚染され、閉鎖地域となっているとして、「このような環境的、経済的損失がある。将来の子どもにまで世代を超えて危害を及ぼすことになるかもしれない」と訴えました。

財界寄り与党もかじ切る

 福島第1原発の事故を受け、ドイツでは脱原発の世論と運動が高まりました。

 ドイツの全国労組、ドイツ労働総同盟(DGB、626万人)のゾンマー議長は「原発の稼働継続という選択肢はない」と訴え、環境保護団体などとともに、3〜5月に原発所在地や主要都市などで、3度、原発反対の集会・デモを呼び掛けました。いずれも、十数万人から20万人超の規模となりました。

 事故後に行われた4州議選では、「脱原発」を明確に掲げた90年連合・緑の党の人気が高まり、南西部のバーデン・ビュルテンベルク州では、緑の党の州首相が初めて選出されました。

 一方、連立与党は過去にない敗北を喫しました。

 これを受け、与党の中でもキリスト教民主同盟の姉妹政党・キリスト教社会同盟が、いち早く脱原発へとかじを切ります。電力会社など経済界は「電力料金が高くなり、産業立地国としてのドイツの地位を危うくする」と反対しましたが、最終的には最も経済界寄りとされる与党・自由民主党も脱原発で足並みをそろえました。

 レトゲン環境相は、原発撤退政策を閣議決定した6日、記者会見で、今回の決定について「再生可能エネルギーの推進に大胆に転じることは、競争力の維持につながる。これは、ドイツの将来に積極的な意味をもたらす」と強調しました。

ドイツ原発の歴史

 ドイツの原子力発電は、60年に試験炉が稼働、66年に初の商業炉としてラインスベルク原発が稼働(90年に廃炉)し、始まります。

 86年の旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故で原発の安全性への信頼が揺らぎ、89年のバーデン・ビュルテンベルク州ネッカーウェストハイム原発2号機を最後に新たな原発建設は停止されました。

 連邦議会選挙で勝利した社会民主党と90年連合・緑の党の連立政府が2000年、22年までの原発からの段階的撤退、廃止で電力会社側と合意しました。内容は、(1)各原発の残存耐用年数を商業運転開始から32年を基礎に算定する(2)新規原発建設の禁止―などでした。

 09年、保守中道政権が誕生し、政策が後退します。第2次メルケル政権は10年、原発について、再生自然エネルギーで電力をまかなうまでのつなぎの電力とする位置づけは変わらないとしながら、稼働期間を平均で12年、延長することを決定。建造が古い7基は8年、比較的新しい10基については14年、稼働期間を延長(最長で36年まで)しました。それが、福島での原発事故を受け、大きく転換したのです。


保安院独立など検討‥原発事故で政府がIAEAへ報告書

 東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)事故で政府の原子力災害対策本部は7日、「大規模な津波の襲来に対する想定と対応が十分ではなかった。原子力安全対策の根本的な見直しが不可避」などとする報告書を国際原子力機関(IAEA)に提出しました。20日からウィーンで開かれる閣僚会議で討議されます。

 報告書は13章に分かれ、冒頭で「世界の人々に放射性物質の放出について不安を与える結果になった」と謝罪しています。そのうえで、1〜3号機では炉心溶融(メルトダウン)によって圧力容器が壊れ、燃料の一部が格納容器の下部に堆積している可能性があることなど、事故の経緯を説明。事故発生から6日間で同原発から77万テラベクレルの放射能が放出されたとする推定値を示しました。

 続いて、事故から得られた教訓として、地震・津波対策の強化や電源の確保、水素爆発防止対策の強化など28項目を列挙しました。特に、津波については今回の事故の最大要因だったとして、「津波のリスクを十分考慮して対策を講じる」とのべています。

 これまで国と電力会社は、過酷事故(シビアアクシデント)について「わが国では起こりえない」などとして備えてきませんでしたが、「今回の事故はシビアアクシデント」との認識を表明。各電力会社に過酷事故対策を法的に義務付けていくとしています。

 さらに、事故の調査に入ったIAEAの調査団からも指摘を受けた原子力規制行政の問題点について、経済産業省から原子力安全・保安院を切り離して独立させるほか、原子力安全委員会も含め、体制の見直しの検討に着手するとしています。

国際原子力機関(IAEA)・・ 原子力の平和利用促進と軍事的利用への転用の防止を目的として1957年に発足した国際機関。原発を推進する立場で、安全上の基準を設定しています。本部はウィーン。