敦賀市議会「原発意見書」不採択へ、「原発の不安をなくして欲しい」という声にどう向き合うのか /「過酷事故」を収束させる技術・・原発事業者はもっていない!
(山本雅彦 2011/6/29)
敦賀市議会「原発意見書」不採択へ、「原発の不安をなくして欲しい」という声にどう向き合うのか /「過酷事故」を収束させる技術・・原発事業者はもっていない!
エネルギー政策の見直し求める意見書を、全会一致で採択した後に白紙撤回?
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(写真)「過酷事故」の対策例・・・水素爆発を避けるためにドリルを用意するというもので、原子炉建屋に穴を開けるための作業をしている作業員。「対策」の名に値しない。 (日本原電の資料より)
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6月24日、福井県敦賀市議会の原子力発電所特別委員会で、今大地議員から意見書提出の提案があり、議論した結果、「原発の安全基準の評価や見直し」「避難道路や避難施設を国の責任で整備を」「原子力安全・保安院の経済産業省から分離・独立、権限強化」などを求めるとともに、「エネルギー政策を見直し、将来的に再生可能エネルギーに転換することを図ること」を国に求める意見書が全会一致で採択され、特別委員会として議会へ提案され、議会最終日の30日、本会議で採決されることになっていました。
これについてマスコミ各社は、「立地する自治体の“脱原発”意見書採択は異例」などと報道。議員の間で「脱原発と誤解されかねない」という慎重論が広がったため、同27日、エネルギー政策の見直し等を国に求めるとして採択した意見書を白紙撤回することを決めました。
「推進」「反対」‥立場の違う議員が、原発事故の不安を無くしたいという市民の願いを意見書に
山本貴美子議員は、「今大地さんが特別委員会で提案した意見書案(裏面参照)をつくったのは、実は、無所属の今大地さん、増設賛成派の前川さん、そして共産党の私。考え方の違う三人が、子どもたちの将来のために『エネルギー政策の転換や安全対策を求める』という一致点で、小浜市議会が全会一致で採択した意見書をもとに作成しました」「特別委員会ではみなさんの思いで修正し採択したはず。撤回は納得できない。そのため、特別委員会で修正され、いったんは全会一致となった意見書(裏面参照)を、30日の本会議に議員提案することにしました」と話します。
「過酷事故」を起こしたら、安全に収束させる技術を原発事業者はもっていない
「エネルギー政策を見直し、将来的に再生可能エネルギーに転換する」ことに反対する人は、各種世論調査を見ても少数です。それは、政府がいくら「安全・安全」と「安全神話」を振りまいても、現実に繰り返し起きている原発事故、特に福島原発震災の教訓から、「過酷事故」は起きると確信しているからです。
そしていったん、福島のような「過酷事故」を起こしてしまったら、それを安全に収束させる技術を原発事業者はもっていないことが明らかになりました。国や原発事業者は、「過酷事故」は起こり得ないという「安全神話」に漬りきり、その対策を講じてこなかったため、原発をつくり動かす技術はもっていても、「過酷事故」を収束させる技術はもちあわせていないからです。
冷却不能‥「工程表」で対応できないの状態も
東電と国は、福島原発事故を収束させる「工程表」を発表しましたが、メルトダウン(核燃料が溶けて、圧力容器下部にたまった状態)が起こっていたなど、新事実が明らかになる度に「工程表」は見直されて来ました。
ところが、いまや、メルトスルー(溶けた核燃料が、16ミリある圧力容器を貫通し、格納容器の下まで落ちる状態)が起きていたことが指摘されています。メルトスルーが起きているとすると、原子炉の炉心の水が無くなっている可能性があり、冷やすことが出来なくなっていると見る専門家もいます。
そうするといまの「工程表」では、まったく対応できません。すなわち、溶けた核燃料が格納容器やその下のコンクリートをも突き破り、地下水と接触して、超高濃度の汚染水が地下水や海に流れ出すことが懸念されます。
放射能封じ込めず、漏れ拡大し、重大事態に
また、水素爆発などで空気中に漏れ出た放射能の量について、約1%だといわれていますが、残りの99%が原子炉内に封じ込められず、どんどん漏れて出ている重大事態となっています。
現在、「汚水処理・循環注水冷却」を行っていますが、その汚水は約11万トンたまっているといわれ、処理してもいっこうに減っていません。そのため、地下深く汚水の貯水槽ができていて、それが地下水とつながって、巨大な汚水となっているという指摘もあり、放射能漏れの危険はもっと拡大するのではないかと懸念されています。
期限を決めて、再生可能エネルギーに段階的転換を
福島原発事故から教訓にすべきことは、@原発は未完成な技術だと自覚し、その転換を図ること、A日本は世界有数の地震列島で、どこでも地震や津波の危険を避けられる場所はないということ、Bいまだに「安全神話」と決別できず、手抜きの安全審査をつづけていることをやめ、規制機関を推進から独立分離することです。
そして、危険な原発政策から抜け出すため、日程を決めて、再生可能エネルギーに段階的に切りかえる決断をすべきです。それが、大事を引き起こし、多くの日本国民に非難を余儀なくし、放射能を世界中にまき散らし、環境を汚染した日本国民のとるべき責任ではないでしょうか。
「原発の不安をなくして欲しい」という声にどう向き合うのか
いま、福島県知事が“脱原発”を明示し、同県議会も全会派一致で“脱原発”の立場を明確にしています。また、福井県小浜市議会や新潟県上越市議会、佐賀県唐津市議会など多くの自治体が、「脱原発」や「原発政策の抜本見直し」を求める意見書などを採択しています。原発銀座の中心地・敦賀市で、「原発の危険」に反対する立場から、その内容と寸分違わぬ「エネルギー政策の見直し等についての意見書」すら採択しないとするなら、多くの市民の「原発の不安をなくして欲しい」という声にどう向き合うのか、問われることになると思います。
◆6月24日に、原子力発電所特別委員会に提案した「意見書案」
?「エネルギー政策の見直しを求める意見書(案)」
わたしたち敦賀市民にとって、現在もなお、深刻な状況が続く東京電力(株)福島第一発電所の事故は、けっして他人事ではありません。
敦賀半島には、日本原子力発電(株)の敦賀発電所一,二号機、日本原子力研究開発機構の「ふげん」「もんじゅ」、関西電力(株)の美浜一,二,三号機があります。
ひとたび福島原発のような事故が起きると、ほぼ敦賀市全域が発電所から半径20キロ圏内に入るため、「敦賀に住めなくなる」と多くの市民が不安を感じています。
よって、敦賀市議会は、敦賀の未来をになう子どもたちに安心して暮らせる敦賀のまちを残すため、国に対し次のことを求めます。
1,期限を定めてエネルギー政策を見直し、再生可能エネルギーに転換すること。
2,原子力発電所にかかる安全基準の抜本的な見直しを図ること。
3,原子力発電所周辺地域の防災対策の確立を図るために、国の責任において地域の安全対策として、避難道路や避難施設などを早急に整備すること。
4,よりいっそう原子力発電所の安全確保を図るため、原子力安全・保安院を経済産業省から分離・独立し、権限強化をおこなうこと。
◆6月30日に再度議員提案される「意見書」(案)
・・・提案者は今大地晴美議員、賛同者に前川和治議員と日本共産党敦賀市会議員団の上原修一、山本貴美子両議員
