福島原発 地下水汚染・・1号機建屋周辺で1万倍のヨウ素検出

主張・・原発事故長期化 作業員と住民への対策つくせ

原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党 (下)
 ・・独立した規制機関が必要 安全体制の根本的欠陥示す
新増設計画・・白紙で検討 志位委員長に首相答える

(「しんぶん赤旗」2011/4/2)



福島原発 地下水汚染・・1号機建屋周辺で1万倍のヨウ素検出

東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)各号機の原子炉建屋やタービン建屋周辺の地下水から放射性物質が検出されました。東電が3月31日深夜発表しました。放射性のヨウ素131は、最大で、国の定める濃度限度の1万倍を超えていました。

 東電は、4号機を除く1〜3号機と5、6号機の建屋周辺の地下水を集める配管から30日午前に水を採取して分析しました。その結果、1号機建屋周辺の地下水からヨウ素131が濃度限度の1万750倍に当たる水1立方センチ当たり430ベクレル検出されたのをはじめ、調べた全ての地下水から放射性のヨウ素131やセシウム134、同137などが検出されました。

 東電は敷地内の広い範囲で検出されているとして、空気中に放出された放射性物質が雨などで土壌に染み込んだと推定しています。

 しかし、1〜3号機では原子炉建屋内の原子炉圧力容器から放射性物質を含む水が漏れ出し、タービン建屋地下には通常運転中の原子炉の水の1万〜10万倍の放射能を含むたまり水が滞留。さらに、1〜4号機のタービン建屋外の地下にある配管トンネルと立て坑にもたまり水が存在し、水面から高い放射線量が検出されています。

 これらの水が地下へ漏れ出し、さらに海へ染み出していることが心配されています。  東電は同日深夜、30日に採取した2号機配管トンネルと立て坑内のたまり水にヨウ素131が約690万ベクレル、セシウム134と同137がそれぞれ約200万ベクレル含まれていたと発表しました。これらの放射能の量を合計すると、通常運転中の原子炉の水の数万倍に相当します。

 一方、経済産業省原子力安全・保安院は1日、データの一部に誤りがある疑いが強いとして、東電に再測定と再発防止を求め厳重注意。ただ、再測定をしてもヨウ素131を含め、放射性物質の検出量が大幅に変わることはないといいます。


主張・・原発事故長期化 作業員と住民への対策つくせ

原子炉を冷却しようと注水すれば放射能で汚染された水が外部に漏れ出す、たまった水を処理しようとしても汚染されたがれきなどが障害になる―東日本大震災で破壊され、最悪の事故を引き起こした東京電力福島第1原子力発電所の復旧作業が難航しています。

 事態は長期化が避けられません。作業にあたる労働者などへの対策とともに、避難生活が続く周辺住民や、放射性物質が飛散する広い範囲の住民への、長期化を前提にした対策が求められます。

深まる「危機の連鎖」
 地震と津波で1〜4号機の炉心を冷やす機能が失われ、その後の爆発で1、3、4号機の建屋などが崩壊した福島第1原発は、放射性物質を含む水や気体が飛び散り、新たな事態が次々発生する、文字通り「危機の連鎖」というべき深刻な状態です。2号機では炉心の燃料棒から溶け出したとみられる高い濃度の放射性物質が流出し、タービン建屋や外部のトレンチ(溝)にまで流れ込み、復旧作業の大きな障害となっています。1、3号機でもタービン建屋やトレンチに汚染水がたまっています。

 東電は、注水などで原子炉を冷やしながら、タービン建屋やトレンチのたまり水の排水を急いでいますが、タンクが満水になっているなど、作業は難航しています。東電は1〜4号機について「廃炉」を表明しましたが、その作業を進めるためにも放射性物質の流出を抑え、原子炉を安定させなければなりません。まさに、ぎりぎりの綱渡り作業です。

 復旧作業が長期化するなかでまず求められるのは作業にあたる人たちの安全です。すでに注水にあたった消防隊員や自衛隊員、建屋内で作業している東電関係者などの被ばくが明らかになりました。政府と東電は作業員の安全確保に最大限の努力が求められます。作業員に線量計がいきわたらないなどというのは論外です。

 避難が求められている周辺住民の困難もいよいよ深刻になっています。すでに原発から20キロ圏内の自治体では町ごとの避難がおこなわれていますが、長期化にともなう住民の生活支援や自治体への援助などが不可欠です。国際原子力機関(IAEA)は、30キロ圏外の福島県飯舘村での土壌汚染を警告しました。住民の不安拡大にこたえ情報を公開するとともに、農家などへの被害補償も急がれます。

 原発から長期にわたって放射性物質が外部に出続けることを前提にした広い範囲の対策も不可欠です。すでに首都圏などで一部の農産物や飲料水の摂取制限などがおこなわれてきましたが、内部被ばくや蓄積される放射性物質への対策がいよいよ大切になります。原発から排水される海中でも、高い濃度の汚染が明らかになりました。政府は「いますぐ」危険はないといい続けるだけでなく、長期になればどんな影響が予想されるのか、情報と対策を示すべきです。 原発政策見直しは急務  長期化し深刻さの度を増す福島第1原発の重大事故は、震災を軽視し、建設を続けた政府と電力会社の責任を改めて浮き彫りにしています。全国の原発総点検と原発政策の抜本的見直しが必要です。

 日本はもちろん世界でもかつてない事態の収束に国内外の総力を結集するとともに、未曽有の人災から教訓をくみ取るべきです。

党首討論で、原子力の規制機関の役割についての資料を小渕首相に渡す不破委員長(当時)=1999年11月10日、衆院第1委員室



原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党 (下)
 ・・独立した規制機関が必要 安全体制の根本的欠陥示す

 日本の原子力開発が安全確保の上で世界から大きく立ち遅れているのには、原子力安全委員会が独立した権限と体制をもつ安全監視・規制機関とはなっていないことが根本にあります。日本共産党は原子力の安全確保の要の問題として、1976年の不破氏の国会質問で次のように提起しました。

 「これまでの原子力行政の根本転換を図る必要がある。そのためには、アメリカやイギリス、西ドイツ、フランスのように、原子炉の設計、着工、運転から、核燃料の運搬、将来の廃棄物の処理まですべてにわたって責任を一元的に負えるような、開発側とは結びつかない原子力の安全体制を緊急に確立する必要がある」(衆院予算委)

 独立した権限をもつ原子力の安全監視体制が日本に設けられてこなかったのは、国内の電力会社とアメリカの原子力産業が求める原発大増設計画のためだけではありませんでした。原子力の安全監視のための本格的な規制機関が生まれて動き出したら、日本に寄港する米の原子力空母や原子力潜水艦に対しても、国民の安全最優先の監視の条件が強まります。

 実際、1974年1月に不破氏が国会で分析化学研究所の放射線測定データのねつ造事件を取り上げてから、米原潜の入港は183日間にわたりストップ。同研究所が全面的に改組されるなど、原発や港湾の放射能汚染監視体制が一定の改革を受けることになりました。

 住民・研究者の要求と日本共産党の追及を受けた政府は、78年にようやく原子力安全委員会を設置しました。ところが、専門部会のメンバーは全員が非常勤という貧弱さ。当時でも1900人もの専門家や専任職員を擁した米国の原子力規制委員会の体制とは雲泥の差でした。

 99年11月、不破氏は党首討論で「原子力安全条約では、原子力の推進機関と規制機関を厳格に区別するよう定めている。日本の推進機関、規制機関は、それぞれ何か」と質問。当時の小渕恵三首相は、規制機関も推進機関も「通産省(現経済産業省)と科学技術庁(現文部科学省の一部)」だと答弁し、日本の安全監視体制が国際条約違反であることを認める結果となりました。

 この追及を受けた政府は2001年に、原子力安全委員会を内閣府の下に置く機構改革を実行。しかし、安全委員(5人)以外の各部門の専門委員はすべて非常勤です。安全体制の一部を担う原子力安全・保安院も、原発の推進機関である経産省資源エネルギー庁の下に置かれています。

 今回の福島第1原発の重大事故でも、保安院は、もっぱら東電側の説明をノーチェックで発表しているだけ。安全委員会も自らを「黒子」と称するほどで、国際条約が定める本来の役割を果たしていません。

菅直人首相(右から2人目)に「提言」を渡す志位和夫委員長(左から3人目)、市田忠義書記局長(同2人目)、穀田恵二国会対策委員長(左端)。右端は福山哲郎官房副長官=3月31日、首相官邸


新増設計画・・白紙で検討 志位委員長に首相答える

 志位和夫委員長は東日本大震災後、被災者、被災地への訪問をはさみ、3度にわたり政府への緊急申し入れを行い、このなかで福島第1原発事故を受けて、現地住民・自治体の声に応えた緊急要求の実現とともに、原子力行政の抜本転換を求めました。

 31日の菅直人首相との会談では、「東日本大震災にあたっての提言」を手渡し、「原子力行政、エネルギー政策の抜本的な転換を」求めました。「エネルギー基本計画」で14基以上の原発の新増設をめざすことは「きっぱり中止すべきだ」と迫った志位委員長に対し、菅首相は「白紙というか、見直しを含めて検討したい」と表明。従来の政府方針を根本的に検討する姿勢を示しました。

 「提言」は、今回の福島第1原発の事故について「『日本では重大事故は起きない』という『安全神話』をふりまき、安全対策をなおざりにして原発をやみくもに推進してきたこれまでの原子力行政による人災にほかならない」と指摘。(1)「安全神話」と決別し、原子力の危険性を直視した原子力行政を(2)原発総点検、原発新増設とプルトニウム利用の核燃料政策の中止(3)原子力の規制部門と推進部門の分離、強力な権限をもった規制機関の確立―を提起しました。

 菅首相は、原子力の推進部門と規制部門が一体となっている現状に対し「重大な反省が必要だ」と述べ、分離の重要性について「(志位委員長の)指摘を受け止めて(体制の)あり方の検討が必要だ」と答えました。