被災者支援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を 志位委員長が首相に提言・・菅首相 「個人補償の引き上げ必要」「原発新増設見直す」

福島第1原発 4,385倍ヨウ素検出・・原子炉水流出、海水の汚染深刻化

原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党(上)
“安全神話”を厳しく追及・・不破氏 原子力は本来、危険はらむ未完成の技術(1976・80年)
震源域への大増設 中止せよ・・不破氏「民族的な安全が危機に瀕する」と指摘 (76・81年)
大津波・電源喪失 ともに警告・・吉井議員が冷却不能指摘し対応迫る (2006・10年 )

原発危機・緊急提言(随時掲載)周辺活断層徹底調査を 原発問題住民運動全国連絡センター代表委員 持田繁義さん(新潟県柏崎市在住)
(「しんぶん赤旗」2011/4/1)

会談する志位和夫委員長(左)と菅直人首相=31日、首相官邸


被災者支援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を 志位委員長が首相に提言・・菅首相 「個人補償の引き上げ必要」「原発新増設見直す」

日本共産党の志位和夫委員長は31日、首相官邸で菅直人首相と会談し、「被災者支援・復興、原子力・エネルギー政策の転換を――東日本大震災にあたっての提言」を渡し、要請しました。政府から福山哲郎官房副長官、日本共産党から市田忠義書記局長と穀田恵二国対委員長が同席しました。

 (提言全文) (会談詳報)
 今回の提言は、この間の一連の要請・提起を踏まえ、まとまった形での第1次分として行ったもの。三つの柱からなっています。

 第一は、被災者救援、原発事故の危機収束という緊急問題に全力でとりくむことです。  志位氏はとくに「現地で一番聞くのが『先が見えない』という声だ」と指摘。「政府が、原発事故の収束に向けて、どういう戦略と見通しをもっているのか、総理の肉声で話してほしい」と求めました。  首相は、「(要請の)趣旨はわかるが、現時点では、原子炉の温度を下げることや、放射性物質が出ないように、ギリギリの努力をしている段階で、見通しをいえる状況にない」としながらも、「(問題の)原発は廃炉にせざるをえない状況だ。国際的にもオープンに対応していきたい」と答えました。

 二つ目の柱は、復興に国の総力をあげてとりくむことです。

 志位氏は、「生活再建、地域社会の再建こそ、復興の土台」という立場で、被災者生活支援法では全壊でも300万円となっている支給額を抜本的に拡充するよう要請しました。
 首相はかつて同法を協力してつくった経過にもふれ、支給額については「私も引き上げが必要だと思う」と表明しました。
 復興財源では、志位氏が、予算の大規模補正が必要だとのべ、とりわけ合計で2兆円にのぼる法人税減税と証券優遇税制の延長は中止が必要だと提起。244兆円に積みあがった大企業の内部留保を活用するために、従来の国債とは別建てで「震災復興国債」を発行し、大企業に引き受けを要請することを提案しました。

 首相は、法人税減税については「見直しを含めて検討したい」と表明。証券優遇税制の延長中止についても「検討の土俵に乗せたい」と答えました。  「復興国債」を大企業に引き受けさせる問題では、「初めての提案なので、よく研究させていただきたい」と答えました。  第三の柱は、原子力行政とエネルギー政策の抜本的な転換です。  志位氏は、安全最優先の原子力行政への転換を求め、とくに政府が昨年6月に策定した「エネルギー基本計画」で2030年までに14基以上の原発を新増設することについて「到底、国民の理解は得られるものではない。きっぱり中止すべきだ」と求めました。

 首相は「いまある原発の総点検ももちろん必要だが、今後の原子力の利用について根本的に安全性の議論が必要だ」と表明。原子力のあり方の「本格的な検証」に言及し、エネルギー政策全体を検討したいとのべるとともに、原発新増設の計画について、「白紙というか、見直しも含めて検討したい」と答えました。  

 志位氏はさらに、日本も批准している原子力安全条約に則して原子力の推進部門と規制部門を分離し、強力な権限と体制をもった規制機関を確立すべきだと提起。首相は、「重大な反省が必要だ。指摘を受け止めて(体制の)あり方の検討が必要だ」と答えました。

 最後に志位氏は、「今後も協力すべきは協力して事態打開に力を尽くしたい。私たちも引き続き提言をしていきたい。今後も党首会談の機会をもってもらいたい」と提起。首相も「もちろんです。こういう問題は党を超えて、受け止められるものは受け止めます」と応じました。した。

 また、30日午後6時前、福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)1号機のタービン建屋から煙が出ていることが確認されました。その後、煙は確認されていないといいます。


福島第1原発 4,385倍ヨウ素検出・・原子炉水流出、海水の汚染深刻化

東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1〜4号機の放水口から南に330メートルの地点で30日午後に採取した海水から、国の定める濃度限度の4385倍の放射性ヨウ素(ヨウ素131)が検出されました。東電などが31日発表しました。これまでで最も高い値で、原子炉内の損傷した核燃料からの放射性物質を含む水の流出が深刻化していることを示しています。

 東電によると、海水1立方センチ当たりヨウ素131が180ベクレル(濃度限度の4385倍)検出されたほか、セシウム134が同47ベクレル(同783・7倍)、セシウム137が同47ベクレル(同527・4倍)検出されました。同原発北側の5、6号機放水口付近では、30日午前の測定でヨウ素131が同57ベクレル(同1425倍)検出されました。

 東電は、原子炉内から出ていることは間違いないと認めたうえで、どのような経路で海に流出しているかはわからないとしています。  東電は、1〜3号機のタービン建屋地下にある放射性物質を含むたまり水を排水する準備作業を続けています。たまり水を移そうとしているのは、発電タービンを回した蒸気を水に戻す「復水器」です。しかし、1〜3号機とも復水器が満水状態に近いため、31日には、復水器の水を別のタンクに移す作業が各号機で行われ、3号機は午前中に完了。1号機でも、午後から始まりました。

北陸・近畿圏の地図を示し原子力発電の危険について質問する不破哲三書記局長(当時)=1980年2月1日、衆院予算委員会



原発の危険を告発 国民の命守る日本共産党(上)

深刻な被害を広げつつある福島第1原発事故は、安全に根本的な欠陥をかかえる原子力発電所の大量増設をすすめてきた日本の原子力政策を厳しく問うものとなっています。

 日本共産党は、原発大量増設が開始された当初から、原子力行政の根本的な転換を歴代政権に要求し、住民とともに増設計画に反対してきました。この問題での日本共産党の立場と主張は、重大化しつつある今回の原発事故に対し国を挙げ安全対策をとるうえでも、また今後も原発事故を繰り返させないためにも、重要な問題提起となっています。

“安全神話”を厳しく追及・・不破氏 原子力は本来、危険はらむ未完成の技術(1976・80年)

 日本の原子力行政の最大の問題は、“核燃料が大量に拡散するような重大事故が起こることは考えられない”という「安全神話」を基礎としていることにあります。こんな「安全神話」に固執して狭い国土のほぼ全域にわたって原発の大量増設を推進してきた国は、日本以外には世界のどこにもありません。

 1976年1月、日本共産党の不破哲三書記局長(当時)は、「原子力は本来、危険性をはらみ、未完成の技術だ」と指摘。そのため「原子力開発に取り組むには、今日の技術が許す限りの安全体制をとらねば非常に危険なことになる」という根本問題を指摘していました。

 当時、政府は4900万キロワット、約50基分の原発大量増設計画を開始。日本共産党は安全最優先の立場から、無謀な原発大量増設計画に反対してきました。

 79年には、深刻な炉心溶融を起こした米国・スリーマイル島原発事故が発生。不破氏は80年2月の国会で、米国が大統領令で設置した「大統領特別調査委員会」(通称「ケメニー委員会」)の「勧告」をとりあげました。

 不破氏は、アメリカが重大事故から学んだ一番の教訓は「原発は十分安全だという考えがいつのまにか根をおろしてしまった。これが失敗を招いたのだ」ということだったと指摘。同勧告が「原子力は本来、危険をはらんでいるということを口に出していう態度に変わらなければならない」と訴えていることを示したうえで、不破氏は「原子力は大丈夫」だという「安全神話」の立場を「信念」として推進しようとしている日本の原発行政の根本的な危険を明らかにしました。

 一方、原発を推進する立場の関係者(いずれも当時)は、スリーマイル島原発のような事故は「日本ではほとんど起こりえない」(吹田徳雄原子力安全委員長)、原発の緊急炉心冷却装置は「オーバーデザイン(過剰な設計)」(有沢広巳原子力産業会議議長)などと、相変わらず「安全神話」の立場からの発言を繰り返してきたのです。  

 日本共産党の志位和夫委員長は、3月23日の全国決起集会で「こんどこそ『安全神話』を一掃し、原子力の持つ本来的な危険性について国民に正直に語り、政府が国民の安全確保のために万全の体制をとる、正直で科学的な原子力行政へと転換することを、わが党は強く求める」と述べました。

震源域への大増設 中止せよ・・不破氏「民族的な安全が危機に瀕する」と指摘 (76・81年

 日本共産党は、日本列島全域に大量の原発を建設する計画の中止を求め、住民とともにたたかってきました。

 不破氏は76年の国会質問で、原発大増設計画が推進されるなら、「日本国民の民族的な安全が危機に瀕(ひん)する」と厳しく警告しました。81年2月の質問では、現在深刻な危機を引き起こしている福島原発をはじめ、女川(宮城県)、柏崎刈羽(新潟県)、浜岡(静岡県)、伊方(愛媛県)、福井、島根などの原発が、いずれも大地震の想定震源域や活断層の真上にあることを示しました。「こんな危険な地盤の上に原発をつくろうとする国は、世界のどこにも例がない」と批判した不破氏は、計画の撤回と既存原発の全面的な安全総点検を求めました。

 この日本共産党の主張に対し、政府と電力会社は、原発の耐震性の若干の改善や核燃料輸送容器の耐久性強化など部分的な改良を進めましたが、震源域での原発増設にあくまで固執してきました。

質問する吉井英勝議員=2006年3月1日、衆院予算委第7分科会


大津波・電源喪失 ともに警告・・吉井議員が冷却不能指摘し対応迫る (2006・10年 )

 日本共産党は「安全神話」に反対し、既存の原発の危険性をただすために全力で取り組んできました。

 今回の福島第1原発の重大事故は、地震と大津波によって、冷却機器とその電源設備が破壊されたことによって引き起こされました。この二つの危険を、ともに国会で追及してきたのが、日本共産党の吉井英勝衆院議員でした。

 5年前の2006年3月1日の質問(衆院予算委員会第7分科会)。吉井氏は、大津波を引き起こしたチリ地震(1960年5月)、スマトラ沖地震(2004年12月)、明治・三陸地震(1896年6月)にふれながら、波の高さが10メートルを超え、明治・三陸地震では38メートルの記録があることを指摘。巨大津波を想定した対策を提起しました。

 巨大な“押し波”による原発機能の破壊とともに、吉井氏がこの質問で強調したのは“引き波”の影響。長時間の大規模な海面低下で冷却水の取水ができなくなり、炉心の冷却機能が喪失して、最悪の場合には炉心溶融を引き起こし、燃料棒の崩壊熱を除去できなくなる危険を明らかにしました。「どんな場合にも、チェルノブイリ(原発事故)に近いことを想定して、対策をきちんととらなければいけない」と吉井氏は要求したのです。

 これに対し広瀬研吉原子力安全・保安院長(当時)は「必要な海水を取水できるような設計をされている」「原子炉を冷却できる対策が講じられている」と、対応を拒否しました。

 吉井氏が、電源喪失の危険を追及したのは昨年5月26日の衆院経済産業委員会の質問。外部電源、非常用の発電機(内部電源)の破壊が「巨大な地震が起こると、同時に発生することが起こりえる」と提起。「自家発電や外部電源の喪失で二次冷却系が機能しなくなって炉心溶融に至ったときにはどれだけの規模の被害が発生するか、こういうことを検討しておくことが必要だと思う」と早急な備えを求めていました。

 いずれの質問も、今回の福島第1原発の危険性を予見し、対策を求める質問でした。
 東日本大震災後、日本共産党の大門実紀史参院議員の質問に対し、菅直人首相は、津波の影響について「認識が結果として間違っていたことは否定しようがない。予測が低すぎて、原発建設以前のチリ地震の基準を満たしていないとすれば相当問題だ」(3月29日)と答弁。“安全神話”に深くはまり込んだ政府と電力会社の対応が今回の“人災”を引き起こしたことを認めました。


周辺活断層徹底調査を 原発問題住民運動全国連絡センター代表委員 持田繁義さん(新潟県柏崎市在住)

 私たちは自然災害と原発事故が重なった時にどうするのかと電力会社や行政を追及してきました。東京電力福島第1原発事故は、冷却材喪失、炉心溶融、放射性物質の飛散という重大事態となり、原発の「安全神話」がことごとく崩れてしまいました。

 国の原子力安全委員会は、原発事故の防災重点地域を原発の10キロ圏内と定めていますが、これも過酷事故は起こらないという想定をもとにした過小評価だったのではないでしょうか。放射性物質は風に乗ってどこまでも飛んでゆくので、10キロでは済まないということを今回の事故は示して います。

 今回の事故を受けて、防災重点地域を拡大し、防災計画をより安全を重視して見直すべきです。また、今は小中学校などの拠点にとどまっている、放射能を体外に排出するヨウ素剤の配布を重点地域内の全家庭に広げるべきです。

 新潟県の東京電力柏崎刈羽原発は、佐渡海盆(盆状の海域)のそばにあり、この海盆の東縁には地震を引き起こす断層があると指摘されています。しかし、原発の耐震基準を定める上で国の原子力安全・保安院は、この断層の存在を見ようとしてきませんでした。

 また、この断層と長岡平野西緑断層が連動した場合の影響も心配されます。
 今こそ、原発周辺の地域の活断層を徹底調査し、安全を重視する方向で耐震基準を定めるべきです。


・・浜岡原発は東海地震の想定震源域の真上にある。廃止ずみ原子炉は省略。特定観測地域と観測強化地域は地震予知連絡会が定めたもの(全国的な観測網の整備のため現在は廃止)。