東電 福島第1原発震災‥最悪事故--炉心溶融

・・観測史上最大となった東北地方太平洋沖地震では、福島県にある東京電力福島第1原発1号機の炉心が溶けるなど重大な原子力災害が発生しました。
 これまで、政府や電力会社が「日本では起こり得ない」といい続けてきた冷却材喪失による過酷事故です。どうみたらいいのか、専門家や「原発の危険に反対」する運動に取り組んでいる人に聞きました。

抜本的に考え直せ。最悪のシナリオも・・館野淳中央大学教授(核燃料科学)

心配が現実になった・・柳町秀一原発問題住民運動全国連絡センター事務局長

冷静な対応が大切・・野口邦和日本大学専任講師(放射線防護学)

(「しんぶん赤旗」2011/3/13)


東京電力の福島第1発電所 右から炉心溶融した1号と2号、3号、4号機(東電のHPより)


観測史上最大となった東北地方太平洋沖地震では、福島県にある東京電力福島第1原発1号機の炉心が溶けるなど重大な原子力災害が発生しました。これまで、政府や電力会社が「日本では起こり得ない」といい続けてきた冷却材喪失による過酷事故です。どうみたらいいのか、専門家や「原発の危険に反対」する運動に取り組んでいる人に聞きました。  「『原子炉を止める・冷やす・放射性物質を閉じ込める』という何重にもわたる安全設計を行っている」。これまで国と電力会社が、住民の不安の声に耳を貸さずに掲げてきた「安全神話」が、巨大地震の前にもろくも崩れました。「想定外」の言葉は、自然の脅威への過小評価のうえに原発推進を続けてきたことを象徴しています。
 福島第1、第2原発では11日、強い揺れで緊急停止した後、炉心の放射性物質が原子炉停止後も出し続ける「崩壊熱」を除去するための冷却機能の一部が停止。日本の原発史上初の原子力緊急事態宣言が発令されました。

 福島第1原発では、原子炉格納容器内の圧力が上昇し、容器の破壊を防ぐため弁を開く作業を実施。放射性物質が大気中に放出されました。冷却水の水位が下がって、核燃料が水面から露出し、「炉心溶融」、爆発という重大事態に発展しました。

 大地震の揺れによる機器や配管の破壊、大津波による水没、冷却用海水の取水不能など、原子炉を「冷やす」機能が失われる可能性がある問題は、これまで指摘されていました。今回の事態で、対策があまりにも不十分だったことが明らかになりました。  国会でこの間題を何度も取り上げてきた日本共産党の吉井英勝衆院議員は「とにかく今は、混乱している現場の実態をつかんで公開し、原子力安全委員会の専門家などの力を出し合って、事態の深刻化を防ぐための対策にあたることが重要だ」と話しています。


 


沸騰水型原発(福島第1の1〜6号機と同第2の1〜4号機)の仕組み(東電のHPより)


抜本的に考え直せ。最悪のシナリオも・・館野淳中央大学教授(核燃料科学)

日本の原発史上、最悪の事態です。炉心溶融が進めば、世界的にみても、チェルノブイリ原発事故やスリーマイル原発事故級の重大事故になります。どんどん温度が上昇して水が分解されると、水素爆発も起こりえます。爆発規模によって何が 起こるのかが変わってきますが、このような状況ではほとんど対策は打てず、見守るしかありません。

 水素ガスと燃料棒の被覆管とが反応すると「水素脆化(ぜいか)」でもろくなります。燃料がバラバラになり、燃料のカスが炉の排水溝につまる可能性も高くなります。そうなると、もう上から冷却水が入れられません。

 燃料物質が圧力容器の底に集まると、再び臨界(核分裂の連鎖反応)が起こることもあります。そのことで底が抜けて、燃料物質が地面にすとんと落ちれば、周りの水と反応して水蒸気爆発を起こし、原子炉格納容器が壊れることもありえます。再臨界・水蒸気爆発という恐怖のシナリオです。現時点でその可能性は排除できません。

 軽水炉(日本の商業炉のタイプ)は、炉心の冷却ができなくなったスリーマイルのような冷却材喪失事故が起こりやすい。地震で配管が破断して水が漏れることや、今回のように停電でポンプが動かなくなり炉心が冷やせなくなるケースも、専門家が以前から指摘してきたことです。その評価が当たってしまいました。非常用ディーゼル発電機が動かない可能性の警告にも対応がありませんでした。

 配管や他の機器の作動がどうなっているのか。まだ情報が届いていませんが、他の機器の故障と重なることで、事故の解決がますます悲観的な方向へ行くことも不安です。  これまでの安全性の基準「単一故障指針」は、事故が起こったとき対応するための安全装置が一つだけ動かなくなっても大丈夫なように設計するという考えです。しかし地震の場合には、機器の故障が同時多発的に起こる可能性が高い。このままでいいのか、抜本的に考える必要があるのではないでしょうか。


心配が現実になった・・柳町秀一原発問題住民運動全国連絡センター事務局長

柳町秀一・原発問題住民運動全国連絡センター事務局長の話 福島第2原発の近くに住む住民運動の代表と一時、電話が通じましたが、放射能が放出される事態に「風向きが心配だ」と話していました。
 私たち住民運動は、原発での大地震や大津波への備えを求めてきました。しかし、これまでの対策が絵空事にすぎないことがはっきりしました。柏崎刈羽原発の震災の経験など、まったく生かされていませんでした。日本の原発政策は国際基準を軽視し、過酷事故を取り扱ってこなかったが現実に起きました。これをどう考えるのでしょうか。
 中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)は想定東海地震の震源域の直上にあり、今回と同じような規模の地震となる可能性が高いと指摘されているにもかかわらず、運転が続けられています。浜岡原発の運転を今すぐ停止するとともに、各地の原発で大地震に耐えうる万全の対策をすること が求められています。


冷静な対応が大切・・野口邦和日本大学専任講師(放射線防護学)

野口邦和・日本大学専任講師(放射線防護学)の話 どんな放射性物質がどれくらい出ているのかなど、状況によって対応が異なります。避難地域の周辺にいる人は、屋内で窓を閉めるなど密閉性を高くした場所にいて、冷静に行動してください。テレビやラジオをよく聞いて、行政などの呼びかけにしたがって行動することが大切です。