検証・福島原発事故、政府事故調・中間報告に見る(下)・・過酷事故対策、「自主保安」に名で放置
えっ原発事故に触れないの?!・・放射線教育、福島県教委が資料作成
東電福島第1・・原発ホース漏水相次ぐ
主張・・震災被災地の越年、被災者が希望を持てる政治を
(「しんぶん赤旗」2011/12/31)
検証・福島原発事故、政府事故調・中間報告に見る(下)・・過酷事故対策、「自主保安」に名で放置
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地震で倒れた送電線 の鉄塔(東電提供)
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「3月11日以前に、国からも原子力安全委員会からも不十分だと言われたことはありません」。東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は27日の記者会見で、政府の事故調査・検証委員会が前日発表した中間報告で東電の過酷事故(シビアアクシデント)対策は極めて不十分と指摘したことに色をなして、こう反論しました。
安全神話の下
東電は、東日本大震災発生以前から過酷事故対策として消火系の水や配管などを利用した代替注水の仕組みや格納容器内の圧力を下げるためのベント(蒸気の放出)の整備に取り組んできたといいます。しかし、これらの対策はマグニチュード9・0の巨大地震と最大17メートルに達する津波の前にひとたまりもありませんでした。
これらの設備は、いずれも電気を使って動かすようになっており、地震で送電線が倒れて外部からの電気が途絶えた後起動した非常用ディーゼル発電機や配電盤も津波で浸水して機能を停止するなどして、次々電源が失われていったからです。
政府事故調の中間報告は、運転員が過酷事故対策用の手順書には全電源が失われる事態は想定していなかったため、現場で操作を考えて実行しなければならなかったことや、吉田昌郎所長(当時)が過酷事故対策に無い消防車による注水の検討を指示しても誰一人自分が実施すべき作業として準備を進めなかったことなどを生々しく紹介しています。
なぜ、東電の過酷事故対策は不備のまま放置されたのでしょうか・・。冒頭の松本本部長代理の発言にみられるように、国がそれを認めてきたからです。日本では、「過酷事故は起こりえない」とする安全神話のもとで、過酷事故対策は国の規制ではなく、事業者の自主的取り組みとして位置付けられてきました。
そのもとで、過酷事故の原因となる現象も配管の破断など原発固有のものが対象で、地震や津波などの自然災害は対象とされませんでした。東電自身が行った試算で、海抜10メートルの高さにある福島第1原発の敷地よりも高い津波が襲ってくる可能性があるという結果が出ており、経済産業省原子力安全・保安院にも報告されていました。
しかし、東電は、地震や津波で外部からの電気が途絶えた場合、無くてはならない装置である非常用ディーゼル発電機などを津波で浸水する恐れのある場所から移そうとはしませんでした。
人災明らかに
政府事故調の中間報告は、東電の武藤栄顧問(事故当時副社長、原子力・立地本部長)ら東電幹部が委員会の聞き取り調査に対し、「設計基準を超える自然災害が発生することや、それを前提とした対処を考えたことはなかった」と一様に語ったと述べています。
また、保安院防災課長が「AM(過酷事故対策)は、自主保安の領域で、規制ではないという位置付けになっていたので、目の前の規制課題に集中し、振り回されていたことから、専属の人は配置できず、長期的な視点に立って考える人がいなかった」と語ったことを取り上げています。自主的の名の下に、必要な対策が置き去りにされていたことを物語っています。
そのうえで、同中間報告は、「実用発電は収益拡大を目的とした民営事業として行われている。経済性と安全性のせめぎあいの中で、それを担う電力事業者による様々な安全対策に対する優先順位付けが最適である保証はなく、個々の安全対策が適切であるとも限らない」と述べ、過酷事故対策に関する調査の結論として「自主保安の限界」を指摘しています。
松本本部長代理は、福島第1原発事故について「想定外の津波に襲われたために起こったもので、結果として(過酷事故対策は)不十分だった」などと言っています。しかし、福島第1原発の敷地の高さを超える津波に襲われるかもしれないことは想定外ではなく、東電が「想定しなかった」だけです。政府事故調の中間報告は、今回の事故がまぎれもなく人災であることを明らかにしています。
(おわり)
(連載は中村秀生、間宮利夫、三木利博が担当しました)
えっ原発事故に触れないの?!・・放射線教育、福島県教委が資料作成
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(写真)指導資料の表紙(左)とワークシート(右)
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福島県教育委員会が、小中学校で放射線について授業する指導資料を作成し、全校から教師を集めて研修しました。小中学校の教職員で構成する福島県教職員組合は、その教育は「3・11以前と同様の理念に基づく原子力施策擁護・推進にある」とする見解を発表しました。
指導資料は全35ページ。文科省が10月に公表した放射線副読本(小中高それぞれ生徒用と教師用の計6点)と、同県災害対策本部が発行する放射線パンフレットの内容を整理統合して、放射線の影響、利用、防護、測定などの基礎知識を学ぶ内容になっています。
約半分の18ページを使い、具体的な授業案と子どもが授業で書き込むワークシートを、小学校3時間分(学級活動の時間)、中学校2時間分(学級活動と理科の時間各1)、示しています。
これを1日から18日まで県内7カ所で、公立小中学校全校から1人ずつ計約800人参加の研修会を開催し、徹底しました。
指導資料は、放射線に内容をしぼり、福島第1原発事故についてはほとんど触れていません。事故の内容、被害の実態、汚染の規模などがまったくありません。
研修会でも「原発には触れない」「原発に関しては中立的立場をとる」との説明があったと、県教組は12月25日発行の県教組新聞に掲載した見解で批判しています。
見解は、「学習指導要領に明記されている(学習の)『目標及び内容』である『エネルギー』『エネルギー資源』という巨視的なもののとらえ方から大きくはずれている」と指摘します。
電力会社の経営陣らが役員を務める財団が作成にかかわった文科省副読本に準拠した指導では、事故前の原子力施策を擁護するものにしかならないとのべ、今後、「フクシマ」の子どもたちの「学び」を模索・検討していくとしています。
東電福島第1・・原発ホース漏水相次ぐ
東京電力は29日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の高濃度放射能汚染水処理システムのうち、淡水化装置の濃縮水貯蔵エリア付近にあるホースから水が漏れているのを見つけたと発表しました。漏れたのは真水で、地面に置かれたホースに雑草のチガヤが刺さって小さな穴が開いたためとみられます。
東電の発表によると、ホースは放射性セシウムなどを除去した後の高濃度放射能汚染水を蒸発濃縮するためのボイラーに真水を移送するためのもの。午前10時12分ごろ、パトロール中の東電社員が水が噴き出しているのを発見しました。漏れた水は地面にしみこんでおり、漏れた量は不明だといいます。
同原発構内には高濃度放射能汚染水の処理にかかわるホースがあちこちにあり、小さな穴が開いて水が漏れる例が相次いでいます。チガヤによる例が多いとみられ、東電の松本純一原子力・立地本部長はその件数が2桁にのぼるとしています。