●美浜原発事故 検査漏れ生んだ無責任体制・・根本に規制機関の不在‥‥■政府は電力会社まかせ■電力会社はメーカー丸投げ■メーカーは責任負わず

●関電美浜原発の配管点検・・旧通産省が「妥当」評価、2005年5月の関電報告をうのみ(2004/8/13「しんぶん赤旗」より)


 四人の死者、七人の負傷者を出した関西電力美浜原発3号機事故。破裂した配管が摩耗していたにもかかわらず、二十八年間検査がおこなわれていませんでした。その責任をめぐって、原発の安全管理の無責任体制が浮き彫りになっています。

 前田利夫記者


写真

事故発生から約2時間後の9日午後5時半、救急隊が突入して撮影した関西電力 美浜原発3号機のタービン建屋内=福井県美浜町(敦賀美方消防組合提供

●美浜原発事故 検査漏れ生んだ無責任体制・・根本に規制機関の不在‥‥■政府は電力会社まかせ■電力会社はメーカー丸投げ■メーカーは責任負わず

 破裂した配管は、原発(加圧水型軽水炉)の二次冷却系といわれる主要配管です。直径が五十六センチもありながら、肉厚はもともと一〇ミリしかありません。この肉厚がわずか一・四ミリまですり減っていました。

■国の基準なし

 この配管の検査についての国の基準はなく、各電力会社にまかされています。核燃料を直接冷却する一次系でないので、火力発電所と同じ扱いだというのが経済産業省の説明です。二次系とはいっても、原子炉の冷却にかかわる、重大事故につながる可能性のある配管です。原発の安全性にとって軽視されていいはずはありません。

 美浜3号機が運転を開始してから十年後の一九八六年、米国の原発で、今回と同様の事故が起きました。タービン建屋内の配管(直径約四十六センチ)が破断し、高温水が蒸気となって噴出。八人が蒸気を浴びて火傷を負い、四人が死亡した事故です。

 通産省(当時)はこの事故に関して、「日本では起こり得ない」とする報告書を八七年にまとめました。事故の教訓は生かされませんでした。

美浜原発事故での検査漏れ関係図

 美浜3号機の製造を担当した三菱重工業は、米国の事故について八七年から調査を開始。九〇年五月、関西電力とともに、「原子力設備二次系配管肉厚の管理指針」を策定しました。この指針を適用すれば、今回破裂した配管部分も検査対象に含まれるはずだったといいます。

 しかし、美浜3号機の検査を委託された三菱重工業は、美浜原発3号機の点検項目リストを作成したときに、問題の配管部分を抜け落とすミスを犯しました。

 後に、ミスに気づいた三菱重工業は九九年四月と二〇〇〇年八月に、検査業務を九六年から引き継いだ「日本アーム」(関西電力協力会社、大阪市北区)にそのことを伝えたとしています。

 しかし、日本アームが問題の配管部分の点検の必要性を関西電力に指摘したのは、〇三年四月でした。これにたいして関西電力は、日本アームから指摘があったのは同年十一月だったと主張しています。

■指摘あっても

 関西電力は、日本アームからの指摘があっても、すぐに検査する対応をとりませんでした。何の根拠もなしに、“大丈夫”と判断し、今月十四日から予定されている定期検査まで点検を先延ばしにしたのです。

 政府は電力会社まかせにし、電力会社はメーカーに丸投げし、メーカーも直接の検査には責任を負わない―。原発という重大な危険をともなう施設の安全管理の実態です。

 根本には、原発の推進機関とは独立した規制機関の存在しない問題があります。国の責任で原発の安全を確保する体制がなく、電力会社の利益が優先される現在のあり方では、原発の安全が守れないことを、今回の事態は示しています。



●関電美浜原発の配管点検・・旧通産省が「妥当」評価、2005年5月の関電報告をうのみ

 福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出死傷事故で、破損した二次系配管について関電が四年前、「合理的な点検基準を策定し運用している」として、運転管理は適切とする報告書をまとめていたことが分かりました。当時の通産省も、その報告書を「妥当」と評価していました。十
 二日に開かれた原子力安全委員会(松浦祥次郎委員長〉で、経済産業省原子力安全・保安院が明らかにしました。
報告書をそのまま妥当と評価した点について、保安院はこの日の委員会で、「(事故を起こした配管が検査から漏れたことに)気付かなかった。確認は不十分だった」と責任を認めました。 

 この報告書は「定期安全レビュー」で、関電が二〇〇〇年五月に通産省に提出しました。
関電はこの中で、3号機の配管について「膨大な個所の肉厚測定を数年間かけて実施しており、合理的な点検基準を策定し運用している」と記述。3号機の運転管理が適切に行われていると報告していました。通産省は同月中に「妥当」と結論付けていました。