●17年前、米国で同様事故・・政府は「日本では起こり得ない」と結論‥教訓生かされず(2004/8/11「しんぶん赤旗」より)
●原因究明と全原発の安全総点検を・・「しんぶん赤旗」主張より
関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)で、九日、タービン建屋内で高温高圧の二次冷却水が噴出し、作業員四人が死亡、七人が負傷する大きな惨事が起きました。
日本原発史上で最多の死傷者を出す深刻な事故です。
国と関西電力が安全確保の責任を十分に果たしたのか、厳しく問われなければなりません。
日本原発史上最悪の事故
何よりも求められるのは、事故原因の徹底究明です。関西電力は、腐食や摩耗で配管が薄くなっていた可能性があるとしています。同様の事故は米サリー原発でも起こっており(一九八六年、死者四人)、これを受けて、国内でも自主検査をしてきたとされています。
しかし、関西電力は、破裂した個所を、「管理システムに登録」していなかったため、一度も点検しておらず、昨年十一月に下請け会社から検査登録リスト漏れを指摘されていたのに、すぐ対応しませんでした。今年七月には、関電大飯原発1号機で二次冷却系の配管の厚さが基準を下回っていたにもかかわらず、国への報告を怠っていたことも判明しました。
二次冷却系は放射能漏れに直結しないという理由で、法的な定期検査の対象外とされています。
原発稼働中のタービン建屋への出入りの安全基準がないことも、日本共産党国会議員団の調査で明らかになりました。
安全管理の甘さはなかったのか、事業者任せで安全確保ができるのか、関西電力と国の責任は重大です。
今回の事故は二次冷却系配管であり放射能漏れは確認されていませんが、原子力施設で起こった事故として、決して軽視できません。
事故機は運転開始から二十八年たった老朽原発であり、同様のことが、炉心の核燃料を直接冷やす一次冷却系の配管でも起こっていないとは限らないからです。また、事故の状況によっては、原子炉本体に影響を及ぼしうるものです。
原子力発電所の配管関係の事故は珍しいものではありません。美浜原発(加圧水型)でも、二〇〇一年二月に2号機で蒸気発生器細管が破談、〇二年十一月に3号機で一次冷却水漏れがありました。〇一年十一月の中部電力浜岡原発1号機(沸騰水型)の配管破断事故も記憶に新しいところです。
加圧水型であれ沸騰水型であれ、原発には無数の配管があります。高温高圧の水や蒸気により、あるいは放射線により、配管は腐食、摩耗、劣化していきます。美浜原発のように七〇年代に運転開始した原発は二十基あります。こうした老朽原発をはじめ、全国すべての原発の総点険を行うことは急務です。
安全第一の原子力行政を
原子力行政への国民の不安と不信が広がっています。一九九九年には、国内初の犠牲者を出し周辺住民にも被害を及ぼしたJCO臨界事故が起こりました。二〇〇二年には東東電力による原発損傷隠しが、さるに今年は、国と事業者による使用済核燃料直接処分費用の試算隠しが発覚しました。
また、住民の不安や反対の声にもかかわらず、原発の危険を増大させるプルサーマル計画を強行しようとしています。
このような、国民の安全を軽視する原発推進は許されません。原発の「安全神話」を一掃し、安全確保第一の原子力行政に転換するために、日本共産党は全力を挙げます。
関西電力・美浜原発3号機事故は、運転開始から二十八年間にわたって「精密点検してこなかった」という大口径配管で発生しました。しかし、米国で十七年前に同じ配管破裂で死傷事故が発生したのに、国は「日本では起こり得ない」という報告書をまとめ、十分な安全対策をとらずにきました。
宇野龍彦記者
美浜原発3号機と同じ配管で破裂事故を起こしたのは、米国バージニア州のサリー原発2号機(加圧水型、出力八十一万五千キロワット)。一九八六年十二月九日、タービン建屋内の大口怪配管(直径約四十六センチ)が一気に破断し高温水が蒸気となって噴出しました。付近にいた八人が蒸気を浴びて火傷を負い、四人が死亡しました。
運転開始13年で破裂
破裂した配管は、運転開始から十三年経過していましたが、想定以上に配管の厚みが減っていました。
サリー原発と同型の原発は、日本でも三菱重工が委託製造していました。原子力安全保安院によると、サリー原発事故後、国内七つの原発で同じ配管の肉厚検査がおこなわれ、異常はみつからなかったとされました。
大口径配管の肉厚検査が定期的に必要一一この事故は、原子力関係者に大きな衝撃を与えました。しかし、通産省(当時)は八七年三月十二日、サリー原発事故の報告書をまとめ、「日本では起こり得ない」と結論づけました。その理由は、大口径配管が破裂する前に、小さな水漏れがこるので発見できるからと、しました。
サリー原発事故は、国の原発安全対策の教訓とはされませんでした。
タービンを回した後の冷却水を原子炉の蒸気発生器に戻す二次系の大口径配管。その厚みが予想以上にすり減ることが、今回の事故でも明らかになりました。
全国の加圧水型原発では、サリー原発事故後、老朽化や劣化を調べるため一九九〇年六月から、二次系配管の厚さを計画的に測定するという自主点検をはじめました。関西電力大飯原発1号機でも昨年七月に行った自主点検で、配管の厚さが国の基準以下になっていることがわかり、ことし七月に配管交換を発表しました。しかし、美浜原発3号機では、その点検が十四日から行う予定の定期検査まで放置されていました。
点検期間を短縮
原子力安全白書(一九九八年)は原発の老朽化の危険をとりあげ、「早期に機器等の劣化現象を発見する」ことと「予防保全」が重要だとしました。ところが、これと逆行する定期検査期間の短縮が国と電力会社一体で進められてきました。
中部電力は浜岡原発4号機の第六回定期検査(二〇〇一年度)で「二十九日定検を達成した」と誇っています(日本原子力学会誌)。
その動機として「競争原理の導入」や「経営効率化」をあげています。
原発関係者によると、以前は原発を止めてから現場に入って作業を行い、「百日検査」といわれるほどの日数をかけていました。ところが、定期検査期間短縮の結果、原発が動いているときから作業を行うようになったといいます。こうした「利益最優先」で原発の点検作業が行われていたことが、多数の死傷者を出す事故につながりました。